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休職 復職 復職支援(リワーク) メンタル不調

リワーク導入が企業にもたらすメリットとは?復職支援の重要性

メンタルヘルス不調による休職者の増加は、多くの企業にとって重要な経営課題となっています。休職者の職場復帰を支援する「リワークプログラム」は、再休職リスクの低減や人材の有効活用、健康経営の推進など、企業に多くのメリットをもたらします。
本記事では、リワークプログラムの概要から企業・従業員双方にとってのメリット、導入時の注意点まで、人事・労務担当者が知っておくべきポイントをくわしく解説します。

リワークプログラムとは?目的と概要

メンタルヘルス不調による休職者の増加は、多くの企業にとって深刻な課題となっています。復職支援を適切に行わなければ、再休職のリスクが高まり、採用・育成コストの増大や組織全体の生産性低下につながりかねません。

そこで注目されているのが「リワークプログラム」です。リワークは、休職者が安心して職場に戻れるよう段階的に支援を行い、企業と従業員双方に多くのメリットをもたらします。

以下では、リワークの基本的な定義から種類、具体的な支援内容までを解説します。

リワークの定義と主な対象者

リワークとは「return to work(職場復帰)」を略した言葉であり、主に精神的な不調により休職した方が職場復帰を目指すための支援プログラムを指すがの一般的です。ただし、リワークはあくまで復職に向けたリハビリテーションの場であり、プログラムを修了したからといって自動的に会社が復職を認めるものではありません。最終的な復職の可否は、主治医の意見や本人の回復状況、会社側の判断などを踏まえて決定されます。

主な対象者は、うつ病や適応障害、双極性障害といった気分障害や不安障害により休職している労働者です。これらの精神疾患を抱える方の中でも、リワークへの参加が推奨されるのは、症状がある程度安定している回復期の段階に入った方です。リワークは治療ではなく、復職に向けた実践的なリハビリテーションという位置づけであるため、参加にあたっては主治医による判断が求められます。

関連記事:「リワークってどういう意味? 通う効果はどれくらい?」復職や再就職支援の疑問を解決

リワークプログラムの種類と実施場所

リワークには主に「医療リワーク」「職リハリワーク」「福祉リワーク」「職場リワーク」の4種類があります。医療リワークは医療機関で実施され、医師や心理職が医学的リハビリテーションを提供します。職リハリワークは地域障害者職業センターによる公的サービスで、無料で利用可能です。

福祉リワークは就労移行支援事業所や自立訓練(生活訓練)事業所などで行われ、定着支援も手厚い特徴があります。職場リワークは企業内で試し出勤などを実施するもので、原則として休職期間中のリハビリの一環として行われ、無給または傷病手当金・独自手当で運用されるケースが一般的です。ただし、業務内容や指揮命令の実態によっては「労働時間」とみなされる可能性もあるため、賃金の取り扱いについてはあらかじめ就業規則等で明確に定めておく必要があります。

種類 実施主体(場所) 特徴・主な目的 費用(自己負担)
医療リワーク 病院・クリニックなどの医療機関 治療の一環として行われる
・医学的リハビリテーションが中心
・医師や看護師、心理職などの専門家が在籍
有料(医療費)
・健康保険適用で1~3割負担
・「自立支援医療制度」の利用で1割負担(所得に応じた上限あり)が可能
職リハリワーク
(職業リハビリテーション)
地域障害者職業センター
(公的機関)
職場適応と雇用主への支援が目的
・本人、主治医、企業の3者で連携しプランを作成
・雇用保険の適用外である公務員などは原則として利用不可
無料
・雇用保険財源で運営されているため、利用料はかからない
福祉リワーク
(民間リワーク)
就労移行支援事業所
自立訓練(生活訓練)事業所
生活リズムの改善や再発予防が中心
・復職後の定着支援も手厚い
・利用には自治体の申請が必要
有料(障害福祉サービス受給者証が必要)
・原則1割負担だが、前年度の世帯所得に応じて月額上限(0円~37,200円)がある
・無料で利用できるケースも多い
職場リワーク 勤務先の企業 復職可否の最終判断のために実施
・実際の職場で「試し出勤」などを行う
・人事や産業医と連携して進める
無料
・企業の福利厚生や労務管理の一環として行われるため、従業員の負担はない

具体的な支援内容とプログラム例

リワークでは、復職に向けて心身の状態を段階的に整えます。決まった時間に通所することで生活リズムを整え、基礎体力を回復させます。オフィスワーク模擬訓練では、パソコン作業や資料作成を通じて集中力や持続力を取り戻します。心理系のプログラムでは、認知行動療法やストレスマネジメント講習により、ストレスを感じやすい思考パターンへの対処法などを習得します。

また、SST(ソーシャルスキルトレーニング)ではコミュニケーション能力の向上を図り、再発予防プランの作成を通じて復職後も安定して働ける土台を築きます。

支援内容のカテゴリ 具体的なプログラム例 目的と効果
生活リズムの再構築 ・決まった時間の通所(通勤訓練)
・生活記録表(睡眠・食事・活動)の作成
・ウォーキングやストレッチなどの軽運動
・昼夜逆転した生活リズムを整える
・毎日の通勤に耐えうる基礎体力を回復させる
・活動量を数値化し、自身のコンディションを客観視する
業務遂行能力の回復 ・オフィスワーク(パソコン作業、資料作成など)
・模擬就労(電話応対、会議シミュレーション)
・軽作業、読書課題
・低下した集中力や持続力を回復させる
・実際の業務に近い環境で作業し、作業能力を確認する
・業務における課題(ミスや疲労)への対処法を学ぶ
心理的ケア・ストレス対処 ・認知行動療法(CBT)
・ストレスマネジメント講習
・マインドフルネス、リラクセーション法
・ストレスを感じやすい「考え方の癖(認知の歪み)」を修正する
・自身のストレスサインに気づき、早めに対処する技術を身に付ける
・感情のコントロール方法を習得する
コミュニケーション能力の向上 ・SST(ソーシャルスキルトレーニング)
・グループワーク、ディスカッション
・アサーション(適切な自己主張)の練習
・対人関係のストレスや不安を軽減する
・相手を尊重しつつ自身の意見を伝えるスキルを養う
・他者と協調して作業を進める感覚を取り戻す
再発予防・キャリア設計 ・自己分析(休職要因の振り返り)
・再発予防プラン(クライシスプラン)の作成
・キャリアデザインの検討
・休職に至った根本原因を分析し、具体的な対策を立てる
・不調時の対処法をマニュアル化し、再発リスクを下げる
・今後の働き方やキャリアの方向性を再確認する

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企業がリワークプログラムを活用するメリット

リワークプログラムは休職者本人への支援にとどまらず、企業経営にも多くの利点をもたらします。休職者が適切な準備を経て復職することで、再休職リスクの軽減や人材の有効活用が可能となり、組織全体の安定につながります。

また、従業員の健康を重視する姿勢は、社内の信頼関係構築や対外的な企業価値の向上にも寄与します。企業がリワークを活用することで得られる具体的なメリットについて解説します。

再休職のリスク低減と定着率の向上

リワークプログラムを経た従業員は、復職後に再び休職するリスクを抑えられます。プログラムには再発予防の要素が組み込まれており、本人がストレスへの対処法を習得した状態で職場に戻れるためです。

たとえば、自身の不調のサインを早期に察知する力や、つらいときに適切な相談行動をとるスキルを身に付けることで、問題が深刻化する前に対応できるようになります。

復職後のトラブルが減少すれば、チームの欠員や業務停滞を防ぎ、部門全体の生産性が安定します。人員計画も立てやすくなり、管理職の負担軽減にもつながります。

採用コストの削減と人材の有効活用

休職者がリワークを経て復職することで、新たな人材の採用・育成にかかるコストと時間を削減できます。業務経験や専門スキルを持つ従業員が職場に戻れば、一から教育する手間が省け、早期に戦力として活躍してもらえます。とりわけ、経理や法務など専門知識が求められる職種では、既存人材の復帰による効果は大きいといえます。

離職を防ぎ、培われた知見を組織内に残すことは、企業の持続的な成長を支える基盤となります。採用難が続く昨今、既存の人材を大切にする姿勢は経営戦略としても重要性を増しています。

安全配慮義務の遂行と企業リスクの回避

企業には従業員の健康と安全を守る義務があり、リワークの活用はその遂行に貢献します。専門家である産業医や心理士が休職者の状態を客観的に評価し、復職の可否や適切な業務内容を判断することで、無理な復職による症状悪化を防げます。主治医や人事担当者との連携により、段階的な復帰計画を立てられる点もメリットです。

適切な復職支援の手順を踏むことは、後々の労務トラブル防止にも役立ちます。休職者への対応を誤れば、訴訟リスクや企業イメージの低下を招く恐れがあるため、専門的な支援体制の活用は企業を守る手段にもなります。

職場環境の改善と健康経営の推進

リワーク支援を通じて、社内全体のメンタルヘルスへの理解が深まり、働きやすい職場環境づくりが進みます。休職者が抱えていたストレス要因や課題が明らかになれば、それを踏まえた業務改善や制度見直しのきっかけにもつながります。

従業員への支援姿勢を示すことで、在籍する社員の安心感やエンゲージメント(組織への愛着)が高まる効果も期待できます。

さらに、健康経営に積極的な企業としての社会的評価が向上し、採用活動においても好印象となります。復職支援で蓄積したノウハウは、今後のメンタルヘルス対策にも活かせる貴重な財産です。

企業にとっての最大のメリットである「再休職リスクの低減」は、復職後のフォローがあってこそ最大化されます。復職直後の数ヶ月間は不安定になりやすい時期であるため、「戻って終わり」ではなく、継続的なフォローアップが定着には不可欠です。

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従業員にとってのリワーク利用のメリット

リワークプログラムは、休職中の従業員が安心して職場復帰を目指すための支援として、多くの利点があります。生活リズムの立て直しから、ストレスへの対処法の習得、実践的な業務訓練まで、復職に向けた準備を段階的に進められる点が特徴です。専門スタッフのサポートを受けながら、自身の状態を客観的に把握し、無理のないペースで復職への自信を取り戻すことができます。

以下では、従業員の視点から見たリワーク活用の具体的なメリットを解説します。

生活リズムの再構築と基礎体力の回復

リワークに定期的に通所することで、休職中に乱れがちな生活リズムを整え、日中の活動に必要な基礎体力を回復できます。決まった時間に起床し、施設へ通う習慣を続けることで、自然と規則正しい生活が身に付きます。

「朝きちんと起きられるか」「毎日通えるだけの体力があるか」を実際に確かめながら進められるため、復職に対する不安を軽減できる点も大きな利点です。

プログラムでは短時間の活動から始め、徐々に負荷を増やしていくため、フルタイム勤務に耐えうる体力を無理なく養えます。毎日出勤して働くには想像以上の体力が求められるため、この準備期間は復職を成功させる上で欠かせないステップとなります。

自己理解の深化とストレス対処スキルの習得

リワークでは、自身の病気やストレスの傾向について理解を深め、適切な対処法を身に付けることができます。プログラムを通じて、どのような状況でストレスを感じやすいのか、心身にどんな反応が現れるのかを把握し、セルフモニタリングの習慣を身に付けます。

認知行動療法に基づくトレーニングでは、思考パターンが気分や行動に与える影響を学び、物事の捉え方を柔軟にする力を高められます。さらに、再発予防プランとして、自身の不調のサインや調子が悪くなったときの対応策をリスト化することで、問題が深刻化する前に対処できるようになります。これらのスキルは復職後も長く役立ちます。

復職への不安軽減とスムーズな職場適応

模擬的なオフィス環境での業務訓練を通じて、仕事の感覚を取り戻し、復職への自信をつけられます。パソコン作業や書類作成、報告・連絡・相談の練習など、実際の職務に近い課題に取り組むことで、集中力や作業遂行能力を段階的に回復させていきます。小さな成功体験を積み重ねることで、漠然とした不安が「できる」という実感に変わっていく点も大きなメリットです。

専門の支援員が本人の状態を確認しながら復職計画を立て、主治医や産業医、人事担当者との連携もサポートします。段階的な復職支援により、急な復帰による負担を避け、職場に無理なく適応していくことが可能となります。

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休職中の従業員の方に向けて、リワークとは何かという基本から、実際のプログラム内容やサポート体制までをわかりやすくご説明いたします。
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リワーク導入における課題と注意点

リワークプログラムは復職支援に多くのメリットをもたらす一方で、導入にあたっては事前に把握しておくべき点もあります。費用の負担先やプログラム期間の調整、復職判断の進め方、職場の受け入れ体制づくりなど、人事・労務担当者が検討すべき事項は少なくありません。

これらの課題を理解した上で計画的に準備を進めることで、リワークの効果を最大限に引き出し、休職者のスムーズな職場復帰を実現できます。

費用負担と期間の確保

リワークの種類によっては費用が発生するため、誰が負担するかを事前に明確にしておく必要があります。医療リワークでは健康保険適用で1日あたり約2,000円〜3,000円かかりますが、「自立支援医療制度」を利用すれば自己負担が1割となり、費用を大きく抑えられます。この制度はあまり知られていなかったり、申請に心理的なハードルを感じる方も少なくないため、企業側から丁寧に周知することがリワーク利用の後押しになります。

福祉リワークでは原則1割負担ですが、前年度の世帯所得に応じて月額上限(0円、9,300円、37,200円)が設定されています。多くの方が0円または9,300円の枠内で利用されています。一方、地域障害者職業センターの職リハリワークは無料で利用できます。

企業がリワーク費用の一部を補助する場合は、その範囲も決めておくことが大切です。また、プログラムは通常3〜4ヶ月単位で続くため、休職期間の延長や代替要員の確保といった時間的な調整も求められます。

人事担当者がリワーク機関との連携に時間を割く場面も生じるため、長期的にはコスト削減につながるものの、一時的な負担が発生する点を理解しておくことが重要です。

復職可否の判断と受け入れ体制の整備

リワークプログラムを修了しても、それが直ちに完全な復職を意味するわけではありません。リワークでの評価は重要な参考情報となりますが、最終的な復職可否や配属先、業務内容については、主治医や産業医の意見を踏まえて企業側が判断する必要があります。適切な業務設計を誤ると再休職リスクが高まるため、慎重な検討が欠かせません。

受け入れ部署においては、復職者への業務量調整や時短勤務が他の従業員に過度な負担を与えないよう、丁寧な説明と業務分担の見直しが求められます。休職や治療に関する情報は機微な個人情報であるため、共有範囲を限定してプライバシーを保護しつつ、関係者間で適切な連携体制を整えることも大切です。

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監修者

馬場 岳

製造メーカーやITベンチャーの企業人事に従事した後、キャリアエージェントとして数多くの転職希望者の支援も実施。

現在は独立し、企業採用支援・キャリア支援・教育事業を展開し幅広い年代のキャリア支援に携わる。

人生の選択に正解はないからこそ、自分の意思で選ぶ力とそのプロセスを大切にしています。