ニューロリワーク札幌センター
1ヶ月の集中支援で週5日通所を実現。転職前の不安を解消し、安定就労へつなげた支援事例
こんにちは。ニューロリワーク札幌センターです。
当センターでは、一人ひとりの回復段階や状況に合わせた支援を行い、安定就労と職場定着を見据えたリワークに取り組んでいます。
中途採用や復職の場面において、「過去に離職を繰り返しており定着できるか」「短期間で必要なセルフケアを習得できるか」と不安を抱える企業担当者の方は少なくありません。
本事例では、メンタル不調を抱える20代男性に対し、転職前の「1ヶ月」という限られた期間の中で課題を整理し、週5日通所と実践的なセルフケアスキルの確立を支援したケースをご紹介します。
入社前の1ヶ月に焦点を絞り、心身の不調を乗り越えるセルフコントロール力を強化
取り組みの背景
対象となった方は、メンタル不調を背景に出勤困難と退職を繰り返してきた20代の男性です。
「仕事」を意識すると職場へ向かう途中で吐き気や震えが生じてしまい、出勤が安定しないことが過去の離職の主な要因でした。
当センターの利用開始時には前職の退職意向があり、ご自身で転職活動を進めている状況でした。
そのため、限られた時間でいかに再発を防ぎ、安定就労の基盤を作るかが焦点となりました。
生活リズムや外出習慣は保たれていたため、今回は「ストレスへの対処力向上」に特化した支援方針を策定しました。
利用当初は、過去の職場と同様に事業所に近づくだけで動悸や気分の落ち込みが現れ、通所が難しい日もありました。
そこで、通所が困難になる要因を支援員とともに丁寧に分析・整理し、「できたこと」に着目するフィードバックを重ねることで、少しずつ自信を育んでいきました。
訓練の内容
短期間で再就職後の安定就労につなげるため、自己理解の深掘りと実践的なツール作成に取り組みました。
① ナビゲーションブックの作成(自身の特性整理と対策)
ナビゲーションブックは、自身の特性や体調の波、得意・不得意を可視化し、職場で円滑に働くための対処法をまとめるツールです。
「対人関係の距離感の難しさ」「マルチタスクによる過重負荷」「100%以上の力で頑張りすぎる完璧主義」といった傾向を整理しました。
その上で、困った際の相談先や、転職先へ共有すべき配慮事項を具体的かつ現実的な内容で言語化しました。
企業への一方的な配慮要求にとどめず、本人の努力目標やセールスポイントも明記し、入社後にどう貢献したいかを前向きに伝えられる内容に仕上げました。
② ストレスコーピングシートの作成(対処法の体系化)
ストレスコーピングシートは、ストレス要因と心身の反応を可視化し、具体的な対処行動(コーピング)をあらかじめリスト化する取り組みです。
自身のコンディションを「良好・注意・悪化」の3段階で把握し、不調のサインを早期に察知するセルフモニタリング力を養いました。
悪化時の具体的な行動指針を定めたことで、過度な不安やストレスを受けても適切に自身をコントロールする準備を整えました。
ここがポイント
本事例で早期の行動変容につながった最大の要因は、「スモールステップによる安心感の醸成」と「多角的なアセスメント」です。
・スモールステップによる安心できる環境づくり
利用初期は「事業所に来ること」を最優先とし、まずは短時間の利用から段階的にスタートしました。
来所できた事実をスタッフ全員で肯定的に受け止め、「完璧でなくても受け入れられる」という安心感を醸成したことが、安定通所への土台となりました。
・多機関連携による客観的なアセスメント
スタッフとの信頼関係を深めつつ、主治医への通院同行や既存の支援機関からのヒアリングを実施しました。
本人の周囲にある社会資源と連携して客観的な状態把握を行ったことで、実効性の高い再発防止策とストレス対処プランの作成につながりました。
成果
1ヶ月間の集中トレーニングと周囲の環境調整を通じ、以下の成果を実現しました。
・週5日通所の達成
予期不安や身体症状を適切にコントロールできるようになり、入社前に週5日の通所リズムを確立しました。
・自己開示と相談行動の定着
自身の苦手な部分や抱えている不安を一人で抱え込まず、素直に周囲へ相談・表現できるようになりました。
・成功体験の獲得と自己効力感の向上
「不安を乗り越えて通い切れた」という経験が大きな成功体験となり、就労に対する前向きな自信を獲得しました。
ご本人からは「入社までの短期間で準備を整えたいという希望を受け止め、状況に合わせた計画を一緒に考えてくれたことが大きな支えになった」との言葉をいただいています。
入社後も6ヶ月間の「職場定着支援」を活用し、定期面談を通じて長期的な安定就労を引き続きサポートしてまいります。
企業の担当者の方へメッセージ
中途採用や復職の場面において、「準備期間が1ヶ月では短すぎるのではないか」と懸念される人事・産業保健担当者の方も多いかと思います。
しかし、本人の課題を的確に特定し、優先順位をつけて集中的にアプローチすることで、短期間であっても安定就労に必要な基盤を整えることは十分に可能です。
ご本人が自身の不調サインを客観視し、組織へ適切にSOSを出せる状態を作ることは、入社後の早期離職や再休職を防ぐ上で極めて有効な対策となります。
ニューロリワーク札幌センターでは、ご本人の意向や特性はもちろん、企業の受け入れ環境や求める水準にも配慮した個別支援計画を作成し、伴走いたします。
メンタル不調による離職防止や、採用後の定着支援についてお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。