復職と休職の繰り返しを防ぐには?人事・上司がすべき再発防止策
メンタル不調による休職者が復職した後、再び休職に至るケースは少なくありません。メンタルの不調は再発率が高く、一度復職しても同じストレス要因や不十分な回復状態によって、短期間で再休職となる方もいます。再休職が繰り返されると、本人の回復が遅れるだけでなく、周囲の従業員への負担増加や職場全体の生産性低下にもつながりかねません。
本記事では、復職と休職の繰り返しが起こる主な原因を整理した上で、企業がとるべき具体的な対応策や、復職者が安定して働き続けられる職場環境づくりのポイントを解説します。
復職と休職の繰り返しが起きる主な原因

メンタル不調による休職は、復職後に再び休職へ至る割合が高い傾向にあります。ある研究によると、1年で約3割、5年では5割近くの方が再休職しているというデータもあるといわれています。再休職が起こる背景には、従業員本人の回復状態に関する問題と、企業側の受け入れ態勢に関する問題の両方が存在します。それぞれの原因を正しく理解することが、再発防止の第一歩となります。
関連記事:メンタル不調で休職する人に多いタイプと、それぞれの対処法
メンタル不調が十分に治癒していない状態での復帰
メンタル不調が十分に治癒していない状態で復帰すると、業務のストレスに耐え切れず、短期間で再休職に至るリスクが高まります。本人が「早く復職したい」と焦るあまり、業務に耐えられるレベルまで回復していないにもかかわらず復帰を希望するケースは少なくありません。
収入やキャリアへの不安から、無理をして復職を急いでしまう方もいます。また、主治医の診断書に「復職可能」と記載されていても、それは日常生活レベルの回復を指している場合があり、業務遂行能力まで回復しているとは限りません。主治医は患者の職場環境や業務内容を細かく把握しているわけではなく、復職後にどれほどのストレスがかかるかを診察だけで判断することは困難です。
そのため、休職中は体調が良くなっていても、いざ出勤してみると仕事ができるほどには心身が回復していなかったと気付き、病気が再発するという悪循環に陥ることがあります。
企業の受け入れ態勢やフォロー体制の不足
企業側の受け入れ態勢やフォロー体制が不足していると、復職者がメンタル不調を再発させる可能性が高まります。復職時点では業務に問題がないと判断されていても、復職後のサポートが不十分であれば、再休職につながりかねません。
たとえば、メンタル不調の原因が顧客対応のストレスであったにもかかわらず、復職後も同じ業務に携わらせたり、休職前と同程度の業務量を課したりするケースが該当します。上司や同僚が「体調を崩す前の状態」をイメージして、復職後すぐに以前と同様のペースで働けると期待してしまう場合もあります。
しかし、職場復帰とは「病気を発症したときと同じ環境に戻る」ことを意味するため、休職前と同じ方法でストレスに対処しようとすると、再び体調を崩してしまう可能性が高くなります。現場の管理職や同僚の理解が不足していると、復職者が孤立したりプレッシャーを感じたりして、再休職に至るケースもあります。
復職後にまた休職してしまう…を防ぐには?
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従業員の再休職を防ぐために企業がとるべき対応
従業員が復職しても再び休職に至るケースでは、企業側のフォロー体制が十分でない可能性があります。再休職を防ぐためには、復職判断の段階から適切な対応を取り、段階的な復帰支援を行うことが重要です。
また、制度の適正な運用を担保し、従業員が安心して療養に専念できる環境を整えるために、就業規則の見直しも欠かせません。以下では、企業として取り組むべき具体的な対応策を確認していきます。
主治医だけでなく産業医の意見も踏まえた復職判断
復職の可否を判断する際は、主治医の診断書だけでなく、職場の実情を理解している産業医の意見も取り入れることが大切です。主治医の診断書は病状の回復程度に基づいて職場復帰の可能性を判断していることが多く、その職場で求められる業務遂行能力まで回復しているかどうかの判断とは限りません。
また、従業員や家族から「復職したい」という強い希望を受けて、その意向に沿った診断書が作成されるケースもあります。一方、産業医は労働安全衛生法に基づき、健康診断の実施や作業環境の維持管理、労働者の健康管理などの職務を担っているため、職場の状況を把握していると考えられます。主治医から復職可能との診断書が提出された場合でも、産業医の意見を判断材料に加えることで、より客観的な復職判断が可能になります。
試し出勤や短時間勤務による段階的な復帰支援
いきなりフルタイムで復帰させるのではなく、「試し出勤(リハビリ出勤)」や短時間勤務制度を活用して、徐々に身体を慣らす期間を設けることが再休職の防止につながります。厚生労働省のガイドラインでも、職場復帰前に本来の職場へ試験的に一定期間継続して出勤することが、検討すべき事項のひとつとして挙げられています。
試し出勤期間中は、通勤が可能か、一定時間デスクに向かっていられるか、業務遂行能力が戻っているかなどを観察し、本復職の可否を見極めます。主治医や産業医が業務に耐えられると判断していても、実際に職場に戻ると思った以上に負担を感じる場合も少なくありません。段階的な復帰プロセスを踏むことで、従業員本人も自信を持って職場に戻ることができ、再休職のリスクを低減できます。
就業規則の見直しと休職期間の通算規定の整備
就業規則に「休職期間の通算規定」がない場合、従業員が復職した後すぐに欠勤して再び休職しても、直前の休職期間と新たな休職期間は通算されません。
このため、短期間だけ復職して休職期間をリセットし、休職を延々と繰り返すことが制度上は可能になります。休職はあくまで復職を前提とした制度であるため、制度の適正な運用を担保しつつ、従業員が適切に療養に専念できるルールづくりが求められます。
こうしたルールづくりの一環として、たとえば就業規則に「同一または類似の理由による再休職の場合に、前後の期間を通算する旨」を定めておくケースもみられます。また、休職期間が満了しても復職が困難な場合に、スムーズに退職の手続きへ移行できるよう規定を明確にしておくことも重要です。
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復職後の安定就労を支える職場環境づくり

復職者が安定して働き続けるためには、復職判断や初期対応だけでなく、その後の職場環境づくりも欠かせません。復職直後はストレスがかかりやすい時期であり、周囲のサポートがなければメンタル不調を再発させてしまうことも十分に考えられます。
上司や人事担当者が継続的にフォローを行い、職場全体で復職者を支える体制を整えることが、再休職の防止につながります。
業務量の調整と定期的な面談によるモニタリング
復職直後は、業務量を軽減したり責任の重い仕事を外したりする配慮が求められます。この時期、復職者は「実際に仕事ができるのか」「体調が悪くならないか」といった不安を抱えながら、休職中とは異なる生活環境に置かれるためです。企業としては、復職後の一定期間は業務量を減らしたり、勤務時間や休憩時間を調整したりする支援を行うことが再休職を防ぐ上で重要になります。
また、上司や人事担当者が定期的に面談を実施し、体調や睡眠状況、業務上の困りごとなどをヒアリングすることで、不調のサインを早めに察知できます。本人の回復度合いに合わせて徐々に業務負荷を上げていく、柔軟なマネジメントが大切です。
管理職や同僚による理解とサポート体制の構築
復職者が孤立しないよう、管理職が中心となって職場の理解を深め、サポートしやすい雰囲気を作ることが大切です。周囲のサポートがなければ、メンタル不調を再発させるリスクが高まります。ただし、「腫れ物に触る」ような扱いではなく、適度な距離感で見守りながら、困ったときに声をかけられる関係性を築くことが望まれます。
復職者の心身への負担が大きかったり、うまく適応できていない状況が見られたりする場合には、本人や産業医の意見を十分に聴き取った上で、配置転換を検討することも選択肢のひとつです。管理職自身がメンタルヘルスに関する知識を持ち、部下の変化に気付けるよう、研修などを通じた教育を行うことも効果が期待できます。
外部のリワークプログラム活用による再発予防
社内だけの対応に限界がある場合は、医療機関や支援機関が提供する「リワークプログラム」を活用する方法があります。リワークプログラムとは、企業に通勤するのと同様にプログラム施設へ通い、同じ疾患を持つ仲間と活動しながら体調を整え、職場復帰の準備を行う取り組みです。
プログラムでは、まず生活リズムを整え、集団に慣れるところから始めます。その後、なぜ休職に至ったかの自己分析を行い、自身のものの見方や考え方のクセを見つめ直した上で、再休職しないための対処法を身に付けていきます。リワークプログラムを利用して復職した方の7割が3年後も就労を継続している一方、利用しなかった方の就労継続率は2割に満たないというデータも報告されています。
関連記事:休職からの復職が怖い方へ。復帰後の安定就労を目指すリワークプログラム
休職者が安心して通えるリワーク施設を見学しませんか?
ニューロリワークでは、実際のプログラムや支援の様子を確認できるリワークセンター内覧会を行っています。リワークセンターの様子をご確認いただき、自社の社員の方に合う場所かどうか、ぜひご確認ください。
ニューロリワークの復職支援(リワーク)で目指す定着
メンタル不調で休職された方が安定して働き続けられるよう「ニューロリワーク」では、復職後の定着を見据えたリワークプログラムを行っています。「ブレインフィットネスプログラム」を通じて運動、食事、睡眠、ストレスケア、知的刺激、人間関係の6領域にバランスよく取り組み、心と身体、脳の健康を整えていきます。生活習慣が改善されることで体調が崩れにくくなり、安定した就労へとつながります。
また、セルフケアの習得や自己理解を深める機会を通じて、不調の再発を防ぐための視点を整理する機会も設けています。加えて、復職後も定期的な面談を通じて職場環境や生活状況を伺い、より働きやすい環境になるよう支援を行っています。休職を繰り返す従業員への対応にお悩みの人事担当者や管理職の方は、ぜひ一度ご相談ください。
「リワークで何ができる?」
施設の利用や連携について専門家に個別相談
施設での取り組み内容や、人事・産業担当者との連携フローについて詳しくご説明します。
「現在、対象者はいないが今後のために知りたい」「自社の社員に合うか確認したい」という場合も、情報収集の一環としてお気軽にご活用ください。
監修者
工藤 知紀
千葉くどう産業医事務所株式会社 代表取締役/産業医
札幌医科大学医学部卒業後、製鉄記念室蘭病院にて初期研修を修了。
豊田合成株式会社の専属産業医として従業員の健康管理・メンタルヘルス支援に従事したのち、独立して「千葉くどう産業医事務所株式会社」を設立。
現在は多業種の企業において20社以上の産業医を務め、労働衛生・メンタルヘルス・健康経営の各分野で幅広く活動。
法令遵守を踏まえた実践的な健康管理体制の構築や、安全衛生委員会・復職支援・ストレスチェック運用など、企業の現場に根ざした伴走型サポートを行っている。
■保有資格:
日本医師会認定産業医/産業保健法務主任者(メンタルヘルス法務主任者)/健康経営エキスパートアドバイザー/両立支援コーディネーター
ホームページ:https://kudo-sangyoui.com/
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