適応障害の社員への会社対応|適切な措置と職場環境改善のコツ
仕事や職場環境がストレス要因となり、適応障害と診断される従業員は少なくありません。強い不安や心身の不調により出勤が困難となり、休職や退職に至るケースもあります。企業の人事担当者や管理職には、適応障害に関する正しい知識を持ち、発症時の初期対応から休職・復職手続き、再発防止策まで、適切に対応することが求められます。
本記事では、適応障害の基本的な症状から職場環境の改善ポイントまで、実務に役立つ情報を解説します。
社員がメンタル不調で休職…どう対応すべき?
復職支援(リワーク)という選択肢と具体的な支援内容
社員がメンタル不調で休職した際、「復職までどう支援すべきか」と悩む企業担当者は少なくありません。対応次第で、再休職や離職リスクが高まるケースもあります。
本資料では、再発防止と安定就労を目的とした復職支援(リワーク)の具体的な支援内容や流れや企業との連携方法についてご紹介します。自社での対応に限界を感じている方は、ぜひご活用ください。
適応障害とは?企業が把握すべき主な症状と仕事への影響

適応障害とは、自身の置かれた環境への適応がうまくいかず、何らかのストレスによって心身のバランスが崩れ、日常生活に支障をきたしている状態を指します。
主な症状には、抑うつ気分や不安、不眠、頭痛などがあり、対人関係や社会生活の継続が困難になる場合も少なくありません。企業の人事担当者や管理職は、適応障害の症状や仕事への影響を正しく理解し、早期発見と適切な対応につなげることが大切です。
関連記事:【うつ病】休職からの職場復帰・復職は誰だって怖い?【適応障害】
情緒面や身体面に現れる心身のサイン
適応障害では、不安感や緊張、抑うつ気分といった情緒面の症状が現れやすく、これらは業務中の集中力低下や判断ミスにつながる恐れがあります。また、身体面においては不眠や頭痛、食欲不振、倦怠感などの症状が出現しやすい傾向にあります。
こうした身体的な不調は適応障害の初期段階から見られることが多く、原因が分からないまま内科を繰り返し受診しているケースも少なくありません。
周囲が気付くべき主なサインとしては、以下のようなものがあります。
| 分類 | 主な症状・サイン |
| 精神面 | 抑うつ気分、強い不安、焦燥感、緊張 |
| 身体面 | 不眠、倦怠感、動悸、吐き気、腹痛 |
仕事のパフォーマンスを低下させる行動の変化
適応障害の兆候は、行動面にも顕著に現れます。遅刻や欠勤の増加、仕事の効率が極端に落ちるといった変化は、適応障害を示すサインである可能性があります。
さらに、暴飲暴食や飲酒量の増加、攻撃的な言動など、対人関係に支障をきたす行動が見られることもあります。加えて、身だしなみに気を遣わなくなる、会話が減る、ぼんやりしていることが多いといった変化も注意すべきポイントです。管理職や周囲の従業員がこうしたサインを早期にキャッチし、産業医への相談につなげることが重要となります。
ストレス因子の特定が重要な発症のメカニズム
適応障害は「何らかのストレス」が原因となって引き起こされるため、発症の要因となったストレス因子を特定することが診断において重要な意味を持ちます。DSM-5およびICD-11の適応障害診断基準によると、ストレス因子の発生から一定期間内に症状が出現し、その因子がなくなれば数ヶ月以内に軽快するという時間的な特徴があります。
同じ体験をしても適応障害になる方とならない方がいますが、これは人格や精神の弱さによるものではなく、主観的な体験の違いによるものです。適応障害は誰にでも起こりうる病気であるという認識を職場全体で共有することが大切です。
社員のメンタル不調にどう対応する?
人事・産業保健担当者向け復職支援(リワーク)資料
メンタル不調のサインに早く気付くことは重要ですが、それだけでは再休職の防止につながりません。復職に向けた適切な支援体制を整えることが、本人と企業双方にとって重要です。
本資料では、再休職を防ぐ復職支援(リワーク)の全体像、企業・産業保健・医療機関との連携方法、再発防止を目的とした実践的なプログラム内容をまとめています。復職支援の具体策を知りたい方は、ぜひ資料をご請求ください。
社員が適応障害になった際の企業としての初期対応

従業員に適応障害の症状が見られる場合、医学的な見地から健康状態を評価した上で、適切な就業上の措置を講じる必要があります。
初期対応として重要なのは、産業医面談による専門的な評価、主治医の診断書に基づく休職要否の判断、そしてストレス要因を軽減するための職場配慮の3点です。
これらの対応を適切に進めることで、従業員の健康回復を支援しながら、労働災害やトラブルを未然に防ぐことが可能となります。
参考:厚生労働省│改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引
産業医面談による医学的な評価の実施
従業員の言動や就労状態から適応障害が疑われる場合、または適応障害と診断された場合には、産業医との面談を促すことが重要です。適応障害の要因となる出来事は複合的な場合もあり、目に見える症状や本人の申し出のみで判断することは困難といえます。
専門知識を有する産業医との面談を通じて、医学的な見地から従業員の心身の状態を評価することが求められます。産業医に具体的な業務内容や職場環境を共有し、就業の可否や配慮の必要性について意見を求めることで、適切な措置を検討できるようになります。面談の機会を設けることは、仕事と治療を両立しやすい職場環境づくりにも役立ちます。
主治医の診断書に基づく休職要否の判断
適応障害が疑われる従業員や、心身の不調を訴える従業員がいる場合は、医療機関への受診勧奨を行います。症状や健康状態に応じた休職措置を検討するためにも、主治医による診断書の提出を求めることが必要です。
ただし、適応障害をはじめとする精神疾患の特性上、初期段階では確定診断が難しいため、主症状である「不眠症」などの名称で診断書が発行されるケースもあります。そのため、診断名だけでなく産業医や人事担当者の意見も踏まえて総合的に判断することが重要となります。診断書を精査する際には、就業制限の有無や休職期間の目安についても確認することが大切です。
ストレス要因の軽減を図るための職場配慮
適応障害の原因となるストレス因子が判明している場合は、労働環境や組織の改善を行うことが効果的です。業務量の調整や部署異動といった大きな変更だけでなく、出社時刻の見直しや座席位置の変更、ミーティング方法の工夫など、細かい部分を調整するだけでも症状の軽減につながる場合があります。
適応障害を治療するには、ストレス状況から離れる、あるいはストレス因子を取り除くといった心理的な回復が必要とされています。本人が適応しやすい環境を整えるため、些細な配慮であっても積極的に取り入れることが大切です。
社員がメンタル不調で休職…どう対応すべき?
復職支援(リワーク)という選択肢と具体的な支援内容
社員がメンタル不調で休職した際、「復職までどう支援すべきか」と悩む企業担当者は少なくありません。対応次第で、再休職や離職リスクが高まるケースもあります。
本資料では、再発防止と安定就労を目的とした復職支援(リワーク)の具体的な支援内容や流れや企業との連携方法についてご紹介します。自社での対応に限界を感じている方は、ぜひご活用ください。
適応障害による休職から復職までの企業側の手続き

休職制度は法律による定めがないため、運用方法は各企業に委ねられています。従業員から休職の申し出があった場合には、就業規則に基づいて適切に手続きを進めることが求められます。
以下では、休職規定の確認から経済的支援制度の案内、休職期間中の連絡方法まで、企業側が押さえておくべき実務上のポイントを解説します。
参考:厚生労働省│事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン
就業規則に則った休職規定と期間の確認
休職制度は法律で定められておらず、運用方法は企業ごとに異なります。ただし、労働安全衛生法に基づき、事業者には労働者の健康確保のための措置を講じる義務があり、就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮などの就業上の措置が求められます。就業規則に休業や勤務制度等に関する社内ルールが整備されていないと、個別対応が難しくなるため、事前の整備が重要です。
従業員から休職の申し出があった際には、自社の就業規則で規定を確認し、それに従って手続きを進めます。休職希望者との面談では、社会保険料の徴収方法や休職中の連絡頻度、療養の経過報告、復職時の取り決めなどを共有しておきます。
労災認定や傷病手当金に関する申請の支援
業務上の理由によるストレスが原因で休職する場合は、労働災害(労災)として認定される可能性があります。労災認定を受けると、労働基準監督署から休業補償給付が支給されます。
一方、労災以外の傷病による休職では原則として賃金は支給されませんが、健康保険に加入している従業員であれば傷病手当金を受給できます。労災認定には時間がかかるため、当面の生活費として傷病手当金を申請するケースもあります。ただし、後に労災認定が降りた場合は、先に受け取った傷病手当金を返還する手続きが必要になる点に注意が必要です
以下の表に主要な経済的支援制度の概要をまとめました。
| 制度名 | 支給の目的・条件 | 支給期間(目安) |
| 休業補償(労災) | 業務上の理由による不調。労災認定が必要。 | 療養のために働けない期間 |
| 傷病手当金 | 業務外の病気や怪我。社会保険加入者が対象。 | 通算で1年6ヶ月 |
休職期間中における適切な連絡と状況把握
休職期間中は療養に専念することが原則ですが、仕事から離れてしまうと孤独感や疎外感を抱く従業員もいます。そのため、事前に合意した方法で適宜連絡を取り、つながりを維持することが大切です。
具体的には、月に1回程度の頻度で近況報告書の提出を依頼し、病状の経過や復職への意向を段階的に確認していきます。近年では、クラウド型の休業者管理システムを活用する企業も増えており、休職者情報の一元管理やコミュニケーションの効率化に役立てられています。
社員がメンタル不調で休職…どう対応すべき?
復職支援(リワーク)という選択肢と具体的な支援内容
社員がメンタル不調で休職した際、「復職までどう支援すべきか」と悩む企業担当者は少なくありません。対応次第で、再休職や離職リスクが高まるケースもあります。
本資料では、再発防止と安定就労を目的とした復職支援(リワーク)の具体的な支援内容や流れや企業との連携方法についてご紹介します。自社での対応に限界を感じている方は、ぜひご活用ください。
適応障害の再発を防ぐための職場復帰サポートの進め方

職場復帰時の健康状態は、完全に回復しているとは限りません。症状によっては注意力や集中力の低下、疲れやすさが残っている場合もあります。再発を防ぎながら安定した就労につなげるためには、段階的な復帰支援と継続的なフォローアップが欠かせません。
以下では、試し出勤の導入から関係者との連携、業務内容の調整まで、職場復帰を成功させるためのポイントを解説します。
段階的な就労を可能にする試し出勤の導入
復職が可能と判断された場合でも、最初からフルタイム勤務を求めるのではなく、短時間や軽い業務での「試し出勤」から開始することが重要です。試し出勤を経て少しずつ勤務時間を延ばしていくことで、スムーズな職場復帰が実現しやすくなります。
復帰後の早い段階では、上司が頻繁に1対1の面談を実施し、本人の状態を確認することも大切です。復職した従業員は、自身でも気付かないうちに無理をしている場合があるため、面談を通じて疲労やストレスの蓄積を把握し、適切な対応につなげていきます。
関連記事:試し出勤制度を解説!リハビリ出勤の給与や期間、進め方
産業医や家族と連携した包括的な見守り
本人の希望や意思だけで復職を進めてしまうと、時間の経過とともに休職前の状態に戻ったり、症状が悪化したりする可能性があります。
そのため、専門的な判断ができる主治医や産業医、生活をともにする家族とも連携しながら復職を進めることが大切です。産業医は主治医との連携における中心的役割を担い、就業上の配慮に関する意見を企業側にフィードバックします。
復職後も、症状の再燃や新しい問題の発生がないかを継続的に確認し、状況に応じて職場復帰支援プランを見直していくことが大切です。
本人の適性に合わせた業務内容の調整
業務の性質自体がストレスの原因となっていた場合は、従業員が復帰する前に環境の変更や調整を済ませておくことが望まれます。たとえば、スケジュールが流動的な仕事から単調な作業へ移管させたり、配属するチームや部署を変更したりといった対応が考えられます。
注意力や集中力の回復が十分でない場合もあるため、業務内容や量は本人の希望や主治医の意見を踏まえて決定します。上長は本人の業務範囲や配慮の期間を明確にし、職場の他のメンバーにも復職後の計画を説明して理解を得ておくことが重要です。
社員がメンタル不調で休職…どう対応すべき?
復職支援(リワーク)という選択肢と具体的な支援内容
社員がメンタル不調で休職した際、「復職までどう支援すべきか」と悩む企業担当者は少なくありません。対応次第で、再休職や離職リスクが高まるケースもあります。
本資料では、再発防止と安定就労を目的とした復職支援(リワーク)の具体的な支援内容や流れや企業との連携方法についてご紹介します。自社での対応に限界を感じている方は、ぜひご活用ください。
適応障害を未然に防ぐ職場環境づくりのポイント

従業員の適応障害を防ぐためには、ストレスの要因を早期に発見し、改善策を講じることが求められます。日ごろから従業員のストレス状況や要因を把握できる体制を整えることで、職場環境の改善や適切な就業上の配慮が可能となります。
長時間労働やハラスメントの是正、定期的なストレスチェックの実施、相談しやすい窓口の整備など、組織として取り組むべき予防策を確認していきます。
長時間労働の改善とハラスメントの撲滅
長時間労働が横行する職場は、多くの従業員にとって適応が困難な環境といえます。不当な長時間労働が続くとストレスが蓄積し、適応障害の発症につながる恐れがあるため、勤怠管理を適切に実施し、労働時間に問題が生じている場合は速やかに是正することが重要です。
また、パワハラやセクハラをはじめとするハラスメントも適応障害の要因となりえます。近年ではリモートワーク環境下での「リモハラ」も問題視されており、あらゆる角度からハラスメントの予防と撲滅に取り組むことが、従業員をストレスから守ることにつながります。
ストレスチェックによる組織課題の可視化
50人以上の従業員が働く事業場では、年1回以上のストレスチェック実施が法律で義務付けられています。ストレスチェックを受けることで、従業員本人が自身のストレス状態に気付き、セルフケアの必要性を認識できるため、メンタル不調の未然防止につながります。
集団分析の結果を活用すれば、組織全体のストレス傾向を把握し、高ストレスな職場の環境改善に役立てることも可能です。さらに、月1回程度の頻度で実施する「パルスサーベイ」を併用することで、従業員の微細な変化にも迅速に対応できるようになります。
心理的安全性を高める相談窓口の周知
適応障害のきっかけとなるのは、環境に適応できないこと自体ではなく、それによって生じるストレスです。そのため、日々の悩みや不安を気軽に相談できる窓口を設置し、産業医や専門スタッフにアクセスしやすい環境を整えることが重要となります。
「心理的安全性」の高い組織では、従業員が懸念や不安を口に出しやすく、深刻なメンタル不調に陥る前に問題を顕在化できる予防効果が期待できます。相談窓口の周知にあたっては、匿名での相談が可能であることや、プライバシーが厳守されることを改めて伝え、積極的な活用を促していくことが大切です。
社員のメンタル不調にどう対応する?
人事・産業保健担当者向け復職支援(リワーク)資料
メンタル不調のサインに早く気付くことは重要ですが、それだけでは再休職の防止につながりません。復職に向けた適切な支援体制を整えることが、本人と企業双方にとって重要です。
本資料では、再休職を防ぐ復職支援(リワーク)の全体像、企業・産業保健・医療機関との連携方法、再発防止を目的とした実践的なプログラム内容をまとめています。復職支援の具体策を知りたい方は、ぜひ資料をご請求ください。
ニューロリワークの復職支援で社員の安定した働き方を実現
休職者の復職を支援する「ニューロリワーク」では、脳科学者や精神科医、公認心理師などの監修のもと、生活習慣を改善する「ブレインフィットネスプログラム」を導入しています。運動、食事、睡眠、ストレスケア、知的刺激、人間関係の領域をバランスよく整えることで、心と身体、頭(脳)が健康になり、体調を崩しにくい土台が身に付きます。
職場との連携や就労後の定着サポートにも力を入れており、多くの方がスムーズな職場復帰を実現しています。適応障害からの復職を目指す従業員の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
「リワークで何ができる?」
施設の利用や連携について専門家に個別相談
施設での取り組み内容や、人事・産業担当者との連携フローについて詳しくご説明します。
「現在、対象者はいないが今後のために知りたい」「自社の社員に合うか確認したい」という場合も、情報収集の一環としてお気軽にご活用ください。
監修者
石山 亜由美
医療ライター/開業保健師
看護師・保健師としての現場経験を基盤に、医療・健康分野の記事執筆や監修を行う。これまでに疾患解説、転職、産業保健、メンタルヘルス領域など多数の記事制作に携わる。企業向け産業保健支援にも従事し、健康経営や従業員の安全配慮の視点を踏まえ、法令やリスクマネジメントにも配慮した医療情報を発信。現場視点とエビデンスに基づき、正確性と信頼性を担保したコンテンツ制作のサポートを提供している。
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