休職期間の上限は何ヶ月?最大何年まで?法律や相場を徹底解説
休職期間の上限は法律で定められておらず、各企業が就業規則によって独自に設定しています。数ヶ月から3年程度の範囲で上限を設ける企業が多いものの、企業規模や勤続年数、休職の理由によって適切な期間は異なります。制度の設計や運用を誤ると、従業員とのトラブルや労務リスクにつながりかねません。
本記事では、休職期間の上限に関する相場や休職理由ごとの期間設定、給与・社会保険料の取り扱い、さらに復職・退職までの実務フローまでを体系的に解説します。自社の休職制度を見直す際の参考としてお役立てください。
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休職とは?制度の定義と欠勤・休業との違い

休職とは、従業員が病気やケガなどの個人的な事情により就労が困難になった場合に、雇用関係を維持したまま一定期間仕事を休むことができる制度です。労働基準法などの法律で定められた制度ではなく、各企業が就業規則によって独自に設計しています。
休職と混同されやすい「欠勤」や「休業」とは、休みの理由や労働義務の扱い、給与・手当の有無において明確な違いがあります。それぞれの違いを以下の表で整理したうえで、解説します。
| 項目 | 休職 | 欠勤 | 休業 |
| 主な理由 | 個人の事情(病気・ケガ等) | 自己都合(突発的な体調不良等) | 企業都合・法令(育休、経営難等) |
| 労働義務 | 免除される | 免除されない | 免除される |
| 期間 | 長期的・計画的 | 短期的・一時的 | 状況や法令により様々 |
| 給与・手当 | 原則無給(傷病手当金等) | 原則無給 | 休業手当(平均賃金の60%以上等) |
| 根拠 | 就業規則 | 就業規則・雇用契約 | 労働基準法等の法令・就業規則 |
休職と欠勤における定義の違い
休職と欠勤の大きな違いは、労働義務が免除されているかどうかにあります。休職は、医師の診断書などをもとに企業が判断し、従業員の労働義務を免除する制度です。
一方、欠勤は労働義務がある日に従業員が自己都合で仕事を休むことを指します。たとえば、朝起きたら発熱していたために急遽仕事を休むといったケースは欠勤に該当します。また、欠勤は短期間で突発的な不就労であるのに対し、休職は長期間にわたり計画的に取得されるという特徴があります。
なお、欠勤は原則として給与が支払われず、事前連絡なく休んだ場合は無断欠勤として契約違反と見なされる可能性もあるため、両者の扱いは大きく異なります。
休職と休業における定義の違い
休職と休業の違いは、休みの理由が従業員側の事情によるものか、企業都合や法令に基づくものかという点にあります。休職は従業員個人の病気やケガといった事情に基づく休みであり、原則として賃金の支払義務は発生しません。
これに対して休業は、企業側の都合や法令の規定によって従業員に仕事を休ませる制度であり、労働基準法第26条の規定により、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合は平均賃金の60%以上にあたる休業手当の支払義務が生じます。
さらに、育児休業や介護休業のように法律に基づいた制度による休みは「休職」ではなく「休業」として扱われます。育児・介護休業法第2条では、育児休業を「労働者がその子を養育するためにする休業」、介護休業を「要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業」と定義しています。
参考:労働基準監督署|休業手当について
参考:e-GOV法令検索|育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第二条
社員がメンタル不調で休職…どう対応すべき?
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休職期間の上限はいつまで?法律の規定と設定の目安

休職期間の上限を定める法律は存在しません。各企業が就業規則によって独自に設定しており、短い場合で数ヶ月、長い場合で3年程度が相場となっています。
期間を決める際には、従業員の回復に必要な時間と企業運営への影響のバランスを考慮することが重要です。実際の上限設定は企業の規模や従業員の勤続年数によって大きく異なるため、それぞれの観点から相場と設定の考え方を整理します。
企業規模による休職期間の相場
企業の正社員規模が大きくなるにつれて、休職期間の上限は長くなる傾向にあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、正社員1,000人以上の大企業では「1年6ヶ月超から2年まで」を上限とする割合が28.9%で最多です。
一方、正社員100人〜299人および99人以下の企業では「6ヶ月超から1年まで」が最多であり、中堅規模の300人〜999人でも「1年超から1年6ヶ月まで」にとどまっています。さらに、規模が小さい企業ほど「上限なし」とする割合が高く、期限を設けずに柔軟に対応しているケースも少なくありません。
| 正社員規模 | 最も多い上限設定(ボリュームゾーン) | 特徴・傾向 |
| 1,000人以上 | 1年6ヶ月超〜2年まで (28.9%) | 大企業では最長2〜3年認めるケースもめずらしくない。 |
| 300人〜999人 | 1年超〜1年6ヶ月まで (20.7%) | 中堅規模から上限設定が長文化する傾向が強まる。 |
| 100人〜299人 | 6ヶ月超〜1年まで (22.7%) | 1年以内を一つの区切りとする設定が一般的である。 |
| 99人以下 | 6ヶ月超〜1年まで (21.0〜23.6%) | 規模が小さいほど「上限なし」の割合も高くなる。 |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)|メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査
勤続年数に応じた休職期間の設定
約半数の企業が勤続年数に応じて休職期間の上限を区分しており、企業への貢献度に見合った配慮として、長く勤めた従業員ほど長い休職が認められる傾向にあります。具体的な目安としては、勤続1年以上3年未満で上限3ヶ月、3年以上5年未満で6ヶ月、5年以上10年未満で1年、10年以上で1年6ヶ月といった段階的な設定が多く見られます。
特に、休職期間満了後に退職や解雇となる旨を就業規則で定めている企業では、勤続年数が長い従業員ほど解雇までの猶予期間を確保する目的で、休職期間を長めに設定する傾向が見られます。
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休職理由による休職期間の違いと具体例

休職期間の上限は、休職の理由によっても大きく異なります。病気やケガによる私傷病休職と、留学や出向に伴う休職では、期間の目安や決まり方がそれぞれ違うため、理由ごとの特徴を把握しておくことが重要です。
また、期間のカウント方法や延長の可否、更新の手順なども休職の種類によって異なるため、就業規則への記載にあたっては個別の整理が欠かせません。
| 休職の種類 | 主な理由・目的 | 一般的な期間設定の目安 | 期間の決まり方 |
| 私傷病休職 | 業務外の病気やケガ(メンタル不調含む) | 3ヶ月〜2年程度 | 勤続年数に応じて段階的に設定されることが多い。 |
| 自己都合休職 | ボランティア、資格取得、家庭の事情 | 数週間〜数ヶ月 | 企業と従業員の合意、または目的達成に必要な期間。 |
| 留学休職 | 国内外の教育機関での学び | 1年〜2年程度 | 留学プログラムの期間に合わせて設定される。 |
| 出向休職 | グループ企業等への出向 | 1年〜3年程度 | 出向契約で定められた出向期間と連動する。 |
| 組合専従休職 | 労働組合の役員業務への専念 | 任期中(1年ごとの更新等) | 組合役員の任期に合わせて運用される。 |
| 公職就任休職 | 議員などの公職への就任 | 任期中(4年〜6年など) | 公職の任期(数年単位)に合わせて設定される。 |
| 起訴休職 | 刑事事件での起訴 | 判決確定まで | 具体的な月数ではなく、裁判の結末までとされるのが一般的 。 |
| 事故欠勤休職 | 逮捕・勾留や不慮の事故 | 2週間〜1年程度 | 私傷病に準ずるか、より短い期間が設定される傾向にある。 |
うつ病や適応障害などの私傷病休職
メンタルヘルス不調を含む私傷病休職は、3ヶ月から1年程度の範囲で設定され、回復状況に応じて延長される場合が多くなっています。適応障害はストレス源から離れることで1〜3ヶ月程度で状態が落ち着くケースがある一方、うつ病は中等度から重度の場合に1年以上の休養を要することもあります。
また、薬物療法による症状の改善だけでは再発リスクが残るため、生活リズムの再建やリワークプログラムへの参加といった復職準備の期間も含めて、休職期間を検討する視点が大切です。
自己都合や留学・出向に伴う休職
資格取得や家族の介護などによる自己都合休職は、数週間から数ヶ月の範囲で設定されるケースが大半です。出向休職は出向契約で定められた出向期間と連動するため、1年から3年程度を一区切りとする企業が多くなっています。
留学休職は研修プログラムの期間に合わせて1〜2年程度、議員などの公職就任休職は任期に応じて4〜6年にわたるケースもあります。これらの休職は本人の意思や対外的な任期が明確であるため、期間満了時の取り扱いについても、あらかじめ企業と従業員の間で合意がなされている場合がほとんどです。
起訴休職や事故欠勤に伴う休職
起訴休職は、刑事事件で起訴された従業員に適用され、判決が確定するまでの間を休職期間とする運用が広く採用されています。裁判の進行状況によっては長期化する可能性もあり、就業規則上は「判決確定まで」と定められるケースが多く見られます。
事故欠勤休職は、逮捕・勾留の期間、また不慮の事故の場合は私傷病休職と同様に3ヶ月から1年程度を一区切りとし、治療経過や回復状況に応じて延長が判断されます。なお、起訴休職には問題行動への措置としての性格もあるため、有罪・無罪の結果によってその後の雇用継続の可否を検討することになります。
社員がメンタル不調で休職…どう対応すべき?
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休職期間を決めるための判断軸

休職期間の上限を適切に設定するには、就業規則の規定だけでなく、医学的な所見や経済的な支援制度、従業員個人の状況など、複数の判断材料を総合的に検討する必要があります。
従業員の職務内容や復職後の人員配置も重要な考慮要素です。期間の長短が従業員の回復と企業運営の双方に影響を与えるため、根拠に基づいた判断が必要です。
主治医の診断書と産業医の専門的意見
休職期間を決めるうえで、主治医の診断書は一次的な根拠となります。診断書には病名や症状、療養に必要な期間が記載されており、この内容を基に休職期間が検討されます。
ただし、主治医の判断はあくまで医学的な目安であり、職場復帰の可否を判断するには、職務の実態を把握している産業医の意見も不可欠です。
復職の可否は主治医の診断書と産業医の意見を総合的に考慮して判断するのが適切とされています。両者の見解が異なる場合は、それぞれの所見を慎重に突き合わせたうえで期間を決定する姿勢が大切です。
傷病手当金の支給期間の考慮
健康保険の傷病手当金は、業務外の病気やケガで休職した場合に、通算で1年6ヶ月を上限として標準報酬月額の3分の2相当が支給される制度です。(※健康保険の傷病手当金は、2022年1月の法改正により、支給期間が「通算」で計算されるようになりました。これにより、途中で一時的に復職して支給が停止された期間があっても、残りの期間を後から活用できるようになっています。)
多くの企業がこの支給期間を休職上限設定の参考にしています。支給が終了すると本人の経済的負担が急激に増大するため、1年6ヶ月が事実上の上限として機能している実態があります。
休職期間は長いほどよいというものではなく、傷病手当金による経済的な支えがある範囲内で療養計画を立てることが重要です。支給条件や通算方式のルールについて、あらかじめ本人に丁寧に説明しておくことが必要です。
過去の勤続年数と企業への貢献度の確認
就業規則で「勤続○年以上の者は○ヶ月」と明文化されている場合、その規定に則って正確に算定する対応が不可欠です。勤続年数が長い従業員ほど、企業への貢献度に見合った配慮として休職期間が長めに設定される傾向にあります。
特に、休職期間満了後に退職や解雇となる規定がある企業では、勤続年数が長い従業員ほど解雇までの猶予期間を確保する意味合いも含まれています。一方、勤続年数が短い新採用者は上限が短くなるのが大半ですが、一律で期間を設定している企業もあり、個別の事情に応じて延長を認める余地を就業規則に盛り込んでおくことも検討に値します。
休職期間中の給与と社会保険料の取り扱い

休職中は「ノーワーク・ノーペイ」の原則により、基本給が支給されないケースが大半です。しかし、給与の支払いがなくても社会保険料や住民税の負担は継続するため、人事・労務担当者はこれらの徴収方法を適切に管理しなければなりません。
通常は給与から天引きで処理している項目が、休職中は対応できなくなるため、休職開始前の段階で徴収ルールを整備し、従業員への説明を済ませておくことが大切です。
社会保険料の発生と徴収方法の管理
休職中であっても、健康保険・介護保険・厚生年金保険といった社会保険の被保険者資格は継続します。そのため、給与の支給がない期間も、企業負担分と本人負担分の保険料は通常通り発生します。
一方、雇用保険や労災保険などの労働保険料は支給される給与額をもとに算出されるため、無給であれば発生しません。問題となるのは、給与がゼロの状態では天引きによる徴収ができない点です。「企業が一時的に立て替え、復職後に精算する」「本人が毎月振り込む」など、具体的な徴収方法をあらかじめ定めておく必要があります。
住民税の納付と手続きの周知
住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、休職中で給与の支給がない場合でも納付義務が継続します。所得税は給与が支給されなければ源泉徴収の対象外となりますが、住民税はこの仕組みとは異なるため注意が必要です。通常の特別徴収(給与天引き)が継続できない場合は、普通徴収への切り替え手続きが生じます。なお、特別徴収を継続し、従業員が毎月、会社が指定する口座に住民税額を振り込む(または立て替えて精算する)運用を行う企業も多く見られます。どの方法をとるか、休職前に合意しておくと円滑に進めることができます。
納税通知書が届くタイミングや支払い方法については、休職開始時に本人へ確実に案内しておくことが重要です。税金の支払いが滞ると従業員自身の負担が増すため、徴収方法の変更に関する説明は早めに済ませておくことが大切です。
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休職期間満了時の対応と復職・退職のフロー

休職期間が満了を迎えると、「復職する」か「退職する」かの大きく2つの対応に分かれます。どちらの場合も、適切な手続きと判断基準に基づいた対応が不可欠です。
復職にあたっては産業医の判断や段階的な職場復帰の支援が重要となり、復職が困難な場合は就業規則に沿った退職・解雇の手続きを進めることになります。
産業医の復職判断とリハビリ出勤の実施
従業員が復職を希望する場合、まず主治医から「復職可能」と判断された診断書を確認し、そのうえで産業医との面談を実施します。産業医のアドバイスをもとに、勤務時間の調整や業務上の制限といった就業条件をすり合わせることが重要です。
復帰にあたっては、いきなり通常勤務に戻すのではなく、短時間勤務や軽作業によるリハビリ出勤を取り入れ、段階的に職場復帰を進める方法が広く採用されています。業務内容や部署異動などの調整が必要な場合は、人事・労務担当者が該当部署の管理職と協議し、受け入れ態勢を整えたうえで復職日を決定します。
休職期間の延長が認められる条件の検討
就業規則で定められた上限の範囲内であれば、医師の診断書に基づいて休職期間の延長が認められる可能性があります。延長の判断にあたっては、「復帰可能な時期が明確に見立てられていること」や「回復の兆しが客観的に確認できること」が重要な材料となります。
たとえば「あと1ヶ月で復帰可能」という具体的な見通しが示されている場合は認められやすい一方、回復時期の目処が立たない状態では延長が難しくなる傾向にあります。上限を超えた延長は企業側の裁量に委ねられるため、復職の見通しについて人事担当者や産業医と率直に話し合うことが建設的な対応となります。
復職困難な場合の自然退職と解雇の手続き
休職期間が満了しても復職の見込みがない場合、多くの企業では就業規則の規定に基づき「休職期間満了日をもって自動的に退職とする」自然退職の扱いを採用しています。しかし、形式上「自然退職」でも、実質は「解雇に準じて」判断されます。解雇を検討する場合は、労働契約法第16条により客観的に合理的な理由が必要とされ、社会通念上相当と認められないときは権利の濫用として無効となる点に留意が必要です。判例上は、「元の業務が完全に遂行できなくても配置転換等により遂行可能な業務がある場合」は、退職や解雇が認められないケースもあります。そのため、慎重な検討が求められるという点に注意が必要です。
また、離職票の退職理由は失業給付の受給に影響するため、「自己都合退職」ではなく「傷病による退職」などの記載が適切かどうかをハローワークに確認し、本人が給付を適切に受けられるよう離職証明書の作成を進めることが大切です。
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復職後の安定した就労を支える「ニューロリワーク」
「ニューロリワーク」は、うつ病や適応障害などメンタル不調のある方を対象に、復職・就職に向けたサポートを行う自立訓練(生活訓練)・就労移行支援の事業所です。科学的根拠に基づいた「ブレインフィットネスプログラム」では、運動・食事・睡眠・ストレスケア・知的刺激・人間関係の6領域から生活習慣の構築を支援し、心と身体、脳の健康を整えることで体調が崩れにくい状態づくりを目指しています。
復職後も定期的な面談を通じて職場環境や生活状況を確認し、安定した就労が続けられるよう定着支援を行っています。休職からの復職に不安を感じている方は、ぜひ一度ニューロリワークにご相談ください。
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「現在、対象者はいないが今後のために知りたい」「自社の社員に合うか確認したい」という場合も、情報収集の一環としてお気軽にご活用ください。
監修者
山下 真由美
特定社会保険労務士、行政書士
東京都港区で行政書士及び社会保険労務士事務所を開業し、労働社会保険の手続きや労務相談はもちろん、外国人の在留資格に関する手続きから労務管理までトータルで承ることが可能です。そのほかにも、著作権不明者の作品を利用するための裁定申請や相続・遺言を取り扱っています。頼れる街の法律家として、ご相談いただいた一つ一つの事件に丁寧に向き合い、お役に立てるよう精一杯のお手伝いをさせていただいています。
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