復職トラブルを回避する方法とは?注意点や企業の対応を解説
メンタルヘルス不調で休職した従業員が職場に復帰する際には、再休職や企業と休職者の認識のズレなど、様々なトラブルが発生する可能性があります。こうしたトラブルを防ぐには、原因を正しく把握した上で、復職ルールの整備やフォロー体制の構築といった事前の対策が欠かせません。
本記事では、復職時に起こりやすいトラブルの原因と回避策、円滑な職場復帰を実現するための具体的な対応方法について解説します。
社員がメンタル不調で休職…どう対応すべき?
復職支援(リワーク)という選択肢と具体的な支援内容
社員がメンタル不調で休職した際、「復職までどう支援すべきか」と悩む企業担当者は少なくありません。対応次第で、再休職や離職リスクが高まるケースもあります。
本資料では、再発防止と安定就労を目的とした復職支援(リワーク)の具体的な支援内容や流れや企業との連携方法についてご紹介します。自社での対応に限界を感じている方は、ぜひご活用ください。
復職トラブルが起こりやすい主な原因

メンタルヘルス不調で休職した従業員が職場に戻る際には、「再休職」や「企業と休職者の認識のズレ」といったトラブルが発生しやすくなります。こうしたトラブルの背景には、復職判断の甘さやフォロー体制の不備、制度に関する説明不足など、複数の要因が絡み合っています。
主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 復職のタイミングが早すぎることによる再休職
- 復職後のフォロー体制が不足していることによる再発
- 休職期間満了時の対応に関する認識の相違
以下では、それぞれの原因について解説していきます。
復職のタイミングが早すぎることによる再休職
休職者が「周りに迷惑をかけたくない」と焦り、心身の回復が不十分なまま早期復帰を申し出るケースは少なくありません。しかし、日常生活が送れるレベルまで回復していても、通常業務をこなせる状態にあるかは本人には判断しにくいものです。
安易に復職を認めてしまうと、病状の悪化や再休職を招く恐れがあります。そのため、復職の可否は主治医の意見だけで判断するのではなく、産業医や人事担当者など複数の関係者が客観的な視点から総合的に見極めることが重要です。
復職後のフォロー体制が不足していることによる再発
復職した従業員に対して、職場環境の改善や業務量の調整といった配慮が行われなければ、休職前と同じ要因で不調が再発する可能性があります。特に、人間関係の悪化や過度な業務負担がメンタルヘルス不調の原因であった場合には、配属先の見直しや仕事量のバランス調整が欠かせません。
こうした対応が組織として一貫して行われていないと、復職した従業員が再び体調を崩し、結果的に再休職や離職につながるリスクが高まります。企業全体でフォローアップの仕組みを整え、従業員が安心して働き続けられる環境を構築することが大切です。
休職期間満了時の対応に関する認識の相違
就業規則に基づく自然退職のルールについて、企業側と休職者の間で理解にズレがあると、トラブルに発展する原因になります。
たとえば、以下のような認識の違いが生じやすいことが知られています。
| 比較項目 | 企業側の認識 | 休職者の認識 |
| 復職に必要な体調 | 100%に近い体調でないと復職させられない | 十分な体調でなくても復職できる |
| 期間満了後の雇用 | 就業規則により、休職期間が満了したら退職となる | 休職期間が満了しても、引き続き在職できる |
休職期間満了による自動的な契約終了(自然退職)であっても、復職可能性の判断を誤れば実態として解雇権の濫用とみなされるリスクがあります。トラブルを防ぐためには、休職に入る前の段階で、就業規則に基づいた制度の説明を丁寧に行っておくことが欠かせません。
休職期間、休職中の賃金の取扱い、社会保険料の取扱い、休職期間で戻れない場合には自然退職になる旨等は休職取扱通知書等にまとめて合意を取得しておくとトラブルを防ぐことができます。
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復職トラブルを回避するために企業が気をつけること

復職トラブルを防ぐには、休職者が安心して職場に戻れる体制を事前に整えておくことが欠かせません。復職に関するルールが曖昧なままでは、判断の基準がぶれやすく、休職者との間で認識のズレが生じる原因になります。
また、復職面談による回復状況の見極めや、休職中から復職後にかけての関係者間の連携も、トラブルを未然に防ぐ上で重要な取り組みです。
復職ルールの明確化と就業規則への明記
復職に関するトラブルを防ぐためには、就業規則に休職制度に関する規定に併せて復職に関する規定を明確に定めておくことが前提となります。具体的には、休職期間や取得できる回数、期間満了後に復職できない場合の自然退職の扱いなどを明記し、曖昧さを排除することが大切です。
あわせて、復職可否の判断基準として「治癒」の定義を定め、最終的な決定権が企業側にあることを就業規則上で示しておく必要があります。その上で、医学的な客観性に基づき配置転換の可能性も含めて企業側が総合的に判断することが求められます。
さらに、人事担当者や産業医、産業保健スタッフ、直属の上司などで構成される復職判定委員会を設置すれば、特定の担当者だけに責任が集中することを避けながら、多角的な視点から就労能力を判断できるようになります。
復職面談の実施と多角的な判断
復職の可否を適切に見極める上で、復職面談の実施は重要な役割を果たします。主治医の診断書は復職検討の出発点となりますが、主治医の判断は日常生活レベルの回復に基づく傾向があり、業務遂行能力の回復とは一致しない場合もあります。そのため、産業医との面談を通じて本人の就業意欲や回復の度合いを直接確認することが重要です。
面談では、生活リズムの安定や通勤が可能かどうか、再発防止策の検討状況なども確認します。本人の復帰への意思を尊重しつつも、医学的な観点と業務への適応力の両面から、慎重に復職の可否を判断する姿勢が大切です。
休職者および周囲の従業員への適切な配慮
休職者への連絡対応は、窓口を人事担当者など1人に集約し、連絡方法もメールなどを活用して、体調の良いときに返信できる形にすることが望ましいとされています。療養中の休職者にとって、突然の電話は心理的な負担となる場合があるためです。
また、復職者の業務負荷を軽減するだけでなく、その分の業務を引き受ける周囲の従業員への配慮も欠かせません。負担が放置されると、組織全体に不満が広がり、新たな問題を引き起こすリスクがあります。
こうした事態を防ぐには、関係者間で情報を共有し、連絡の重複やルール外のタイミングでの連絡が発生しないよう、一貫した連携体制を整えることが重要です。
休職者が安心してやりとりができるよう、事前に本人と休職期間中の連絡方法や連絡担当者の認識を合わせておき、社内でも現場の上長や同僚が独断で本人に連絡しないように伝えておきましょう。
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円滑な職場復帰を実現する具体的な企業の対応

休職者がスムーズに職場へ復帰するためには、個別の状況に応じた支援体制を事前に整えておくことが重要です。職場復帰支援プランの策定や試し出勤制度の導入は、復職者の不安を和らげると同時に、企業が回復状況を段階的に見極める手段としても役立ちます。
さらに、有給休暇の付与要件や退職時の手続きなど、見落としがちな労務面の対応も、トラブルの芽を早期に摘む上で欠かせないポイントとなります。
職場復帰支援プランの作成と段階的な復帰
復職者が無理なく職場に戻るためには、個別の健康状態に合わせた職場復帰支援プランを作成することが大切です。プランには、復帰日や業務内容、産業保健スタッフによるサポート体制、主治医との連携方法などを盛り込みます。
復帰直後からフルタイムで勤務するのではなく、短時間勤務や時差出勤を導入して、身体的・精神的な負担を段階的に調整していく仕組みが欠かせません。
業務内容によっては、リモートワークを取り入れることで通勤の負荷を抑えながら業務を再開できるケースもあり、復職の選択肢を広げる手段として検討する価値があります。
試し出勤制度の導入による不安の緩和
本格的な復職の前段階として、試し出勤制度を導入することで、復職者の不安を和らげながら適応状況を確認できます。
試し出勤には、勤務時間と同じ時間帯に図書館などで過ごす「模擬出勤」や、通勤と同じ経路をたどって職場付近まで移動する「通勤訓練」、そして一定期間にわたり本来の職場へ継続的に出勤する「試し出勤」の3つの形態があります。こうした段階を踏むことで、通常業務への対応力を実際の行動から見極められます。
また、試し出勤の期間中に不調が見られた場合に備え、休職期間の延長が可能となるルールを就業規則にあらかじめ定めておくことも重要です。
たとえば、賃金に関していえば「業務」とみなされる場合は最低賃金以上の支払いが必要ですが、「リハビリ(訓練)」であれば無給でも可能です。また、労災に関しては休職中(=労働者ではない状態)での試し出勤中に怪我をした場合、通常の労災が適用されません。このように、試し出勤中の賃金の有無や万が一の事故に対する保険適用(傷害保険への加入など)について、事前に書面で合意しておくことが大切です。
復職に際して生じる有給休暇付与のトラブル対策
私傷病休職を経て復職した後に訪れる有給付与日に有給休暇が付与されるかどうかは、休職期間によって判定が異なるので注意が必要です。年次有給休暇の付与には「全労働日の8割以上の出勤」という要件があるため、長期間の休職によってこの条件を満たせないケースも生じます。
業務上の傷病による休業期間や産前産後休業、育児休業、介護休業の取得期間などは法律上出勤日とみなすため混同されやすいポイントであり「休職しても有給休暇は付与される」といった認識の相違を生まないために休職に入る段階で付与要件を丁寧に説明しておくことがトラブル防止につながります。
また、休職期間満了に伴い退職となる場合には、雇用保険の手続きを速やかに進めないと失業給付の受け取りに影響するおそれがあり、注意が欠かせません。
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安定した社会参加や復職を支援するニューロリワーク
「ニューロリワーク」では、うつ病や適応障害などメンタル不調が原因で休職した方を対象に、脳科学者や精神科医、公認心理師などの監修のもと開発した「ブレインフィットネスプログラム」などを通じて、復職や再就職の支援を行っています。運動、食事、睡眠、ストレスケア、知的刺激、人間関係の6領域をバランスよく整えることで、心身ともに健康な状態を取り戻し、長く安定して働き続けるための土台づくりをサポートします。
また、休職中の企業との情報共有や連携サポート、復職後の定着支援として定期的な面談や相談対応も行っており、多くの方が復職後も安定した就労を実現しています。従業員の復職対応にお悩みの人事・労務担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。
「リワークで何ができる?」
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施設での取り組み内容や、人事・産業担当者との連携フローについて詳しくご説明します。
「現在、対象者はいないが今後のために知りたい」「自社の社員に合うか確認したい」という場合も、情報収集の一環としてお気軽にご活用ください。
監修者
寺島 有紀
寺島戦略社会保険労務士事務所
社会保険労務士
一橋大学商学部卒業後楽天株式会社に入社。国内・海外子会社の社内規程管理、内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。社労士事務所勤務を経て現在はスタートアップから上場企業まで幅広く労務顧問、労務コンプライアンス整備、海外進出労務体制構築等人事労務コンサルティングを行っている。
著書に「意外にしらない?!最新働き方のルールブック(アニモ出版)」等多数
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