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休職 メンタル不調 日光浴

就労・復職への第一歩は「日光浴」
不眠を改善して、健康状態を整える。

うつ病やメンタル不調で離職や休職に至った方にとって、就労や復職のために改善しておきたい課題のひとつが「不眠」です。

不眠対策のひとつとして、「朝、太陽の光を浴びると良い」と聞いたことがある方も多いかもしれません。朝の日光浴は、なぜ不眠の改善に良いと考えられているのでしょうか。「朝の太陽の光が不眠の改善に良い」と聞いたことがあっても、その具体的な理由を知っている方は少ないかもしれません。

今回は、朝の日光浴が不眠改善に良い理由や、目安となる光の強さや時間について詳しくご紹介します。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから

1.太陽の光を浴びることが睡眠に良い理由

朝、太陽の光を浴びることが睡眠に良い理由は、主に2つあります。ひとつは、「体内時計が整うため」であり、もうひとつは「メラトニンの原料となるセロトニンが分泌されるため」です。厳密にいえばこのふたつ以外にもありますが、ここでは主にこのふたつに焦点を当ててみていきます。

太陽を浴びる効果

①体内時計が整う

「体内時計」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。人間には、約1日周期で刻むリズムがあります。これが「体内時計」と呼ばれるものです。この体内時計は睡眠と密接な関係があり、体内時計が整うだけで自然と質の良い睡眠をとることができます。

朝の太陽の光はこの体内時計をリセットさせ、整える役割を果たしています。

上記のグラフは、寝ているときと起きているときの睡眠と覚醒のリズムを表したグラフです。それぞれ、朝日を浴びた場合とそうでない場合とを比べています。黒いラインの上が起きているとき(覚醒)で、黒いラインの下が寝ているとき(睡眠)を示しています。

青いラインは、太陽の光を浴びない生活の場合を表しています。睡眠から覚醒への切り替えがはっきりしておらず、曖昧であることが分かります。

赤いラインは、太陽の光を毎日のように浴びる生活の場合を表しています。太陽の光を浴びない生活(=青ライン)と比べて、睡眠と覚醒のリズムにメリハリがあることが分かります。

これらの違いから分かるように、朝日には覚醒を促す強いアクセル効果があります。朝、光を浴びると眠気がとれ、朝から元気よく活動することができます。そして、日中を活動的に過ごせるようになるからこそ、夜の活動量が減り、自然と眠くなります。その結果、人間の体内時計が自然と整っていきます。

人間の体内時計の周期は、実は24時間よりも少し長いという特徴があります。そのため、睡眠や覚醒のリズムは少しずつズレていくことになります。また、昼まで寝ていたり、深夜遅くまで起きていたりすると、このリズムはさらに崩れていくことになります。

だからこそ、リズムを整えるためにまずは朝日を浴びることが大切と考えられています。これを習慣化するだけで自然と睡眠の質がよくなり、昼は頭が冴え、夜はぐっすりと眠れるようになります。

②セロトニンが分泌される

太陽の光を浴びることが睡眠に良いもうひとつの理由は、「メラトニンの原料となるセロトニンが分泌されるから」という理由です。
セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれています。睡眠と特に密接な関係があるのが、睡眠ホルモンのメラトニンです。メラトニンの量が増えると深部体温や脈拍・血圧が下がり、副交感神経が優位になることで自然と眠くなっていきます。そのため、メラトニンは自然の睡眠薬と考えられています。

メラトニンは、光の量が減ることで分泌が始まるといわれています。そのため、夕方以降に太陽の光が弱くなると自然とその分泌が高まっていきます。なお、メラトニンは暗くなればそれだけで自然と作られるというものではなく、特定の「材料」が必要となります。この材料こそが、「幸せホルモン」のセロトニンです。

上述したように、メラトニンはセロトニンから作られています。そしてセロトニンは、太陽の光を浴びることで作られます。そのため、間接的ですがメラトニンを作るためには太陽の光が必要であり、だからこそ太陽の光を浴びることが不眠改善につながります。

ちなみに、セロトニンはメラトニンの原料となるだけでなく、自律神経のバランスを整えたり、脳内物質の働きを整えたりといった役割もあります。

2.どれくらい強さの光を、どれくらい浴びれば良い?

体内時計をリセットするためには、2,500ルクス以上の光の強さが必要であるといわれています。分かりやすく例を挙げると、一般的な講演会場であれば150ルクス程度、日常生活を過ごす部屋であれば500ルクス程度、タワーマンションのガラス張りの部屋であれば500~1,000ルクス程度といわれています。これらに対して、日光浴は5,000~10,000ルクス程度といわれています。なお、室内であっても窓際であれば10,000ルクスを超えることもあります。

体内時計をリセットするのに必要な時間については、光の強さが2,500ルクスの場合であれば約2時間ほど光を浴びる必要があります。この点、日光浴であれば5,000~10,000ルクスであるため、より短時間で済むことになります。このことから、体内時計をリセットするためには外に出て光を浴びることが特に効果的であることが分かります。

3.まとめ

朝の日光浴が、なぜ不眠改善につながるのかを押さえておくことは日々の健康状態を安定したものにするための大きなポイントです。そのため、朝起きてからの数十分は散歩や日光浴をする習慣を身につけることが大切です。

朝の日光浴は、いつでも簡単に始められるシンプルな取り組みです。就労や復職を目指す上で、日々の生活の中で睡眠が課題になっているという方は、朝に光を浴びることから始めてみてはいかがでしょうか。

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監修者

杉浦 理砂(脳科学者)

インクルード株式会社 ブレインフィットネス研究所 ディレクター
脳科学者、工学博士(応用物理)、東京都立大学特任准教授(現任)

【参考文献・参考サイト】

(写真素材:PIXTA、photoAC)