【リワーク】「適応障害」からの復職
病院で「適応障害」という診断を受け、今、スマートフォンでこの言葉を検索されているのかもしれません。
病名がついたことで「つらさの原因がわかった」という安堵感がある一方で、「この先、仕事はどうすればいいんだろう」「休日は元気なのに、これは甘えなんじゃないか」と、新たな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、医学的な基準(ものさし)にも触れながら、あなたが今抱えている症状の正体を正しく理解し、私たち「リワークスタッフ」がその次の一歩をどう支えられるかについてお話しします。
世界的な診断基準(ICD・DSM)で定義されている病気
まず初めにお伝えしたいのは、適応障害はあなたの心が弱いからなるものではなく、世界的な医学基準でも定義されている正式な病気だということです。
最終的な診断は必ず医師が行いますが、メンタルヘルスの世界では主に2つの基準が参考にされています。
- ICD(国際疾病分類): WHO(世界保健機関)が作っている基準
- DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル): アメリカ精神医学会が作っている基準
これらに共通しているのは、「はっきりとしたストレス(出来事)があり、それによって生活に支障が出るほどの症状が出ている」という点です。
つまり、あなたが今つらいのは「気のせい」でも「甘え」でもなく、医学的に認められた「過度なストレスに対する反応」なのです。
自分を責める前に知ってほしい、適応障害の3つの特徴
病気としての背景を知った上で、適応障害によく見られる3つの特徴を見ていきましょう。「自分だけじゃないんだ」と知ることで、少し心が軽くなるはずです。
1. 原因(ストレッサー)がはっきりしている
うつ病などは原因が複雑に絡み合っていることが多いですが、適応障害は「引き金」が明確です。
「特定の上司の態度」「配置転換後の業務内容」「職場の騒音」など、ストレスの原因がはっきりしています。
これは逆に言えば、その原因から離れたり、環境を変えたりすれば、症状が良くなる可能性が高いということでもあります。
2. 場所や状況によって体調が変わる
ここが、一番「自分はズルをしているのではないか」と苦しんでしまう点です。
仕事に行こうとすると腹痛や涙が出るのに、休日は趣味を楽しめたり、友人と笑って話せたりすることがあります。
これは詐病ではありません。
「ストレスの原因から離れて、脳と体が安心している」からこそ起きる、正常な生体反応です。
「週末は元気だからダメだ」ではなく、「元気になれる時間が残っていてよかった」と捉えてください。
そのエネルギーが回復の鍵になります。
3. 薬物療法とあわせて大切な「環境調整」
適応障害の治療において、お薬はつらい症状(不眠や不安など)を和らげ、心身のエネルギーを回復させるためにとても重要です。
そして、それと同時に大切になるのが「環境と本人のミスマッチ」を解消することです。
お薬で状態を整えつつ、ストレスの原因となっている環境を調整したり、そこから距離を置いたりすることが、再発を防ぐための両輪となります。
リワークスタッフができるサポート
「環境を変えるのが大事なのはわかったけれど、自分はどうすればいいのか?」
そんなときのために、私たちリワークスタッフがいます。
当センターでもいろいろなサポートを行っています。
今回は、復職というポイントに焦点を置いたサポートを紹介します。
自己理解を深める
同じ環境にいても、平気な人もいれば、つらさを感じる人もいます。それは「良し悪し」ではなく、あなたの「考え方のクセ」や「特性」が関係していることがあります。
「なぜあの言葉がつらかったのか?」
「自分は何を大切にしたかったのか?」
ここを深掘りするのは、あなた自身にしかできない大切な作業です。
一人で向き合うのは苦しい道のりですが、考えを整理するお手伝いをおこなっています。
内容を確認し、面談などを通してフィードバックなどを行っています。
自分の取扱説明書(トリセツ)を作るようなイメージで、じっくりと自己理解を深めていきましょう。
客観視のお手伝いと面談練習
自己理解が深まったら、次はそれを復職時の面談でどう伝えるかです。
「もっと配慮してほしい」という主観的な気持ちだけでは、会社側もどう動けばいいか迷ってしまいます。
そこで、第三者の視点から希望を客観的に整理するお手伝いをします。
- 感情と事実を分ける:「怖い」という感情だけでなく、「チャットでの指示なら落ち着いて対応できる」といった具体的な事実に目を向け、会社に伝わりやすい言葉を探します。
- 復職に向けた面談練習: 復職前に行われる産業医や上長との面談を想定し、練習を行います。「こう聞かれたらどう答えるか」をシミュレーションすることで、本番の不安を和らげます。
私たちが皆さんのサポートをするとき、○○さんはこう伝えたいのだろう。
と今までのご様子から判断できる事も多いのですが企業の方はそうもいきません。
職場の方は、仕事の専門家。復職をする人の配慮を専門とする方ではないことが多いのです。
客観的な視点を持つことで、「こう伝えれば会社も分かってくれるかもしれない」という気づきを増やしていきましょう。
適応障害の診断は、「あなたがダメな人間だ」というものではありません。
「今の場所ややり方が、あなたに合っていませんよ」という体からのサインです。
医学的な基準でも、そのつらさは正当に認められています。
無理をせずに、関係機関やリワークなどを頼って復職を目指していきましょう。
ニューロリワーク 所沢センター
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