復職面談を成功させるために押さえるべき、人事担当者が知りたいポイント
メンタル不調で休職中の方にとって、復職面談は今後の仕事を大きく左右するとても重要な機会です。また、今まさに復職へ向けた準備を進めているという方も少なくありません。
復職面談にあたっては、人事担当者がどのような点について知りたいのか、すなわち面談時にどのような質問をするのかという点について押さえておくことが重要です。
そこで今回は、復職面談で人事が確認する事柄の中でも特に重要なものを3つご紹介します。それらを押さえておくことで、休職期間中に準備すべきことも明確になります。
復職面談で人事担当者が確認したいこと①
復職面談で人事担当者が確認することの1つ目は、「安定した状態で就労できるか」という点です。
・生活習慣が安定している。
・服薬管理がきちんとできている。
など、復職後に体調が再び不調となるリスクがないかを確認します。生活習慣が乱れたままの場合、「朝起きられずに遅刻や欠勤を繰り返す」「日中に仕事に集中できない」「週5日にわたって仕事をする体力がない」といったことが会社側から懸念されます。生活習慣の乱れはメンタル不調を引き起こすリスクがあり、再休職に至る可能性も高まることから復職できる状態ではないと判断されがちです。言い換えれば、会社がいかに生活習慣の安定を重要視しているかが理解できるといえます。
なお、近年では復職後にリモートワークを想定して事前にリモートでの出勤訓練を行い、勤務開始時間までに活動できるかどうかを確認する場合もあります。
生活習慣の安定以外にも、服薬がきちんと行えているかが確認事項となります。しばしば、休職者は「復職するまでに断薬しなければならない」と考えてしまうケースがみられますが、復職にあたっては断薬していることではなく、適切な服薬管理を行って安定した状態を維持することが重視されます。
上述した生活習慣や服薬管理に問題なく、安定した状態で働けることに関して会社の理解を得るためには、休職期間中は日頃から規則正しい生活を送ることを意識する必要があります。
これらは復職にあたって必要不可欠なことではありますが、すぐに取り組むことが難しいものでもあります。休職後間もない場合であっても、少しずつ取り組めるよう可能な限り以下のポイントを意識しておくことが大切です。
・起床と就寝のリズムを一定にする。
・毎朝の起床時に、太陽の光を浴びる。
・三食しっかりと食べる。
上記は生活習慣の基本的な取り組みですが、こうした基本的な取り組みが復職と安定した就労を実現するための大きな要となります。
復職面談で人事担当者が確認したいこと②
復職面談で人事担当者が確認することの2つ目は、「再発防止策が練られているか」という点です。
復職面談では、多くの方が「もう休職しない」「再発させない」という気持ちで面談に臨んでいるといえます。そして人事担当者は、復職予定者のそうした言葉の根拠を確認したいと考えています。そのため、復職予定者は体調が整っていることを伝えるだけでなく、復職後に再発しないような対策を伝えることが求められます。
メンタル不調は、つい先日まで元気であってもふとしたきっかけで症状が再発することもめずらしくありません。そのため、自分の体調が不調になりそうな状況を理解していることや、不調になりそうなときに自分自身で体調をコントロールできる方法を身に付けていることが重要です。
また、なぜ休職したのかを理解し、それに対する対策を明確にしておくことも大切です。休職原因が分析できていない場合は、再び同じ状況に陥ったときに再発・休職をしてしまうリスクが高くなります。
休職期間中に意識するべきポイントをまとめると、以下のようになります。
・自分の障がいを受け止め、理解する。
・必要な対策を考える。
ストレスケアやセルフケアの方法はすぐに身に付くものではありませんが、身に付けておくことで復職後は安心して働くことができます。そのため、休職期間中は自分にあったストレスケアやセルフケアの方法を見つけ、習慣化することを忘れないようにしましょう。休職原因を分析する方法については、6W1Hを活用すると効果的です。(【関連記事】「復職? 退職? 再就職? 決断する前に。休職原因の分析と対策で安定就労を実現させる」)
復職面談で人事担当者が確認したいこと③
復職面談で人事担当者が確認することの3つ目は、「業務遂行に必要な作業能力があるか」という点です。
「体調が安定している状態」は、必ずしも「復職できる状態」ではありません。復職面談で人事担当者は、復職予定者が業務を行える状態にまで体調が改善されているかを確認します。これは、「スキルアップできていること」を意味するのではなく、集中力や注意力など業務を遂行する上で必要な作業能力が備わっているかの確認を意味します。
休職前からメンタル不調の症状が現れていた方は、集中力や注意力の低下など業務に支障が生じたり遅刻や欠勤が増えるといった形で勤怠に影響を及ぼしてしまうケースも少なくありません。また、こうした理由で休職に至るケースも多くあります。会社側は復職予定者の休職前の状況を知っているため、そのときと比較して働ける状態になっているのかを判断することになります。
判断基準としては、休職期間中に一定時間にわたって集中を要する作業を行えていたかなどが挙げられます。こうした理由から、休職期間中に集中を維持できる作業や活動を定期的に実施する習慣を身に付けておくことが大切といえます。
人事担当者からは、「休職期間中をどのように過ごしたか」などの質問を受けます。回答としては、集中を要する作業をどの程度行っていたのかなどを伝えることが望ましいといえます。リワークに通所されている方であれば、リワークで実践されたことを報告できるとよいでしょう。
休職期間中は休養をとることも大切ですが、復職が近づくにつれて少しずつ仕事復帰へ向けたリハビリを行うことも大切です。ある程度活動できるようになってきた場合は、少しずつ業務を想定した作業に取り掛かることで面談時に良い報告ができるようになります。
復職許可が出るためのポイント
復職面談を迎える上で押さえておきたいのは、「どのような状態であれば復職許可が出るのか」という点です。復職面談では、一般的に会社側から以下の点が確認されます。
・医師から復職できる状態であると判断されているか。
・休職原因が分かり、再発防止策が練られているか。
・自分の状態を客観的に把握でき、コントロールする方法が身に付いているか。
・会社が規定する労働時間に耐えうる体力が備わっているか。
復職面談では、単に「働けます」「大丈夫です」と主張するだけでは復職許可が出ることはほとんどありません。復職許可を得るためには「○○だから(○○なので)、再発せずに働ける状態です」と自分の状態を適切に説明できる必要があります。そのためにも、休職期間中にしっかりと準備を進めておくことが大切です。
復職の相談と準備は、リワーク施設へ
復職の際に避けては通れない復職面談。復職面談を成功させるためには、休職期間をいかに過ごすかが大きなポイントとなります。
休職期間を一人で自宅で過ごすというケースもありますが、休職期間中に準備を整え、自信を持って復職面談に挑むためには復職の支援を行う自立訓練(生活訓練)事業所を活用するという選択肢もあります。
ニューロリワークでは、心身の不調を整えるための生活習慣改善プログラムをはじめ、模擬就労や模擬面談などのプログラムを行っています。食事や運動、睡眠、ストレスケア、知的刺激などに関する座学や実践で生活習慣の基礎を整え、スタッフとの模擬面談を通じて復職面談に備えます。
事業所では復職までの活動内容などを詳細にご相談いただけますので、復職や休職期間中の過ごし方でお悩みの方はぜひ見学や体験実習にお越しください。(リワーク施設のひとつ、ニューロリワークへのご相談はコチラから)
■健康経営なら| OFFICE DE YASAI
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA・photoAC)
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