メンタル不調による離職者や休職者が押さえるべき、 就労や復職の不安を解消するための「マインドフルネス」
メンタル不調によって会社を離職・休職すると、家にいる時間が長くなり、次第に漠然とした不安を感じることが多くなるかもしれません。たとえば、「これからどうなってしまうんだろう」「友人・知人に知られたら気まずい」「本当に復職できるだろうか」など、答えの出ない不安が押し寄せることもあります。
時間があるからこそ、余計に考えてしまい、つらい気持ちになることも多々あります。こうした不安は、どのようにして和らげ、払拭していけばよいのでしょうか。
今回は、こうした漠然とした不安を解決する方法として、「マインドフルネス」という考えを軸にご紹介します。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから)
マインドフルネスの効果
不安を解消する方法のひとつとして、「マインドフルネス」が挙げられます。近年では、このマインドフルネスという言葉を耳にする機会も多くなっているかもしれません。大手IT企業であるGoogleやFacebookがビジネスパーソンのパフォーマンス向上を目的として取り入れたことで、一躍有名になったトレーニング法です。
マインドフルネスの主な効果として、
- 感情を安定させる
- ストレスを低減させる
- 脳疲労を解消させる
などが挙げられます。
マインドフルネスは、漠然とした不安に悩まされているときやストレスがかかっているとき、もしくは疲れが溜まって注意散漫になっているときに実践すると効果的です。休職期間中だけでなく、復職後も続けられるという点が魅力のひとつでもあります。
マインドフルネスの実践方法
マインドフルネスとは、「今、この瞬間に意識を向けること」です。ここでは、最もオーソドックスな方法として「呼吸に意識を向ける方法」についてご紹介します。この方法では、自分の呼吸に意識を向けるため「吸う」と「吐く」という呼吸に意識を向けていきます。
最初に、楽な姿勢をとります。椅子に座ったり床にあぐらをかいたり、仰向けに寝そべったりと楽な体勢で問題ありません。
次に、両手を楽にして目を瞑ります。もしも目を瞑ることに抵抗がある場合は、目を開いたままや半眼でも問題ありません。「吸う」と「吐く」を3秒ほどで切り替えるペースで、3分間続けます。始めのうちは効果を感じにくいかもしれませんが、慣れてくるとスッキリする実感が湧いてきます。
なお、呼吸のマインドフルネス以外にも、音に意識を向けるマインドフルネスや食べることに意識を向けるマインドフルネス、または歩くことに意識を向けるマインドフルネスといったように、さまざまなマインドフルネスがあります。自分の中でコツを掴むためにも、まずは自分のやりやすい方法で試してみることが大切です。
脳の過活動を抑制するマインドフルネス
なぜ「マインドフルネス」が脳に良いのでしょうか。マインドフルネスには、脳の過剰な活動を抑制する役割があります。
家でリラックスしているはずなのに、「本当に復職できるのだろうか」「会社の人たちはどう思っているんだろう」などの不安にかられているとき、頭の中ではデフォルト・モード・ネットワークと呼ばれる領域が過剰に活動しています。
このデフォルト・モード・ネットワークは、非常にエネルギーを消費します。その消費量は、脳全体が消費するエネルギーのうち、60%~80%を占めるといわれています。これが、脳疲労と深く関係しているといわれています。この脳疲労の蓄積はうつ病の原因にもなるため、脳疲労を溜めないことが重要です。
マインドフルネスには、このデフォルト・モード・ネットワークの過剰な活動を抑える働きがあると考えられています。
答えの出ない悩みや不安を何度もぐるぐると思い悩み続けているとき、まさにデフォルト・モード・ネットワークが過剰に働いている状態です。こうした状態こそ、マインドフルネスによって鎮めることが効果的です。マインドフルネスを身につけると、復職後にミスをしてしまって仕事が手につかない場合や、気になって夜に眠れない場合の切り替えにもなります。
まとめ
メンタル不調によって離職・休職した場合、離職(休職)期間中は、さまざまな不安に襲われることも多いかもしれません。こうした不安は、マインドフルネスによって和らげ、払拭することができます。
ニューロリワークでは、毎朝とお昼に、任意で3分間のマインドフルネス瞑想の時間を設けています。また、音のマインドフルネスや食べるマインドフルネス、歩くマインドフルネスのプログラムも定期的に行っています。さらに、マインドフルネス以外にもコミュニケーションスキルやビジネススキル、運動や睡眠に関するプログラムなど、メンタル不調で離職・休職された方が就労や復職を目指す上で役立つプログラムを豊富にご用意しています。
事業所やプログラムの見学も随時受け付けていますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。パソコンやスマートフォンを活用したオンライン見学も行っています。(専門スタッフとともに社会復帰や復職、就職を目指せるニューロリワークへの見学予約)
監修者
杉浦 理砂(脳科学者)
インクルード株式会社 ブレインフィットネス研究所 ディレクター
脳科学者、工学博士(応用物理)、東京都立大学特任准教授(現任)
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA、photoAC)
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