0120-654-167 受付時間:平日9:00~18:00

復職 リワーク うつ病

うつ病で仕事が続かない?精神疾患と向き合い働くための対策

「うつ病の影響で仕事が長く続かない」「頑張りたい気持ちはあるのに、同じ状況を繰り返してしまう」と悩んでいる方は少なくありません。集中力や意欲の低下、職場の人間関係、通勤や業務による負担など、精神疾患を抱えながら働くことには見えにくい困難があります。

本記事では、うつ病をはじめとする精神疾患で仕事が続かないと感じる理由を整理し、無理なく働くための工夫や職場選びの考え方、活用できる支援制度についてわかりやすく解説します。

なぜうつ病や精神疾患だと「仕事が続かない」と感じてしまいがちなのか

仕事が続かない悩み

うつ病や精神疾患がある方の中には、就職しても「仕事が続かない」と悩む方が少なくありません。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によれば、精神疾患者の約50%の人が1年以内に離職しています。こうした状況は、決して努力不足や能力の問題ではなく、障害特性や職場環境が影響している可能性があります。

仕事が続かないと感じる背景には、症状そのものによる影響だけでなく、周囲の理解不足や身体的な負担など、複数の要因が絡み合っています。

ここでは、仕事が続かないと感じる具体的な理由を4つの側面から解説していきます。

参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター|障害者の就業状況等に関する調査研究

症状による集中力や意欲の低下

うつ病では、思考力・集中力・記憶力の低下が起こる場合があり、これらの症状が業務上のミスにつながりやすくなります。また、統合失調症における陰性症状として、意欲の低下や感情の平板化が見られるケースもあります。

こうした症状は、仕事のパフォーマンスを維持することを難しくし、疲れやすくなることで体調を崩しやすいリスクも高まります。症状による影響は日によって変動するため、安定して働き続けることに困難を感じる方もいらっしゃいます。

職場の人間関係や環境によるストレス

職場の人間関係は、精神疾患がある方にとって離職の大きな原因となる場合があります。障害に対する職場の理解が得られないと、体調不良を相談しにくかったり、心無い言葉をかけられたりすることで、精神的な負担が増してしまいます。

また、聴覚過敏がある方が騒々しい職場で働くなど、障害特性と職場環境がミスマッチしているケースでは、日々の業務自体が大きなストレスとなります。職場環境が自身の特性に合わないと、意欲があっても働き続けることが困難になってしまいます。

障害を周囲に伝えず働く(=クローズ就労の)負担の可能性

障害を隠して一般枠で就職するクローズ就労では、様々な困難に直面する可能性があります。体調が悪くても休みを申し出にくかったり、業務上の配慮を求めることができなかったりするため、無理をしながら働くことになりがちです。

さらに、「障害が周囲に知られるかもしれない」という不安を常に抱えながら働くことは、大きな精神的負担となります。障害を隠すこと自体がストレスとなり、症状の悪化や離職につながるケースも少なくありません。

通勤や業務による体力的な疲労

精神疾患がある方は、体力面・精神面で疲れやすい特性がある場合があります。通勤ラッシュの混雑や、業務中に感じる過度な緊張感が、心身の疲労を蓄積させる要因となります。

うつ病で仕事に行けないと感じる背景には、単なる意欲の問題ではなく、深刻な疲労感・倦怠感があるケースも少なくありません。こうした疲労は休息だけでは回復しにくく、継続的に働くことへの大きな障壁となってしまいます。

仕事が続かないと感じやすい背景にある、主な精神疾患・障害と症状

主な精神疾患・障害と症状

精神疾患には様々な種類があり、それぞれ特性や症状が異なります。うつ病や統合失調症、不安障害など、診断名が異なれば、仕事に影響する症状の現れ方も変わってきます。

ここでは、仕事が続かないと感じやすい背景にある主な精神疾患とその症状を解説していきます。自身の症状を理解することで、適切な対処法や働き方を見つける手がかりとなるかもしれません。

気分障害(うつ病・双極性障害)の特性

気分障害には、うつ病と双極性障害があります。うつ病では、気分の落ち込み、意欲低下、集中困難といった精神症状に加えて、倦怠感、睡眠障害、食欲不振などの身体症状が現れる場合があります。

一方、双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返すため、業務パフォーマンスにムラが出やすい特性があります。躁状態では過度に活動的になり判断が不安定になり、うつ状態では意欲が低下するため、これらの症状が業務効率の低下や判断力の鈍化につながる可能性があります。

統合失調症の特性

統合失調症には、陽性症状と陰性症状があります。陽性症状では幻覚や妄想が現れ、陰性症状では意欲低下や感情の平板化が見られる場合があります。幻覚や妄想によって集中が困難になったり、対人関係において困難が生じたりする可能性があるため、日常業務に支障をきたすケースもあります。

特にチームでの業務や接客業など、対人関係が重要な仕事では影響が出やすく、周囲とのコミュニケーションに負担を感じる場面も少なくありません。

不安障害(パニック障害・強迫性障害)の特性

不安障害には、パニック障害と強迫性障害が含まれます。パニック障害では、予期せぬパニック発作が起こり、発作への恐怖が日常生活に影響を与える場合があります。強迫性障害では、強迫観念と強迫行為が特徴で、過度な確認行動を繰り返すケースも見られます。

パニック発作が業務中断につながるリスクや、強迫性障害による確認行為で業務に時間がかかりすぎる可能性があるため、計画通りに仕事を進めることが難しくなる場合があります。

てんかん・高次脳機能障害の特性

てんかんでは突然の発作が起こるため、業務内容によっては配慮が必要な場合があります。

一方、高次脳機能障害には以下のような症状があります。

  • 記憶障害
  • 注意障害
  • 遂行機能障害
  • 社会的行動障害

これらの症状により、物事を覚えられない、ミスが多い、計画的に行動できないといった困難が生じ、業務遂行に影響を与える場合があります。特に複数の作業を同時に進める必要がある業務や、細かな手順を踏む作業では、症状による影響が顕著に現れるケースもあります。

うつ病と向き合い仕事を続けるためのセルフケアと工夫

仕事を続けるためのセルフケア

うつ病や精神疾患があり、仕事が続かないと感じる悩みを抱えている方にとって、セルフケアや日々の工夫が重要な役割を果たします。症状と向き合いながら働き続けるためには、治療を継続しながら、自分の特性を理解し、日常生活を安定させる取り組みが必要です。

継続的な治療と服薬の重要性

就職後も定期的な通院や服薬を自己判断で中断しないことが重要です。症状が安定しているように見えても、仕事の疲労やストレスによって悪化する可能性があるため、主治医やカウンセラーに定期的に相談することで、早期に変化に気付き対応できるメリットがあります。

また、医師に仕事の状況を具体的に伝え、連携することが病状コントロールにつながります。業務内容や職場環境、感じているストレスなどを率直に共有することで、適切な治療方針を維持でき、長く働き続けるための基盤を築くことができます。

自身の特性と配慮事項を伝える準備

自分の得意なこと、苦手なこと、必要な配慮を客観的に整理することは、職場で適切なサポートを受けるために大切です。その際に役立つのが「ナビゲーションブック」というツールで、障害特性や配慮事項を企業側にスムーズに伝えることができます。

口頭で伝えるのが苦手な方でも、ナビゲーションブックを使うことで周囲の理解を得やすくなるメリットがあります。自分の特性を整理して文書化しておくことで、職場とのコミュニケーションが円滑になり、働きやすい環境を整えやすくなります。支援機関のスタッフと相談しながら作成するのがおすすめです。

生活リズムの維持とリフレッシュ

うつ病がある方が就職を目指すステップとして、まず生活リズムを整えることが重要です。規則正しい生活、つまり起床・就寝・食事の時間を一定に保つことが、日中の活動の基盤となります。また、疲れたときには仕事のことを考えずに休むことや、自分なりのリフレッシュ方法を用意しておくことも大切です。

たとえば散歩や趣味の時間を確保するなど、心身の回復を図る習慣を持つことで、仕事のストレスを溜め込まず、安定して働き続けやすくなります。

ミスをしたときの気持ちの切り替え

精神疾患がある方の中には、些細なミスでも必要以上に気にしてしまう場合があります。しかし、ミスは誰にでもあることであり、周囲が思うほど深刻ではないケースも少なくありません。ミスをしても深刻に考えすぎず、気持ちを切り替えて次の業務に取り組むよう意識することが重要です。

たとえば、ミスをした際には上司や同僚に報告・相談して改善策を考え、そこで区切りをつけるといった方法があります。完璧を求めすぎず、前向きに業務に向き合う姿勢が、長く働き続けるための支えとなります。

無理なく働くための職場選びと働き方の選択

働き方の選択

うつ病や精神疾患がある方が無理なく働き続けるためには、自分に合った職場や働き方を選ぶことが重要です。症状や特性に応じた環境で働くことで、長期的な就労継続が可能になります。障害者雇用枠の活用や柔軟な勤務形態、職場の雰囲気など、選択肢は様々です。

以下では、職場選びや働き方の選択肢について解説します。

障害者雇用枠(=オープン就労)の活用

障害者枠で仕事を探すことには、多くのメリットがあります。一般枠(クローズ就労)と異なり、障害があることを前提に採用されるため、症状や障害に対する理解や配慮を得やすい環境が整っています。たとえば、通院のための休暇取得や業務量の調整など、働きやすい配慮を受けながら就労できます。

障害をオープンにして受け入れてもらえる職場を選ぶことは、無理なく長く働き続けるための重要な選択肢となります。自分の特性を理解してもらえる環境で働くことで、安心して業務に取り組めるでしょう。

短時間勤務など柔軟な働き方の検討

フルタイム勤務にこだわらず、短時間勤務(時短勤務)からスタートする選択肢も検討してみましょう。無理をしてフルタイムで働いてすぐに離職するよりも、短時間でも長く続ける方が結果的に安定につながる可能性があります。

また、テレワークやフレックスタイム制度など、通院や体調変化に応じて柔軟に働ける制度の有無を確認することも重要です。

こうした制度があれば、治療を継続しながら働くことが可能になり、心身への負担を軽減できます。自分のペースで働ける環境を選ぶことが、長期就労への第一歩となります。

職場環境や雰囲気の確認

職場の雰囲気や人間関係が自分に合うかどうかを確認することは、長く働き続けるために大切です。過度なプレッシャーやストレスの多い環境は、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。面接時や職場見学時には、スタッフの様子やコミュニケーションの取り方を観察してみましょう。

たとえば、スタッフ同士が気軽に声をかけ合っているか、質問しやすい雰囲気があるかなど、実際の職場の空気感を感じ取ることが大切です。自分に合った職場環境を選ぶことで、ストレスを抑えながら働くことができます。

休職制度や配置転換、転職の選択

現在の職場で働き続けることが困難な場合、無理をせず休職制度を利用し、治療と休養に専念する選択肢があります。休職によって心身を回復させることで、その後の復職がスムーズになるケースもあります。また、現在の部署の業務や人間関係がストレスの原因となっている場合は、部署異動や配置転換を相談する選択肢も考えられます。

それでも改善が難しい場合は、転職も視野に入れてみましょう。新しい環境で再スタートすることで、自分に合った働き方が見つかる可能性があります。

活用できる公的支援制度と専門の相談窓口

活用できる公的支援制度

うつ病や精神疾患があり、仕事が続かない悩みを抱える方向けには、公的支援制度や専門の相談窓口が用意されています。経済的な支援から就職活動のサポートまで、様々な支援を受けることができます。

ここでは、活用できる主な制度や相談先について解説します。

経済的支援(傷病手当金・障害年金・雇用保険)

休職中の生活を支える制度として、会社員などが加入する健康保険の「傷病手当金」があります。これは業務外の病気やケガで働けない期間の生活を支援するものです。また、病気やケガで長期にわたり生活や仕事に制限がある場合には特定の条件を満たすことで「障害年金」を受給できる可能性があります。

ただし、失業手当は「働ける状態」であることが受給要件です。治療に専念するためにすぐに働けない場合は、受給期間の延長手続きを行うことで、体調が回復してから手当を受け取れるようになります。焦らず制度を使い分けることが大切です。

また、失業した場合には「雇用保険(失業手当)」を利用することもできます。これらの制度を活用することで、経済的な不安を軽減しながら治療や就職活動に専念できる環境を整えられます。

参考:
全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
日本年金機構|障害年金
厚生労働省|雇用保険制度

ハローワーク(専門援助部門)

ハローワーク(公共職業安定所)には、障害者向けのサポート体制が整っています。専門援助部門では、専門の相談員が障害者枠の求人紹介や就職活動の支援を行っており、障害特性に応じた職業相談を受けることができます。

また、障害のある方向けの就職面接会の開催や、希望に応じて面接同行などのサポートも提供されています。就職活動の不安を相談しながら、自分に合った仕事を探すことができる窓口です。

参考:ハローワーク インターネットサービス

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、専門的な職業リハビリテーションを行う施設です。ハローワークと連携しながら、職業相談や情報提供、専門性の高い支援を受けることができます。職業カウンセラーによるカウンセリングや、ジョブコーチによる職場適応支援など、就労に向けた専門的なサポートが特徴です。

なお、直接的な職業紹介は行っていませんが、リハビリテーションの専門機関として、働くための準備を整えることができる施設です。

参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構|地域障害者職業センター

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、仕事面だけでなく生活面も含めた一体的な支援を行う窓口です。雇用や福祉の関係機関と連携しながら、就職に向けた支援や助言を提供しています。

また、事業所への障害者雇用に関する助言なども行っており、地域に密着したサポート体制が整っています。就職後の定着支援も含めて、長く働き続けるための総合的なサポートを受けることができる相談先です。

参考:厚生労働省|障害者就業・生活支援センターの概要

障害者向け転職エージェント

障害者雇用に特化した転職エージェントを利用するメリットもあります。障害者の就職活動ノウハウを持つ専門アドバイザーが、希望や障害特性に合わせたマッチングを行ってくれます。

一般には公開されていない非公開求人の紹介を受けられることや、就職前の準備から就職後の定着支援まで、継続的なサポートを受けられる点が利点です。自分に合った働き方を見つけるための、心強いパートナーとなるでしょう。

就労移行支援事業所で社会復帰の準備を整える

これまで紹介した相談先の一つとして、「就労移行支援事業所」があります。就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方が、就職に必要な知識やスキルを身に付けるための福祉サービスです。障害者手帳がなくても、医師の診断などで利用できる場合があります。

ニューロリワーク」は、うつ病や適応障害、発達障害などで就職を希望する方をサポートする就労移行支援事業所/自立訓練(生活訓練)事業所です。生活リズムの改善、体力回復、職業スキルの習得、就職活動のサポート、就職後の定着支援まで、一人ひとりの目標に合わせて専門スタッフが支援しています。特に、生活習慣を整える「ブレインフィットネスプログラム」や、自己理解を深める「FINDプログラム」など、安定就労に向けた独自のプログラムを提供しており、無理なく働き続けるための基盤づくりが可能です。医療機関での治療と並行しながら、実践的な職業スキルの習得や、自身の状態に合った支援を受けられる場として、まずは見学や相談をご検討ください。

見学予約

監修者

工藤 知紀

千葉くどう産業医事務所株式会社 代表取締役/産業医

札幌医科大学医学部卒業後、製鉄記念室蘭病院にて初期研修を修了。
豊田合成株式会社の専属産業医として従業員の健康管理・メンタルヘルス支援に従事したのち、独立して「千葉くどう産業医事務所株式会社」を設立。
現在は多業種の企業において20社以上の産業医を務め、労働衛生・メンタルヘルス・健康経営の各分野で幅広く活動。
法令遵守を踏まえた実践的な健康管理体制の構築や、安全衛生委員会・復職支援・ストレスチェック運用など、企業の現場に根ざした伴走型サポートを行っている。

■保有資格:
日本医師会認定産業医/産業保健法務主任者(メンタルヘルス法務主任者)/健康経営エキスパートアドバイザー/両立支援コーディネーター

ホームページ:https://kudo-sangyoui.com/