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公認心理師監修 復職 セルフケア

復職後の再発防止は「習慣」が大切│無理なく続けられる具体的なアクション

メンタル不調から復職した後、「もう大丈夫だろう」と思っていても、再び体調を崩してしまう方は少なくありません。再発を防ぐカギは、意志の力というよりも「習慣」にあります。

この記事では、復職後も安定して働き続けるために取り入れたい具体的な習慣と、その定着方法について解説します。無理なく続けられる行動を日常に組み込むことで、長期的な安心を手に入れやすくなります。

復職後の再発を防ぐために「習慣」が重要な理由

「習慣」が重要な理由

復職後も安定して働き続けるためには、「頑張ろう」という気持ちだけでなく、日々の生活の中に組み込まれた「習慣」が大きな役割を果たします。無理なく続けられる習慣を身に付けることで、心身の健康を保ちながら働くことが可能になるからです。

以下では、なぜ習慣が再発防止に欠かせないのか、3つの観点から解説します。

意識だけで行動を変えるのは難しく継続できない

人が意識的にコントロールしている行動は、「わずか5%ほどである」という言説を聞いたことがある方も多いかもしれません。この考えによると、残りは無意識、つまり「習慣」によって動いているといえます。ここで大切なことは、意識と無意識の具体的な割合ではなく、「人の行動は無意識にこそ大きな影響を受ける」という考え方です。

すなわち、「気を付けよう」「頑張ろう」といった意志の力だけで再発を防ごうとしても、気づけばいつもの行動パターンに戻ってしまうことが少なくないということを示しているといえます。

この考え方によれば、意識に頼るのではなく、身体に染み込んだ習慣として定着させることが、長期的な再発防止のカギとなります。また、休職中に身に付けた「休むための習慣」を、復職後は「働くための習慣」へと切り替える必要があります。

この切り替えには1週間や10日程度ではあまり期待できず、ある程度の時間をかけて少しずつ変えていくことが求められます。

生活リズムの乱れがメンタル不調の引き金になる

生活リズムが整っていない状態や体力が十分に戻っていない状態で復職すると、仕事を継続することが難しくなる可能性が高まります。不規則な生活や睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、メンタル不調の再発リスクを高める要因となるからです。

休日であっても起床時間を一定に保ち、朝の光を浴びるといった基本的な生活習慣は、心身の安定に直結します。また、十分な睡眠や食事、適度な運動を心がけることも重要です。こうした規則正しい生活を習慣化することで、ストレスへの耐性が高まり、環境の変化による負荷を軽減できるようになります。

治療と並行して、食事・睡眠・運動といった健康的な生活習慣を整えていくことは、うつ病や適応障害などの精神疾患における再発予防の土台となります。ただし、生活習慣だけで改善するわけではありませんので、治療方針は主治医と相談しながら進めていくことが大切です。

小さな習慣の積み重ねがレジリエンス(回復力)を育む

復職直後は、以前と同じペースで仕事をこなそうとして無理をしがちです。しかし、体力や集中力がしっかりと戻っていない状態で過度な負荷をかけると、再発のリスクが高まります。業務量を適切に管理し、自身のキャパシティを超える仕事は丁寧に断る習慣を身に付けることが重要です。

「できません」と伝えることは、決してマイナスではありません。むしろ、長期的に安定して働くために必要なスキルといえます。上司や同僚に現状を共有し、協力を得ながら段階的に業務量を増やしていくことで、無理のない働き方が実現できます。

こうして小さな成功体験を積むことが自信(=自己効力感)に繋がり、それが逆境を跳ね返すレジリエンスを育むことにも繋がっていくと考えられています。

復職後に取り入れたい再発防止のための具体的な習慣

再発防止のための習慣

復職後も安定して働き続けるためには、日常生活の中で実践できる具体的な行動を習慣として定着させることが欠かせません。

以下では、再発を防ぐために取り入れたい4つの習慣について解説します。

業務量の管理と「断る勇気」を習慣にする

復職直後は「早く取り戻したい」という焦りから、つい無理をしてしまいがちです。しかし、自身のキャパシティを超える業務を引き受けることは、再発のリスクを高める大きな要因となります。業務量を常に可視化し、限界を感じたときは早めに上司や同僚に相談する習慣を身に付けることが求められます。

スケジュール管理を徹底し、定時退社や休憩時間の確保を「自身との約束」として守ることで、過重労働を未然に防げます。また、「断ること」は自身を守るだけでなく、適切な業務分担を促し、組織全体の効率化にもつながります。断ることに罪悪感を持つ必要はなく、長期的に働き続けるための賢明な選択だと捉えるのがおすすめです。

自己判断で治療を中断せず通院を継続する

症状が落ち着いてくると、「もう治った」と感じて通院や服薬を自己判断でやめてしまうケースがみられます。しかし、これは再発の危険性を大きく高める行動です。復職後も主治医との定期的な面談を習慣として継続し、客観的な意見をもらうことが重要です。

医師は専門的な視点から体調の変化を判断するため、自身では気付きにくい微妙なサインも早期に発見できます。減薬や通院間隔の変更を検討する場合は、主治医と相談しながら慎重に進めることが大切です。自己判断による治療の中断は、それまでの回復を台無しにしてしまう可能性があります。

ストレスサインに気付くためのセルフモニタリング

自身の心身の状態を日々チェックする習慣は、再発を防ぐ上で大きな効果が期待できます。睡眠の質、食欲の変化、気分の浮き沈みなど、自身が出すSOSサイン(ストレスサイン)を毎日確認することが大切です。日記やスマートフォンのアプリを活用して体調を記録することで、調子を崩す前の「予兆」に気付きやすくなります。

たとえば、「最近よく眠れない日が続いている」「些細なことでイライラしてしまう」といったサインが出たときは、早めに休息を取るか、主治医や信頼できる人に相談するという「行動ルール」を事前に決めておくことが大切です。自身の体調変化に敏感になることで、深刻化する前に対処できるようになります。

相談できる相手を持ち孤立を防ぐ

一人で悩みを抱え込むことは、再発の大きな要因となります。家族、友人、職場の同僚、主治医やカウンセラーなど、複数の相談先を持っておくことが大切です。困ったことがあればすぐに相談するという「援助希求行動」を習慣化することで、心の負担を一人で背負わずに済みます。

相談することで問題が整理され、解決策が見えてくることも少なくありません。また、職場内だけでなく、リワーク施設や専門のカウンセラーといった職場外の相談相手も持つことで、様々な角度からアドバイスを得られるメリットがあります。孤立を防ぎ、周囲のサポートを受けながら働く姿勢を持つことが、長期的な安定につながります。

再発防止の習慣を定着させるためのコツ「SMARTの法則」

習慣を定着させるコツ

習慣化を成功させるためには、漠然とした目標ではなく、「SMARTの法則」に基づいて具体的かつ測定可能な目標を立てることがおすすめです。

SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限)の5つの要素を指します。たとえば、「生活リズムをととのえよう」ではなく「23時までには寝るようにしよう」と具体的に設定することで、行動に移しやすくなります。

以下の表では、復職後の習慣化に役立つ具体的な目標設定の例をご紹介します。

目標のテーマ Specific(具体的) Measurable(測定可能) Achievable(達成可能) Relevant(関連性) Time-bound(期限)
残業時間の管理 定時後の業務は30分以内に切り上げ、18時には退社する。 週5日のうち、3日以上達成できれば合格とする。 繁忙期は「18時30分まで」と柔軟に設定し、無理なく続けられるラインにする。 過度な疲労の蓄積を防ぎ、翌日のパフォーマンスを維持するために行う。 復職後1ヶ月間はこのルールを徹底し、その後見直す。
睡眠リズムの確立 就寝1時間前にはスマホを見るのをやめ、23時には布団に入る。 睡眠アプリや手帳に記録し、週平均7時間の睡眠時間を確保する。 最初は「スマホをベッドに持ち込まない」という簡単な行動から始める。 自律神経を整え、メンタルの安定を図るために不可欠である。 次回の通院日(2週間後)まで継続し、主治医に成果を報告する。
ストレスケア
(相談・報告)
毎週金曜日に、上司へ今週の業務進捗と体調レベルをメールで報告する。 「報告できたか/できなかったか」で判定し、実施率100%を目指す。 詳しい日報ではなく、テンプレート化したフォーマットで5分で終わる内容にする。 業務過多や不調のサインを早期に共有し、孤立を防ぐために行う。 復職から半年間(定着するまで)は毎週実施する。

一人での習慣化が難しいなら専門機関を頼ろう

専門機関を頼る

一人で習慣を変えようと努力するには、多くの労力と時間が必要です。再発を防ぎながら安心して復職したい方には、専門的なサポートを受けられる機関の利用が選択肢として挙げられます。

リワーク支援で再発防止の土台を作る

一人で習慣を変えようと行動する際には、想像以上に労力がかかります。そのため、リワーク(復職支援)などの専門機関を利用して、再発防止のためのトレーニングを受けることが効果的です。

リワークでは、生活リズムの改善やストレス対処法の習得、模擬業務を通じた実践的な訓練を受けられます。専門スタッフのサポートを受けながら、復職後も無理なく続けられる「自身に合った働き方」を見つけられることが大きなメリットです。主治医とよく相談し、リワーク支援の利用を検討することも大切です。

ニューロリワークの定着支援で長期的な安心を

ニューロリワーク」では、脳科学者や精神科医などの監修のもと開発したブレインフィットネスプログラムを通じて、運動・食事・睡眠・ストレスケア・知的刺激・人間関係の6領域をバランスよく改善し、心身の健康維持に役立つ知識やスキルを学びながら復職を目指します。また、復職後に職場で健康に長く勤務できるよう、復職後の定着支援も行っています。プログラムの見学や復職に関するご相談も随時受け付けていますので、復職や再発への不安がある方はぜひ一度ご相談ください。

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監修者

藤本 志乃

公認心理師、臨床心理士

早稲田大学人間科学部健康福祉学科、同大学院人間科学研究科卒業後、荒川区教育センター、東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科にて心理士として勤務。
その後、日本赤十字社医療センター腎臓内科心理判定士を経て、2020年にオンラインで心サービスを提供するLe:self(リセルフ)を創業。
企業でのメンタルヘルス研修など予防的な心のケアに関する講演、コンテンツ作成などにも多く携わる。
著書にあふれる「しんどい」をうけとめる こころのティーカップの取り扱い方。

ホームページ:https://leself.jp/