「うつ病で休職したい」と思ったら、確認したいポイント
年々増え続けるといわれているうつ病などの精神疾患。仕事を続けることが困難となり、休職という選択肢を考える方も多いかもしれません。ここでは、「うつ病で休職したい」と考える方のために、うつ病になった際の対処方法などについてみていきます。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから)
うつ病になってしまったら
「仕事がつらい」「職場の人間関係がストレス」など、心に負荷がかかる原因は人によってさまざまです。また、場合によっては日常生活に大きな支障が出るようなケースもみられます。自分ひとりで解決することが困難な問題がある反面、周囲に相談することで解決できる問題もあります。そのため、過度なストレスが原因で心身の健康が損なわれる前に、まずは相談するということが大切です。
悩みの相談先は、上司や社内の窓口であったり、主治医や社外の窓口であったりと、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。近年ではインターネットや電話を活用した匿名の窓口も多くなっており、誰にも知られずに相談することができます。
うつ病などの精神疾患を患って休職を考える際に、気になるのは「休職によって解雇されるのではないか」という点かもしれません。労働契約法第16条によれば、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。すなわち、合理的な理由がない場合は解雇は違法と判断されることを意味しています。
うつ病によって解雇された場合、従業員としての地位の確認や損害賠償請求の裁判が可能となるケースもあります。特に業務が原因でうつ病を発症した場合は責任や原因の一端が会社側にあると判断されることも少なくないため、会社がうつ病を理由に従業員を解雇することはあまり現実的ではないといえます。ただし、労働基準法第81条によれば業務上の病気やケガが理由で休業し、治療中の従業員が治療開始後から3年が経過しても治療が終わらない場合には、企業はその従業員の平均賃金の1,200日分を支払うことで補償を終了(解雇)させることができます。つまり、うつ病などの精神疾患による休職・欠勤(および治療)が長期にわたる場合には、解雇の可能性はゼロではありません。とはいえ、現実的にはその可能性は少ないといえます。それゆえ、心や身体がつらく「休職したい」と考えるときは、無理をせずに休職という選択肢を採ることが大切です。
休職制度
うつ病などで休職を考える場合、押さえておきたいのは所属している会社の休職制度です。休職は、一見すると有給休暇と同じように法律によって定められていると考えられがちですが、実は法律で規定されている制度ではありません。休職制度は企業が独自の判断や裁量で定めている制度であるため、企業によっては制度そのものがないこともあります。
企業によって制度の有無や詳細が異なるため、休職を考える際には上司や担当の部署に確認する必要があります。近年ではインターネットサイトでも休職に関する様々な情報が得られますが、これらは一例であり、必ずしも自社や自部署のルールと合致するわけではないため注意が必要です。
休職期間に入るには、専門医の診断(判断)が必要となります。勤め先の企業に産業医がいる場合は産業医が診断をおこない、産業医がいない場合は主治医がおこなうというのが一般的です。なお、労働安全衛生法によれば、労働者数が50人以上3,000人以下の規模の職場であれば1名以上の産業医を選任し、労働者数が3,001人以上の規模の職場であれば2名以上を選任する決まりがあります。(出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「産業医について~その役割を知ってもらうために~」)
うつ病などの精神疾患の場合、自身で「大丈夫」もしくは「重い病気に違いない」と極端な自己判断をおこなってしまうケースも考えられます。このように専門家の診断を受けずに判断することは避け、必ず専門医の診断を受けるようにしましょう。
医師の診断を経て休職期間に入ることが決まれば、休職中の給与の有無や金額、または補償、さらには休職の期間などについて確認する必要があります。上述したように休職制度は企業によって異なるため、休職後に問題が生じないよう事前の確認が不可欠となります。
リワーク施設
休職期間中、どのような過ごし方をすればよいかについて迷う方もいるかもしれません。休職期間は主に心や身体を休め、療養する期間に位置づけるべき期間ですが、併せて復職を視野に入れて活動する期間として位置づけることも大切です。
たとえば過度なストレスが休職の原因になった場合、ストレスを生じさせるストレッサ―を解消させることが解決策のひとつとなります。しかし、場合によってストレッサ―を除去できないというケースも考えられます。こうしたケースでは、復職を諦めるのではなく自身がストレスに対処できるようになるという方法も解決策のひとつとしてあげられます。
休職期間中、復職を視野に入れて毎日を過ごすのであれば、リワーク施設を活用するという選択肢もあります。リワーク施設は復職を目指したさまざまなプログラムを提供する施設であり、個人差もありますが、概ね3ヶ月~1年ほどで復職を果たすというのが一般的です。
リワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」では、復職を目指す上で効果的なさまざまなプログラムを提供しています。たとえば、認知行動療法を基にした心理系プログラムやコミュニケーションプログラム、ビジネススキルプログラムや運動プログラム、さらには脳と心の健康を維持するためのブレインフィットネスプログラム、自己管理プログラム、セルフケアプログラムなど、就労スキル・生活管理スキルの両方を身に付けられる多様なプログラムがあります。
心のケアとともに、身体をつくることの大切さ
うつ病などの精神疾患を解消するために心のケアに重きが置かれるというのが一般的ですが、ニューロリワークでは安定した就労を実現するためには、心のケアだけでなく、栄養バランスのとれた食事や適度な運動も重要であると考えています。それゆえ、身体をつくることの大切さを学ぶためのプログラムも充実しています。
たとえば、「トレーニングの強化に導く食事レッスン」というプログラムでは、身体づくりのポイントとして、トレーニングに必要な栄養素について学びます。
休職の前後にかかわらず、健康を目指してトレーニングを始めたけれど効果がみられなかったという経験のある方もいるかもしれません。「筋肉がつかない」「引き締まらない」「体力がつかない」「太れない」「痩せられない」など、トレーニングに関する悩みはさまざまです。こうした悩みは、身体の仕組みに合わせた栄養補給によって解決に近付けることが可能です。
トレーニングを行う上で、知っておくべき点はいくつもあります。たとえば、タンパク質の摂取量や筋肉合成に必要な栄養素、補給のタイミングなどです。健康的にトレーニングするために必要なポイントとして、プログラム内では以下の6つを押さえます。
タンパク質は筋肉の基になる栄養素であるため摂取が不可欠ですが、過剰摂取は肝臓の負担になるという危険性があります。身体が一度に吸収し、利用できるタンパク質は約40gといわれていますので、タンパク質の補給はこまめにおこなうことが鉄則とされています。なお、タンパク質のみを多量に摂取して糖質を制限するという食事制限もみられますが、タンパク質を分解するためには他の栄養素が不可欠です。
このように、健全な身体をつくるためには栄養素を無作為・無秩序に摂取するのではなく、バランスよく、適時・適切に摂取することが重要です。復職後に安定した日常生活を送るのであれば、メンタルケアと同様に、身体の基礎をつくることが大きなポイントとなります。
プログラムでは、座学以外にもワークを通じて理想の食事について考えます。ワークでトレーニング前後の理想的な食事を考え、発表の機会を設けることで、知識として定着させ翌日から実践に移せることを目指しています。他にも、コンビニエンスストアで食事を購入するときのポイントとして、「必要な栄養成分が含まれているか」「不必要な栄養成分が多く含まれていないか」といった点に着目することの大切さも学びます。
食事内容やタイミングを学ぶことで、トレーニングの効果をより得やすくなります。長年トレーニングしていても効果がでなかった方や、これからトレーニングに取り掛かる方など、多くの方に役立つプログラムとなっています。
まとめ
職場で心や身体の体調を崩した場合、無理をせずに休職することが選択肢のひとつです。また、休職するのであれば心や身体を休めるだけでなく、復職後に安定して働き続けるためには休職期間に何をすればよいかという観点から過ごし方を考えることが大切です。
ニューロリワークでは、プログラムに興味のある方に向けて見学を実施しています。ご興味のある方は、お気兼ねなく見学・参加いただけます。休職期間のプログラムを通じて、復職後は心と身体に負担なくお過ごしいただけることを心より願っています。(プログラムの見学希望の方はコチラからお申し込みいただけます)
【参考文献・参考サイト】
・厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「産業医について~その役割を知ってもらうために~」
・LAW OFFICE VERYBEST「うつ病の社員を辞めさせても良いのか?会社がとるべき対策や注意点を解説」
・弁護士法人 咲くやこの花法律事務所「打ち切り補償とは?わかりやすく解説!」
・労働問題弁護士ナビ 「仕事を辞めたい人がうつになる前に読む休職・退職の全知識」
(写真素材:PIXTA・photoAC)
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