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休職 メンタル不調

休職中のメンタル不調や抑うつ気分に
不調の引き金と対処法を押さえてセルフケア

休職している方の中には、「休んでいるはずなのに心身の不調が続く」「うつうつとした気持ちが晴れない」という方も多いかもしれません。職場のストレスから離れたとはいえ、日常生活の中で落ち込む出来事や不調のきっかけがゼロになるとは限りません。

そのような心身の不調や抑うつ的な気分に対して、自発的な対処をするのが「セルフケア」です。自分の心身の状態を自覚し、不調の引き金となることを把握して状態に応じたケアを行うことで、つらい気分を和らげたり不調を防ぐことが可能です。セルフケアを実践していくことにより、事前に不調の兆候に気づき対応することもできます。

ここでは、セルフケアの概要と、その手順についてお伝えします。休職期間にセルフケアを実践して心身が安定した状態を自発的に作れるようになれば、自信をもって復職準備を進めることも可能です。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから

セルフケアとは

セルフケアとは
セルフケアという言葉については、「聞いたことがない」「詳しく知らない」という方もいれば「最近よく聞く」という方もいるかもしれません。セルフケアは「セルフ(self)=自分自身」と「ケア(care)=気にかけて面倒を見る」という英語が表すように「自分自身の世話をする」「自分自身の面倒を見る」ということを意味します。

たとえば、「料理をしていて指を切ったので手当てをする」「お腹が冷えたから温める」といったこともセルフケアに含まれます。このように目に見える傷やわかりやすい不調であれば、多くの方は適切な対処ができているものです。しかし、自分では気づきにくい体調や行動の変化、心の不調となると、ケアをしていないというケースも多くみられます。

特にメンタル不調で休職している方が押さえておきたいのは、その「見逃しがちな体調や行動の変化」「心の不調」へのケアです。
どのような状況が不調の引き金となるか、何にストレスを感じやすいかは人によって異なります。たとえば「職場のストレス」とひと口にいっても、人間関係や仕事の締め切り、業務内容、勤務形態、業績や評価など原因はさまざまです。いろいろなストレスがある中で、どのようなことに負荷を感じやすいか、負荷がかかるとどのような不調につながりやすいかを明確にして、自発的に対処していくことがセルフケアの基本となります。

セルフケアの種類

セルフケアの種類
セルフケアは、主に以下のふたつに大別できます。

《1.オンタイムセルフケア》
⇒勤務中など、日中の活動時間に本来の力を発揮するためのケアです。

<例>
・上司に自分の心身の状態について伝えて配慮を求める
・職場の理解とサポートを得られるようにする
・決められた時間に休憩をする

《2.オフタイムセルフケア》
⇒自宅で過ごす時間や休み時間に行うケアです。

<例>
・朝、太陽の光を浴びる
・元気が出ないときに好きな音楽を聴く
・ゆっくり入浴をする
・疲れているときは早めに寝る

どちらも重要なケアですが、今回はオフタイムセルフケアに焦点を当てて手順をご紹介します。

セルフケアの手順

セルフケアの手順
上述したように、セルフケアでは自分がどのようなことに負荷を感じやすいか、または負荷がかかるとどのような不調につながりやすいかを明確にして、自発的に対処していきます。セルフケアの手順は、主に以下のステップで行います。

ステップ1.心身の変化や状態を自覚する

ステップ2.何が心身の負荷になりやすいかを把握する

ステップ3.状態に合わせたセルフケアを行う

ステップ1.心身の変化や状態を自覚する

自分自身の面倒をみることや、不調への自発的な対処をすることが求められるセルフケアですが、適切な対処を行うためには自分の不調や変化に気づく必要があります。

メンタル不調で休職している方の中には、自分をないがしろにして「体調や行動の変化」「心の不調」を無視してしまう方もいます。それではケアもできず、心身の健康状態を保つことも難しくなってしまいます。まずは自分自身を大切に「ケア(=気づかう、心配する)」して、心身の状態や変化を丁寧に正しく把握することが最初のステップです。

「見逃しがちな体調や行動の変化」や「心の不調」といっても、もしかするとイメージしにくいかもしれません。

例としては、以下のものが挙げられます。
《体調や行動の変化の例》
・なかなか寝つけない日がある
・朝起きるのがつらい
・呼吸が浅い
・少し動いただけで疲れる
・食欲が落ちた
・お酒を飲む回数や量が増えた

《心の不調の例》
・ささいなことでイライラする
・なんとなく元気が出ない
・ボーっとしてしまうことが増えた
・趣味が楽しめない
・最近ほとんど笑っていない
・過去の嫌な出来事の記憶が頭から離れない
・何気ないことで落ち込んでしまう
・ぼんやりとした不安を感じている
・休んでいても落ち着かない

ステップ2.何が心身の負荷になりやすいかを把握する

自分の心身の変化や状態を自覚できるようになれば、次は「自分の心や体はどんなことで負荷がかかりやすいか」「自分にとってどういうことが体調不良の引き金になるのか」を把握していきます。
負荷や引き金の例
ある人にとって負荷であることが、他の人にとってはむしろ心地よい状況ということも考えられます。あくまでも「自分の心や体」に焦点を当てて、どんなことに反応するのか把握するというのがポイントです。

ステップ3.状態に合わせたセルフケアを行う

心身の状態に自覚的になり負荷や不調の引き金を把握できたなら、状態に合わせたセルフケアを行うことが可能になります。ステップ2で挙げたものからいくつか例に挙げます。

■例①引き金:人の話し声や騒音
ケア:ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンや耳栓、防音イヤーマフを使う

■例②引き金:眩しい光
ケア:屋外ではサングラスを使う。室内ならレースカーテンを閉める、窓際を避けた位置に机を置く

■例③引き金:混雑した電車
ケア:早めに家を出て各駅停車の電車で目的地へ向かう

自分一人で可能なセルフケアもありますが、場合によっては周りの協力や理解が不可欠なこともあります。自分を心身の不調から守るために他者に働きかけることも、大切なセルフケアのひとつです。

「自分のために支援を要請すること」を、「セルフアドボカシー(自己権利擁護)」と表現することもあります。今回は詳細の割愛となりますが、メンタル不調を抱えて休職している方が復職後も安定して働き続けるためにはセルフアドボカシーのスキルも重要です。

適切な支援を要請するためにも、まずは心身の変化や状態を自覚し、何が心身の負荷になりやすいか把握した上で、状態に合わせたセルフケアを行い、心身の健康を取り戻すことが大切です。

まとめ

まとめ
セルフケアは、「自分自身の面倒をみること」「自分自身の世話をすること」です。その根本には、「自分自身を大切にすること」「自分で自分の心身を守ること」という考えがあります。

自分の心身の状態に対して、最も身近で、最も強い影響を与えられるのは自分自身です。周りからの手助けやケアもときに必要ですが、誰よりもまず自分自身が自分の心身を大切に守っていくのだという意識を持つことが重要です。
セルフケアは、自分の心身を大切に守るための手段のひとつです。自分自身に対して「調子が崩れていないか気にかけてあげよう」「不調の引き金を見つけてあげよう」「負荷を避けて不調を防いであげよう」と丁寧にケアをしていくことが、メンタルの不調や抑うつ的な気分を軽減させることにつながります。

休職期間にセルフケアを行うことで自分で安定した状態を作れるようになれば、徐々に本来の力を発揮できるようにもなります。ひとりで行うことが難しい場合は、セルフケアを取り入れているリワーク(復職支援)施設を利用する方法もあります。

リワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」では、認知行動療法理論に基づく独自の復職後の再発を防止する自己理解や、セルフケアのプログラムを含め、休職している方を支援するさまざまなプログラムを提供しています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ご来所での施設の見学だけでなく、オンラインでの見学も可能です

今回ご紹介した内容が、ご自身に合ったセルフケアを実践する一助となり、休職期間の支えになるよう心より願っております。(プログラムの見学希望の方はコチラからお申し込みいただけます

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【参考文献・参考サイト】

・公益社団法人日本看護協会 看護職の働き方改革の推進
・公益社団法人日本看護協会 看護職の労働安全衛生>メンタルヘルスケア>個人での対応(セルフケア)
・goo辞書(小学館 プログレッシブ英和中辞典 第5版)
・就活と安定就労に役立つ セルフケア講座 – 川崎市
・厚生労働省「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」
(写真素材:PIXTA・photoAC)