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リワーク

「体調は悪くないのにリワーク施設に行きたくない」
欠席する?しない?悩んだときの対処法

リワーク施設に通っていると、体調が悪いわけでもないのに「行きたくない」と思う日があるかもしれません。そのようなときは「行きたくない」と思う原因を把握し、対処することで少しずつ遅刻や欠席を減らすことを目指しましょう。

どのような原因であっても自分だけで抱え込まず、まずはリワーク施設のスタッフなどに相談することが大切です。相談により、解決の糸口をつかむことができます。ひとりで焦ったり無理をしたりする必要はありません。やむを得ない事情以外での欠席を減らすことは、復職に向けた取り組みとしても重要です。

ここでは、リワーク施設に行きたくない原因やその対処法についてみていきます。少しずつ欠席を減らし、安定してリワーク施設に通える状態を整えて職場復帰を確実なものにしましょう。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから

「リワーク施設に行きたくない」その原因は?

リワーク施設に行きたくない
うつ病などのメンタル不調を抱えた方は、自分を責める方向に考えたり、物事を広く長いスパンで見られなくなったりする傾向があるといわれています。そのため、「リワーク施設に行きたくない」と感じる原因についても、その日その時の感情に焦点を当てて「気持ちの問題だ」「自分がしっかりしていないからだ」等と結論付けてしまいがちです。
このように結論付けてしまうと、対処法や解決策を考える道が閉ざされてしまいます。そうならないためにも、「行きたくない」という気持ちに至る状況や感情に注目することが大切です。

行きたくない気持ちが生まれる根本には、「生活リズムの乱れ」や「メンタル不調の波」、または「スタッフや他の利用者との関係」に関する原因が考えられます。
以下では、その詳細や対処法についてみていきます。

生活リズムの乱れ

休職中は出勤の必要がないため、生活リズムが乱れがちです。生活リズムが乱れた状態でリワーク施設に通い始めた場合、「決まった時間に起きられない」「起きるのがつらい」と感じることも多くあります。また、しばらくリワーク施設に通って平日の生活リズムが安定してきた方でも、つい気が緩んで土日に夜更かししてしまい、月曜日の朝に起きられないということもあります。

もしかすると、休職する以前は睡眠不足でも乗り切って仕事していたという方もいるかもしれません。しかし、それは心身に余力があったからできたことであり、不調を抱えている場合は心身に余力がないことも多くあります。休職期間中は以前と同じように無理やり何とか乗り切ろうと考えるよりも、しっかりと生活リズムを整えるように意識して過ごすことが大切です。

メンタル不調の波

休職した頃と比べて心身が安定してきても、そのまま一気に回復できるとは限りません。多くの場合は好調と不調を繰り返しながら、不調の日が少しずつ減っていくというのが一般的です。なかには、日照時間が少ない秋から冬に気分が落ち込みやすくなるケースもあります。そのような場合、リワークの期間によっては通うのがつらくなることも考えられます。

不調の原因は様々ですが、共通するのは気分の波があるということです。不調の波が来ると「昨夜は元気でリワークも楽しみだったのに、今朝起きたら気持ちがふさいでいて行きたくない」「先週は週5日,でもすんなり通えていたのに、ここ数日は行きたくなくてつらい」というようなことが起こります。
「行きたくない」という気持ちは、うつ病の症状のひとつかもしれません。根本的な原因である障害や疾患について理解し、適切な治療を受け、必要であれば生活改善などにも取り組むことが大切です。それこそが、行きたくない日を減らす対処法のひとつとなります。

スタッフや他の利用者との関係

人は社会的動物と言われるように、人間関係が職場や学校などの居心地や通いやすさに大きく影響します。リワークでも同様に、人との関係が原因で「行きたくない」と思うことがあるかもしれません。

たとえば、「他の利用者の目が気になって落ち着かない」「会話が続かない」「他人がいると緊張してしまう」といった理由で行きたくないと感じる場合には、悩みに応じた適切な支援が受けられるようにスタッフに相談することが大切です。

「パーティション等で周りの視線を遮断してほしい」「しばらく集団で行うプログラムを減らして個人で取り組む時間を増やしたい」といった要望を伝えることも、ときには必要です。要望がそのままの形では実現しなかったとしても、自分自身が何に悩み困っているかを理解した上で他者に伝えることで、対処の選択肢を増やすことができます。

なお、自分の困りごとについて伝えて周りに配慮をお願いすることは、「セルフアドボカシー(自己権利擁護)」と呼ばます。こうしたセルフアドボカシーという考えは、復職直後の職場でも大きな役割を果たします。復職訓練の一環と考えて、率直に悩みを伝えていきましょう。

最初から悩みについて明確に言葉でまとめるのは難しいとしても、話すことで気持ちが整理されて気がかりを見つけたり悩みが明確になったりすることもあります。問題解決に向けて必要な知識や技術について相談するのもよいかもしれません。

他の利用者ではなく特定のスタッフに対して苦手意識などがある場合、その人を常に避け続けるのは難しいため、行きたくない気持ちがますます強くなるかもしれません。そのような場合も、他のスタッフに相談することが解決につながります。
他のスタッフが間に入ることで、もしも苦手意識の根底に行き違いなどがあれば解決することも可能です。自分だけの力で避け続けるのは難しくても、他のスタッフの協力を得られれば直接的な関わりを減らすといった工夫もできます。

まずは相談することが大切

まずは相談することが大切
どのような原因であっても、共通して言えるのは「自己判断せずに相談することが大切」ということです。同居している方など身近な人に聞いてもらうというのもひとつの方法ですが、度重なると相手が精神的な負担を感じることがあるかもしれません。周囲に負担をかけないという点からも、リワーク施設を利用し、スタッフに相談することが大切です。

「行きたくないなんて、その施設のスタッフには言い出しにくい」と思うこともあるかもしれませんが、復職を目指す上ではコミュニケーションの訓練も重要です。まずはスタッフに自身の状態を話すことからはじめましょう。スタッフに率直な気持ちや現状を話してフィードバックを得ることは、自分の状態について正確に把握することにもなります。スタッフと共に正しく現状を把握し、問題の解決につながる考え方や視点を得ることは、重要な復職準備でもあります。

「行きたくない」「いっそ欠席してしまおう」という気持ちにばかり当たっていた焦点を「生活リズムを整えるために今日はどのように過ごすか」という新たな方向に切り替えることが、問題の解決につながる考え方や視点の獲得になります。 問題の解決に向けていつもと異なる行動を起こすことが、復職準備につながっていきます。自己判断せず相談することで、「行きたくない」と思う状況であっても復職に向けたヒントを拾い上げる機会に変えることができます。

まとめ

よくわかるリワークまとめ
心身が健康であっても、「会社に行きたくない」と感じることはあります。ましてや不調を抱えている状態であれば行きたくない日がより多くなるかもしれません。
しかし、もしも無断欠席してしまうと、自責の念を強めるだけでなく、翌日も顔を合わせづらくなるといった悪循環に陥りかねません。この点、リワーク施設に通うことは勤務の予行演習となります。そのため、リワーク施設に欠席の連絡を入れるということは職場復帰後に必要な連絡ができることを目指した訓練になります。どうしても自分で連絡するのが難しい場合は、同居している方など身近な人の力を借りるという方法もあります。また、電話連絡が難しいという方は、日頃からスタッフとメールなど別の連絡方法を相談しておくのもよいでしょう。

「リワーク施設に行きたくない」と思ったときは、その原因を把握し、まずは原因にあった対処法をとっていくことが大切です。こうした少しずつの積み重ねにより、復職の準備を進めていくことができます。リワーク施設での訓練を通じて、自信をもって復職できることを心より願っております。(休職中の過ごし方の相談や施設の見学をご希望の方はコチラから

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【参考文献・参考サイト】

・日本心理教育センター 気分の波 うつと気分障害
・ファイザー株式会社「こころの陽だまり」症状の波を気にしすぎない
・『事例で学ぶ発達障害者のセルフアドボカシー』片岡美華・小島道生 編著 金子書房
・厚生労働省『みんなのメンタルヘルス総合サイト』 適応障害、パニック障害・不安障害
(写真素材:PIXTA・photoAC)