フリーランス・アルバイトの「うつ病」「発達障害」はどう解決する?
正社員と異なる“休職・復職”事情について
働き方が多様化している昨今、従来の「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」とは大きく異なる働き方も増えています。ここ数年で特に増加しているフリーランスは、その例のひとつです。
働き方が多様化する一方で、仕事に関する悩みや負担も多様化しているといえます。それを示すかのように、社会全体に占める精神疾患者数は増加の一途を辿っています。
ここでは、働き方の多様化や精神疾患者数の増加を軸に、フリーランスやアルバイトで生計を立てる方の“休職・復職”事情についてみていきます。
1.社会の変化
1-1.増加する「フリーランス」という働き方
ここ10年で特に急増しているのが、「フリーランス」という働き方です。現在ではクラウドソーシングが活発になっていることもあり、多くの方がより手軽に仕事ができる時代になっています。
フリーランスにはさまざまな種類があり、「副業型のすきまワーカー」と呼ばれる働き方や、「自由業系フリーワーカー」と呼ばれる働き方などがあります。後者は、主にフリーランスを本業として働く労働者を指します。こうした「自由業系フリーワーカー」の数は年々増加し、2019年の調査によれば約320万人といわれています。前年からの増加率は6%ほどで、一年で約20万人も増加しています。
フリーランスは働く時間や場所を自由に選ぶことができるため、会社勤めの場合と比べてストレスが少なく、売上がそのまま自分の収入となるため新しい働き方として選ばれつつあります。もっとも、収入が安定していないといった点や、有給休暇や退職金がないといった点で、会社勤めよりも不安が多いとする見方もあります。また、長期の体調不良の際に休職や復職に関する会社のサポートがないため、フリーランスは自身でこれらを解決することが求められます。
1-2.増加する「精神疾患」
ここ十数年の大きな変化として挙げられるのは、フリーランスの増加だけではありません。下図が示すように、「精神疾患者数の増加」もまた、顕著な変化のひとつといえます。
グラフが示すように、平成14年に約250万人だった精神疾患者数は、15年後の平成29年には約420万人にまで増加しています。気分障害や神経症性障害、ストレス関連障害の分野に絞っても、この15年で1.5倍ほどになっていることが分かります。
働き方が多様化するにつれて、その恩恵を受ける労働者がいる反面、大きな負担を強いられている労働者も増えているといえます。これはフリーランスの方にとっても決して他人事ではなく、それどころか、会社による補償や療養の制度がないために、いっそう注意し、備えることが求められます。
それでは、フリーランスのように企業に属さない方や、一部のアルバイトのように勤務先で休職制度や療養制度が設けられていない方が心身の不調に陥り、業務の遂行が難しくなった場合、どのようにして“休職”や“復職”を進めていけばよいのでしょうか。
2.「就労移行支援」と「自立訓練(生活訓練)」
精神疾患などの障害を抱えている方の就労・復職をサポートする障害福祉サービスのひとつに、「就労移行支援」があります。就労移行支援は障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつで、一般企業への就職や復職を目指す障害のある方(18歳~65歳)を対象に、必要な知識やスキル向上をサポートしています。
なお、就労移行支援サービスは原則として就労していない方が利用の対象となり、収入のあるアルバイトやフリーランスでは、「収入がある」=「就労(または復職)のサポートが必要ない」と判断され、サービスの利用の許可が市区町村から下りないというのが一般的です。(※自治体によっては利用が可能な場合もあります。詳しくは各自治体にお問い合わせください。)
これに対して、もうひとつの障害福祉サービスである自立訓練(生活訓練)支援であれば、アルバイトやフリーランスのように収入がある方でも利用が可能です。
自立訓練(生活訓練)事業所では、主に健康管理や金銭管理、または対人コミュニケーションなどの生活スキルの修得のサポートを行っています。フルタイムで働いている会社員は事業所への通所が現実的ではないことから利用が困難ですが、アルバイトやフリーランスのように勤務時間に融通が利く働き方をしている場合は、仕事と並行して利用が可能です。利用可能時間は事業所によって異なりますが、概ね平日の9時~16時頃に設定されていることが多くなっています。
3.リワーク施設で生活習慣を改善し、仕事に復帰する
フリーランスの方がうつ病などのメンタル不調を患ったことで仕事が困難になった場合、休職制度のある会社員とは異なり休職制度がないため、仕事を休むタイミングや復帰のプロセスに関して一人で抱えてしまいがちです。また、アルバイトのように休職することで収入が途絶えてしまい、継続して在籍することが難しくなるような場合も、勤め先に相談することは困難となります。とはいえ、仕事によって心身に不調をきたした場合には、一定期間にわたって仕事から離れる期間を設けることが大切です。同時に、療養期間中は仕事への復帰を視野に入れて、復職活動に取り組んでいくことも大切です。
数多くある自立訓練(生活訓練)施設の中で、就労ではなく復職に重きを置いている施設があります。それが、自立訓練(生活訓練)事業所が運営する「リワーク施設」です。リワーク施設では、仕事への復帰を目指したさまざまなプログラムを提供しています。
たとえば、自立訓練(生活訓練)型のリワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」では、仕事への復職・復帰を目指す上で効果的な幅広いプログラムを提供しています。
脳と心の健康を維持するためのブレインフィットネスプログラムや運動プログラム、認知行動療法を基にした心理系プログラムやコミュニケーションプログラム、自己管理・セルフケアプログラム、生活管理スキルを身に付けるプログラムなど、さまざまな観点からメンタル不調の改善を図り、仕事への復帰をサポートします。
4.フリーランス・アルバイトでも社会のサポートを受けられる
正社員とは異なり、補償や療養制度のないフリーランスや多くのアルバイトですが、心身の不調が長引き、仕事を行うことが困難になった場合には社会のサポートを受けることが可能です。上述したリワーク施設がまさにそのひとつで、プログラムを通じて復職・復帰を目指します。
フリーランスやアルバイトとして働く上で、心身の健康の維持は特に重要です。健全に働き続けるためには生活習慣を整え、自己管理を入念におこなっていくことが求められます。
ニューロリワークでは、休職期間を充実したものにできるようさまざまなプログラムで仕事への復帰をサポートしています。プログラムの見学も可能ですので、ご興味のある方は是非ご検討ください。プログラムを通じて、健康に仕事に復帰できることを心より願っております。(プログラムの見学希望の方はコチラからお申し込みいただけます)
【参考文献・参考サイト】
・日本のフリーランス人口は増加傾向|今後の展望を解説
・労働力調査(詳細集計)2019 年(令和元年)平均(速報)
・非正規雇用者の正規転換(2020年4月版)
(写真素材:PIXTA・photoAC)
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