リワーク施設(リワークプログラム)を利用する上で知っておきたい「施設の種類」と「選び方」とは?
うつ病などのメンタル不調・精神疾患で業務の遂行が難しくなったときは、すぐに相談することが大切です。とはいえ、医師から診断書は出されたものの、上司や会社に相談することで「昇進や昇給に影響があるかもしれない」「大事なプロジェクトから外されるかもしれない」といった不安や懸念を抱くという方も少なくありません。(関連記事:「うつ病になっても休職しないほうがいい?」休職のメリット・デメリット、対処法を考える)
うつ病などの精神疾患による休職の相談は、いざ社内で上司や人事担当者にするとなると現実的にはいくつものハードルがあって困難かもしれません。一方で、心身の不調を回復させるためには休職したり離職したりと、環境を大きく変えることがきっかけとなることもあります。そのため、今の職場や業務に固執することなく、より幅広い選択肢の中から今後の方向性を模索していくこともまた重要です。しかし、休職の相談のハードルが高いのと同様に、離職や再就職の相談も同様に(もしくはそれ以上に)難しいものといえます。
以下では、休職だけでなく離職や再就職も視野に入れている方に向けて、月曜日から金曜日の朝9時~夕方18時までのいわゆるフルタイムで働いている場合でも活用できる相談窓口について詳しくみていきます。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから)
そもそも「リワーク」とは?
メンタル不調などで休職や離職された方が耳にすることがある「リワーク」とは、もともと「return to work(リターン トゥ ワーク)」を意味する言葉です。主に、主にメンタル不調によって休職中の方が、円滑に職場復帰をするための支援プログラムを指します。また、離職された方が再就職を目指す際にも用いられることがあります。
リワークでは、医療機関や支援機関が運営している施設(事業所)に通所して体力回復や職業能力回復の訓練プログラムを受けながら復職や再就職を目指していきます。また、リワークを行う目的は職場復帰だけでなく、不調の原因と向き合うことで復職後の再休職や精神面の不調の再発を未然に防ぐという点にもあります。
リワークプログラムの効果とは?
メンタル不調で休職や離職をされた方にとって、復職や再就職は大きな壁を感じることがあります。特に長期にわたって仕事を離れていた場合は、「復職・再就職後に周囲の同僚や上司と円滑にコミュニケーションが取れるのか」「再発の恐れはないか」といった不安も尽きません。こうした不安を解消するのが、リワーク施設であり、各種のプログラムです。
リワーク施設を活用することで、復職や再就職を目指すだけでなく、復職・再就職後の安定した就労を目指すことが可能です。リワークを活用して復職・再就職した場合、就労から3年後(1,000日後)の職場への定着率は、リワークを活用していない場合と比べて3倍以上というデータがあります。
【関連記事:休職からの復職が怖い方へ。復帰後の定着率が3.5倍といわれるリワークプログラム】
データによると、リワークプログラムを利用せずに復職した場合の3年後の継続率(定着率)は20%以下であるのに対して、リワークプログラムを利用して復職した場合の継続率(定着率)は70%弱となっています。
こうしたデータから(休職からの復職・再就職を目指すニューロリワークの資料請求はコチラから)、リワークプログラムが復職・再就職後の職場定着率を高めるために効果的であることが分かります。
リワーク施設にはどんな種類がある?
リワーク施設は、施設を運営する機関や企業によって以下の3つに大別することができます。
a.医療機関が運営するリワーク
b.国の公的機関が運営するリワーク
c.民間企業が運営するリワーク
これらのリワーク施設にはそれぞれに特徴があり、どれかが「一番良い」というわけではありません。以下では、各リワーク施設の特徴についてみていきます。
a.医療機関が運営するリワーク施設
医療機関が運営するリワークは、主に精神科で実施されており、医学的なリハビリテーションが特徴です。
医療リワークでは治療が中心となり、医師の見解を基に復職の許可やアドバイスなどが受けやすい点が特徴であるという反面、会社との連携や復職後の職場への定着支援までを行っているところが少ないという特徴もあります。
b.国の公的機関が運営するリワーク施設
国の公的機関が運営するリワークは各都道府県に一ヶ所ほどあり、無料で利用できる点が特徴です。ただし、公務員の方は利用することができないので注意が必要です。
国の公的リワークでは、費用無しで利用できる反面、利用期間が3ヶ月と限られており、各都道府県に1ヶ所ほどしかないために立地の関係で通いにくいことがあります。
c.民間企業が運営するリワーク施設
民間企業が運営するリワークは、障害福祉サービスのひとつとして実施され、セルフケアプログラムをはじめ、対人コミュニケーションの訓練や、パソコンの訓練など事業所によって様々なプログラムがあるのが特徴です。
民間リワークでは、プログラムや訓練方法が豊富である点が魅力である反面、利用の可否については市区町村の障害福祉課の判断が必要になるという特徴があります。
このように、それぞれのリワーク施設に特徴(一長一短)があります。そのため、リワーク選びの際には自身のニーズに合ったものを選ぶことが大切です。自身のニーズがどのようなものなのかが分からない場合や、どのリワークがニーズに合っているかが分からない場合には、各リワーク施設に問い合わせたり、見学が可能であれば見学などを通じて確認するとよいでしょう。
リワーク施設の効果的な選び方とは?
リワーク施設にはさまざまな種類があることから、どのような基準で選べばよいかで迷ってしまうこともあるかもしれません。一般的には、以下の5つの観点から選ぶとよいと考えられています。
1.交通アクセス
2.スタッフとの相性・施設の雰囲気
3.プログラム内容
4.利用料金
5.利用期間と利用開始までの期間
【関連記事:ご存知ですか?「リワーク施設」 復職の成功につながる施設選びの5つのポイント】
上記の5つの観点の中で、事業所の運営元(つまり医療機関か公的機関か民間企業か)によって特に大きく異なるのが、「3.プログラム内容」です。
上述の通り、医療機関のリワークでは認知行動療法など治療の一環として行われるプログラムが多いのが特徴です。一方、公的機関である障害者職業センターでは、体調管理や体力増進、ストレス対処に関するプログラムなどがほぼ一律で提供されています。
これらに対して民間のリワーク施設では、医療機関や公的機関とは異なり施設ごとの特色を活かしたプログラムが幅広く実施されているのが特徴です。言い換えれば、事業所によってプログラム内容に大きな違いがあります。
たとえば、リワーク施設のひとつである自立訓練(生活訓練)事業所「ニューロリワーク」では、脳科学に基づくブレインフィットネスプログラムをはじめ、マインドフルネスやヨガ、運動、セルフケア、コミュニケーション、認知行動療法に基づく独自のプログラムなどを提供しています。これらのプログラムを経て、これまでに500名以上の方が復職・再就職(※初めての就職を含む)を実現し、半年後の職場への定着率は90%を超えています。事業所の見学やプログラムの体験実習が可能であることから、「利用を迷っている」という方はお気軽にご相談ください。
まとめ
リワークプログラムを活用するにあたって大切なことは、復職や再就職を実現するという点だけではありません。職場への復帰後も安定して働くためには、休職期間中に休職の原因や解決策を明確にして、再発防止策を確立しておくことも同じく重要です。
リワーク施設によっては復職後までフォローアップする定着支援や医療機関・企業との連携も行っているので、こうした支援があるかどうかも含めて見学や面談などを通じて疑問点や不安に思う点を解消しておくことが大切です。(リワーク施設のひとつ、ニューロリワークの見学をご希望の方はコチラから)
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA・photoAC)
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