職業準備性とは|言葉の意味や職業準備性を高めるための流れを徹底解説
職業準備性という言葉は知っていますか。これは、社会人が一般的に備えておくべき基本的な資質のことをさしており、障害のある方が就職活動をする前に、自分自身の準備が整っているのか知るための尺度にもなっています。
今回はこの職業準備性について、ご説明します。(職業準備性を基に就労を目指す「ニューロリワーク」の資料請求はコチラから)
1.職業準備性とは
職業準備性とは
職業準備性とは
職業生活を開始するに当たって要件を準備すること。例えば、職業生活をはじめていくのに必要な身体条件、体力、仕事に対する意識、上司や同僚とコミュニケーションをしていくための能力、必要な技術、技能の獲得等
(出典:職業リハビリテーション用語集第2版)
具体的には、職業準備性とは「健康管理」「日常生活管理」「対人スキル」「基本的労働習慣」「職業適性」という5つの資質のことをさし、これらは働き続けるために必要な準備が整っているかを図る指標になります。
この指標は主に障害のある方の就労支援機関で利用されています。職業準備性の指標を使うことで、働いて生活する上での弱点を明確にし、アドバイス、訓練、支援を通し、この職業準備性を高めていくことが期待できるのです。
職業準備性の具体的な内容とは?職業準備性ピラミッドについて
職業準備性には、「健康管理」「日常生活管理」「対人スキル」「基本的労働習慣」「職業適性」という5つの資質があり、これらを階層別に整理したものが職業準備性ピラミッドと呼ばれています。
職業準備性ピラミッドは基礎的な資質から順に積み上がっています。ここでは、ピラミッドを構成する5つの資質について、具体的な内容をご紹介いたします。(生活習慣を改善しながら就労を目指す「ニューロリワーク」の資料請求はコチラから)
①健康管理
「健康管理」は、自身の障害について正しく理解し、働くことの基盤となる体調を日々しっかりと整え維持していくことをさします。
つまり職業準備性ピラミッドでいう「健康管理」とは、単純に規則正しい生活をするのではなく、自身の障害を把握して周囲に配慮を求める力や、病気の予防や早期治療に努めて健康を維持する力が備わっているかということになります。
②日常生活管理
「日常生活管理」とは、規則正しい生活をし、地域社会などのリソースをうまく活用して生活を営むスキルのことをさしています。
例えば、夜遅くまで起きていて朝の決められた時間に起床することができなかったという経験は、誰しも一度はあるかもしれません。ただし、このような状態が継続すると仕事を続けていくことは困難です。
規則正しい生活は仕事を継続していく上で、必要となる力なのです。また、生活していく上では、家族だけではなく地域のサービスなどを活用することで、生活が楽になるということもあります。
このように「日常生活管理」では規則正しい生活に加え、自立して生活するために地域サービスを上手に活用する資質も含まれています。
③対人スキル
仕事をしていく上では、職場での対人関係が非常に重要となります。さまざまな人がいるなかでは、もちろん、性格の合う人、合わない人がいるでしょう。仕事をするうえでは、どんな人とも円滑な人間関係を構築していくスキルが必要となります。
また、障害を抱えている場合、自分の障害についての説明やサポートの依頼、環境の調整等について求めなければならないことが少なからずあります。自分のことをお互いが不快になることなく、意思疎通を図ることができるようなコミュニケーション能力が必要となってきます。
④基本的労働習慣
仕事をするためには、専門的なスキルの前に基本的な労働習慣を身につける必要があります。
「基礎的労働習慣」とは、挨拶などの社会人としての基礎的なビジネスマナー、報告・連絡・相談の習慣付け、社会や組織で守るべきルールの遵守などのことをさしています。
⑤職業適性
「職業適性」とは、仕事をしていく上で必要となる適性です。「職業適性」は、企業や仕事内容によって異なる場合も多く、事前に準備することは難しいスキルです。主に以下のスキルが一般的に必要なスキルであると考えられています。
・作業能力の自覚(適性・量)
・作業速度
・効率の向上
・指示理解
・作業の正確性
・作業環境の変化への対応出典:発達障がい者の就労支援 ~ JST(ジョブ・スキル・トレーニング)の実践を通じて ~
職業準備性はどんな項目で表されるの?職業準備性チェックリスト
自身の職業準備性について、何が不足しているのかを確認する手がかりとして職業準備性のピラミッドがあります。ここでは具体的に、職業準備性のチェックリストとは何か、障害者就業総合センターの『就労支援のための訓練生用チェックリスト』を見てみましょう。
障害者就業総合センターの『就労支援のための訓練生用チェックリスト』では、Ⅰ.日常生活、Ⅱ.対人関係、Ⅲ.作業力、Ⅳ.作業への態度という5つのカテゴリについて、28の質問が用意されています。
例えば、日常生活というカテゴリーには”生活のリズム”といった項目があり、”起床、食事、睡眠などの生活リズムは正しいか”といったチェック項目があります。
このチェック項目に対して、できる、だいたいできる、あまりできない、できないといった評価をつけていきます。これにより、就労に向けて解決すべき課題が明確になり、適切な支援を受けることができます。
2.職業準備性の向上
職業準備性を向上させるには
職業準備性には、自立して日常生活を営む力から職場で働き続ける力まで幅広い資質が求められます。これらの資質を向上させるためには、職業支援だけではなく、家庭や医療、福祉などの支援も必要となるでしょう。
障害者就労移行支援事業所のような長期間の支援計画を提供する機関では、健康的な生活習慣づくりや、社会人として必要な体力作りから基礎的な業務遂行能力や職業スキルの獲得まで総合的な支援を受けることもできます。職業準備性の向上にはこのような支援機関の利用も検討するとよいでしょう。
職業準備性の向上には、支援機関も利用しよう
職業準備性を高めるためには、自身に不足する職業準備性を把握し、職業準備性の向上に取り組む必要があります。しかし、一人で客観的に自身の弱みを把握さることは非常に困難です。そこで、これらをサポートする役割を担っているのが障害者就労移行支援事業所です。
障害者就労移行支援事業所に通所すると、仕事の情報を得て仕事に対するイメージを掴むことや、実際に同じような障害をかかえる人がどのように働いているのかといった情報を得ることもでき、これらは職業準備性を高める助けとなります。
ただし、本人が納得できないまま職業準備性を高める取り組みを行ったとしても、高い効果は得られないでしょう。障害者就労移行支援事業所を選ぶ際には、自身が納得できる説明が得られるか、また職員が信頼できるかといった点も考慮することをおすすめいたします。
例えば、ニューロリワークでは、職業準備性ピラミッドの「健康管理」「日常生活管理」の部分では、安定した就労や社会生活を送るために、生活習慣の構築・改善を行っていく「ブレインフィットネスプログラム」、就労を開始した後も安定して働き続けられる状態を実現する訓練システム「塾制度」などのオリジナル支援サービスを提供しています。
また、就職活動のサポート、就職後の定着支援など、長く健康的に働き続けられる支援を経験豊富なスタッフが行っていますので、納得感をもって職業準備性を高めていっていただけるでしょう。
就労移行支援事業所の詳しい説明については、就労支援(就労移行支援)とはのページをご覧ください。
3.まとめ
就職活動を前に、本当に仕事に復帰できるのかと心配されている方もいるでしょう。そのような方はまず、ご自身の職業準備性で不足している点があるかチェックするとよいでしょう。
また、職業準備性のチェックや向上には第三者のサポートが効果的です。まずは、一人で悩まずに障害者就労移行支援事業所などの専門機関に相談してみるとよいでしょう。(「就労移行支援事業所・自立訓練(生活訓練)事業所」への相談や見学をご希望の方はコチラから)
【参考文献・参考サイト】
http://www.rehab.go.jp/ddis_pdf/192d.pdf
https://neuroworks.jp/service/transition/
http://www.rehab.go.jp/beppu/book/pdf/livinghome_no21.pdf
https://www.sfj-osaka.net/wp-content/uploads/2017/09/af4b4c57e084e2836814cf57ba3c5bf1.pdf
http://www.nivr.jeed.or.jp/download/kyouzai/kyouzai30_01.pdf
http://www.rehab.go.jp/
(写真素材:PIXTA、photoAC)
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