休職延長に診断書は必要?医師への伝え方と申請の流れを解説
休職期間が満了に近づいたとき、「延長したいけれど診断書は必要?」「会社にはどう伝えればいいの?」と迷う方は少なくありません。休職延長には、会社の規定や医師の診断書が重要な役割を果たします。
この記事では、延長の判断に役立つチェックリストや、申請の流れ、診断書の依頼方法をわかりやすく解説します。適切な手続きを踏んで、安心して療養に専念しましょう。
休職延長か復職か?判断に迷ったときの5つのチェックリスト

休職期間が終わりに近づくと「復職できるか」「延長すべきか」と迷うのは自然なことです。経済的な焦りや周囲への気兼ねから無理に復職を急ぐと、症状が再燃するリスクがあります。
自身の状態を客観的に見つめるため、以下の5つを確認しましょう。
- 規則正しい生活(起床・就寝・食事)を送れているか
- 精神的に安定した状態が続いているか
- 復職後の勤務に耐えうる集中力や体力が回復しているか
- 日中の活動量(外出など)は十分か
- 主治医や家族など第三者から見ても回復しているように見えるか
復職後は決まった時間に起きて職場へ通う必要があるため、昼夜逆転や起床時間が不安定な場合は生活リズムを整えることが先決です。また、適応障害からの回復には波があり、些細な出来事で落ち込む状態ではまだ十分とはいえません。集中力や判断力も重要で、物忘れが多い、考えがまとまらないといった症状が残る場合は注意が必要になります。
休職中は活動量が減り体力が落ちるため、通勤や勤務に耐える体力の回復も確認しましょう。最後に、自分では回復したと感じても周囲から見ると調子が悪そうに見える場合があるため、主治医や家族の意見も聞くことが大切です。
【3ステップ】休職延長の申請の流れ|診断書は必要?

休職延長を申請する際には、適切な手順を踏むことでスムーズに手続きを進めることができます。診断書の取得や会社への申し出など、どのタイミングで何をすべきかを理解しておくことが大切です。
ここでは、休職延長の申請を3つのステップに分けて解説していきます。
Step1:会社の就業規則で延長の可否と期間を確認する
休職延長の手続きを始める前に、まず自社の就業規則を確認することが第一歩となります。休職制度は法律で定められたものではなく、企業が独自に設けているルールです。
そのため、休職期間の上限や延長の可否は会社によって異なります。たとえば、病気やケガを理由とする休職の場合、勤続年数に応じて休職期間に差を設けている企業もあります。
就業規則で定められた上限期間を超えての延長は原則として認められないため、自分の残りの休職可能期間を事前に把握しておくことが重要です。なお、会社が個別に判断して特例措置を取る場合もあります。詳細については、人事部や総務部に問い合わせて現在の状況などを確認しておきましょう。
Step2:主治医に相談し診断書を依頼する
会社のルールを確認した後は、主治医に現在の心身の状態を伝え、休職延長を希望する旨を相談します。医師に現状を的確に理解してもらうため、先ほどのチェックリストを参考に「まだ復職は難しい」と考える具体的な理由を整理しておきましょう。
たとえば、「夜間の睡眠は6時間程度とれているが、日中の眠気が強い」「家族との会話は問題ないが、他人との交流は緊張が強い」といった具体的な状況を伝えることで、より適切な診断書の作成につながります。診断書の作成には即日発行の場合もあれば、数日~1週間程度かかることもあります。
特に会社独自の書式が必要な場合は時間がかかるため、休職期間が満了する前に余裕を持って依頼しましょう。
Step3:上司や人事部へ延長を申し出る
診断書を取得した後は、会社の直属の上司や人事担当者へ正式に休職延長を申し出ます。伝え方に不安がある場合は、電話やメールで「主治医の診断により、○月○日まで休職延長が必要と判断されました。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、療養に専念させていただきたく存じます」といった形で、診断書に基づく客観的な事実を伝えましょう。
感謝の気持ちと誠意を添えつつ、療養に専念したいという前向きな姿勢を示すことが大切です。申し出の後、会社によっては産業医との面談が設定される場合もあります。面談では現在の状況や復職に向けた見通しについて相談することになるため、主治医の診断内容を正確に伝えられるよう準備しておきましょう。
参考:厚生労働省|就業規則作成・見直しのポイント、心の健康問題により 休業した労働者の職場復帰支援の手引き、モデル就業規則
休職延長が認められないときの対処法

休職延長を申し出たものの、会社の就業規則の上限に達しているなどの理由で延長が認められないケースもあります。そのような場合でも、選択肢がまったくないわけではありません。
以下では、休職延長が難しいときに検討できる2つの対処法について解説していきます。
段階的な復職プランを会社に提案する
フルタイムでの復職が難しい状態であっても、段階的に勤務時間や業務内容を調整する「リハビリ出勤」から始められないか会社に相談してみましょう。
たとえば、最初の2週間は午前中のみの勤務とし、その後徐々に勤務時間を延長していく方法が効果的な場合があります。主治医の診断書を基に、具体的な復職プランを提案することで、会社側も柔軟な対応を検討しやすくなります。
会社には従業員の安全に配慮する義務があるため、主治医や産業医の意見を踏まえた提案であれば、配置転換や業務量の調整といった対応を受けられる可能性があるでしょう。
退職や転職を検討する
休職期間満了までに復職が困難で、延長も認められない場合は、就業規則に基づき「自然退職」扱いとなるケースもあります。取扱いは企業によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
無理に復職して症状が再発するリスクを考えれば、一度退職して治療に専念し、回復後に新たな環境で再就職を目指すことも有力な選択肢となります。
特に、強いストレスを受けた環境と同じ職場に戻ることで再発のリスクが高まる場合や、配置転換などの環境調整が難しい場合は、今後の働き方について主治医や家族、会社とよく相談し、必要に応じて転職や再就職を含めた選択肢を検討しましょう。
退職後の生活を支える制度としては、傷病手当金は一定の条件を満たせば退職後も引き続き受給できるほか、再就職を支援する就労移行支援やハローワークのサービスなども利用できます。
適切な手続きで療養に専念し、ニューロリワークで復職準備を
休職期間の延長は、単なる休養の延長ではなく、再発を防いで万全の状態で復職するための重要な期間となります。本記事で解説した流れに沿って診断書を取得し、主治医や会社と適切に連携することが、安心して療養に専念するためのカギです。
延長した休職期間を有効活用して具体的な復職準備を進める場のひとつとして、就労移行支援事業所/自立訓練(生活訓練)事業所であるニューロリワークの復職支援(リワーク)があります。専門スタッフによる個別サポートを受けながら、休職原因の分析や再発防止策の立案、仕事に必要なスキルの回復、健康管理方法の習得などに取り組むことができます。長く安心して働き続けられる力を身に付けるため、まずは見学や相談からはじめてみてください。
監修者
山下 真由美
特定社会保険労務士、行政書士
東京都港区で行政書士及び社会保険労務士事務所を開業し、労働社会保険の手続きや労務相談はもちろん、外国人の在留資格に関する手続きから労務管理までトータルで承ることが可能です。そのほかにも、著作権不明者の作品を利用するための裁定申請や相続・遺言を取り扱っています。頼れる街の法律家として、ご相談いただいた一つ一つの事件に丁寧に向き合い、お役に立てるよう精一杯のお手伝いをさせていただいています。
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