復職後の人間関係を改善するには?気まずさを解消するコミュニケーション術と心構え
復職後、「周囲とどう接すればいいのかわからない」「気まずさが残っている気がする」と、人間関係に悩む方は少なくありません。休職期間があったことで距離を感じたり、以前と同じように振る舞えない自身に戸惑ったりすることもあります。
この記事では、復職後に人間関係がぎくしゃくしやすい理由を整理した上で、気まずさを和らげ、少しずつ信頼関係を取り戻していくための具体的な改善方法と心構えをわかりやすく解説します。
復職後に気まずさや孤立感を感じる原因と心理

復職後、職場で感じる気まずさや孤立感には、いくつかの共通した心理的要因があります。休職中に同僚へ負担をかけたという罪悪感、復帰後のコミュニケーション不足、そして業務への不安や焦りなどが複雑に絡み合い、人間関係の再構築を難しくしているのです。
以下では、こうした気まずさの背景にある心理を理解することから始めます。
関連記事:「復職が気まずい」「周りの目が気になる」方にみてほしい、休職・復職との向き合い方
「迷惑をかけた」という罪悪感と周囲の目
休職中に同僚へ負担をかけてしまったという罪悪感から、周囲の目が気になり、自身から壁を作ってしまうケースは少なくありません。「また休むのではないか」と思われているのではないかという周囲の反応を悪く解釈してしまう思考が頭をよぎり、孤立感を深める要因になります。
こうした思考は認知の歪みの一つであり、実際には周囲も「どう接していいか分からない」と戸惑っているだけで、悪意があるわけではないケースが多いのです。罪悪感に囚われすぎると、必要以上に萎縮してしまい、本来の自分らしさを発揮できなくなってしまいます。まずは相手の戸惑いにも目を向け、お互いに歩み寄るための第一歩を踏み出すことが大切です。
関連記事:復職で職場に迷惑をかけるかも…不安を解消するための心構えと対策
コミュニケーション不足によるすれ違い
復職直後は緊張や不安から、自身から話しかけることが難しく、受け身の姿勢になりがちです。一方で周囲も気を遣って声をかけづらい状況が重なると、会話が減り、人間関係の希薄化や誤解が生じやすくなります。こうしたすれ違いを防ぐためには、挨拶や些細な雑談などの小さなコミュニケーションの積み重ねが不可欠です。
ただし、雑談が負担に感じられる場合は、無理に会話を広げる必要はありません。まずは「業務上の短いやり取り(確認・お礼・報告)」といった実務的なコミュニケーションからでも十分です。短いやり取りでも、信頼関係は少しずつ再構築されていきます。焦らず、できる範囲から関係を温め直していく姿勢が求められます。
復職後の業務に対する不安と焦り
以前のように働けるかという不安や、遅れを取り戻さなければという焦りが、周囲との比較や劣等感を生むことがあります。何事も高い水準でこなそうとして自身を追い込むと、余裕のなさが表情や態度に現れ、周囲との関係構築を難しくする要因になりかねません。
復職直後は、成果を急いで求めるよりも、まずは安定して通い続けられる状態を確保することが最優先です。業務に慣れること自体が大きな負担になる時期ですから、「7割の力で十分」と考え、焦らず徐々に慣れていくことが大切です。
心に余裕を持つことで自然な笑顔やコミュニケーションが生まれ、結果的に良好な人間関係にもつながっていきます。自身のペースを守りながら、少しずつできることを増やしていけば、周囲からの信頼も自然と回復へ向かっていきます。
復職後の人間関係を改善するための具体的な行動

気まずさの原因を理解したら、次は具体的な行動を起こすことが大切です。人間関係の改善は一朝一夕にはいきませんが、感謝の気持ちを伝える、自身からコミュニケーションを取る、業務を通じて信頼を回復するといった小さな一歩を踏み出すことで、関係は少しずつ改善していきます。
感謝と前向きな気持ちを伝える
復職初日や挨拶の場面では、「迷惑をかけたことへの謝罪」だけでなく、「復職できたことへの感謝」と「これから頑張りたいという意欲」を伝えることが大切です。「ありがとうございます」「助かります」といったポジティブな言葉を意識的に使うことで、職場の空気が和らぎ、受け入れられやすくなります。
病状そのものを詳しく説明する必要はなく、率直な感謝の気持ちを伝えるだけで十分です。ただし、業務上の配慮が必要な場合には、無理のない働き方を続けるためにも、「配慮してほしい点」を必要最小限の範囲で共有しておくと安心です。前向きな姿勢と適切な情報共有を心がけることで、周囲も状況を理解しやすくなり、自然とサポートしてくれる雰囲気が生まれていきます。謝罪に偏りすぎず、感謝と意欲をバランスよく伝えることを心がけると、復職後のスタートがスムーズになるはずです。
自身から少しずつコミュニケーションを取る
待っているだけでなく、自身から挨拶をしたり、簡単な質問をしたりする勇気を持つことが、孤立を防ぐ第一歩です。無理に明るく振る舞う必要はなく、誠実な態度で接することが信頼回復につながります。休憩時間などの非公式な場での会話も、関係改善のきっかけになります。
たとえば、昼食時に同僚と軽い雑談をしたり、お茶を入れる際に声をかけたりするだけでも、距離は縮まっていきます。相手の反応を見ながら、少しずつコミュニケーションの機会を増やしていくことで、自然な関係が築かれていくはずです。焦らず、自身のペースで関わりを深めていくことが何より大切です。
業務を通じて信頼を回復していく
焦らず着実に業務をこなしていく姿を見せることが、周囲への安心感を与え、信頼回復につながります。報連相(報告・連絡・相談)を徹底し、自身の状況や進捗を共有することで、周囲との連携がスムーズになります。
「できること」と「できないこと」を明確にし、無理な依頼は断る勇気を持つことも、長期的な信頼関係には必要です。背伸びをして引き受けた結果、再び体調を崩してしまっては元も子もありません。
自身のペースを守りながら確実に成果を積み重ねることで、周囲からの信頼は着実に回復していきます。焦りは禁物ですが、一つひとつの業務に丁寧に取り組む姿勢が評価されていくはずです。
どうしてもつらいときの対処法と選択肢

様々な努力をしても人間関係が改善しない場合や、どうしてもつらいと感じるときには、無理をせず別の選択肢を考えることも大切です。
一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談したり、環境そのものを変える決断をしたりすることで、新しい道が開けることもあります。
信頼できる相手や専門家に相談する
職場の人間関係がつらいときは、一人で抱え込まず、主治医や産業医、カウンセラー、信頼できる家族や友人に相談するのがおすすめです。第三者の視点を入れることで、状況を客観的に捉え直し、解決策が見つかる場合があります。リワーク施設などを利用し、同じ悩みを持つ仲間と交流することで、孤独感が解消されるメリットもあります。
自分自身一人では気付かなかった視点や対処法を得られることも多く、心の負担が軽くなるはずです。つらさを言葉にして誰かに伝えるだけでも、気持ちの整理につながり、前向きな一歩を踏み出すきっかけになります。相談することは決して恥ずかしいことではなく、むしろ自身を大切にする行動といえます。
配置転換や環境調整を希望する
人間関係がストレスの主因である場合、元の部署に戻ることが難しいなら、配置転換(異動)を希望することも一つの選択肢です。主治医の意見書などを添えて、人事や上司に相談することで、環境調整の検討がスムーズに進む場合があります。無理に同じ環境に留まることで再発するリスクを避けるため、勇気を持って環境を変える決断も大切です。
職場を変えることは逃げではなく、自身の健康を守るための前向きな選択といえます。新しい環境で心機一転、良好な人間関係を築いていくことができるかもしれません。配置転換が難しい場合でも、勤務時間の調整や業務内容の見直しなど、できる範囲での環境改善を相談してみる価値はあるはずです。
復職後の人間関係構築をサポートする「ニューロリワーク」
「ニューロリワーク」では、復職後の人間関係やコミュニケーションに不安がある方に向けて、様々な支援を行っています。コミュニケーションプログラムやSST(ソーシャルスキルトレーニング)を通じて、対人スキルを実践的に学ぶことができるため、職場での関係構築に自信を持って臨めるようになります。
また、復職後の職場での定着支援も行っており、職場での悩みやトラブルに対して継続的なサポートが可能です。お一人おひとりの状況に合わせたきめ細やかな支援を提供していますので、復職に向けた準備や人間関係の不安を解消したい方は、まずはお気軽にご相談ください。
監修者
藤本 志乃
公認心理師、臨床心理士
早稲田大学人間科学部健康福祉学科、同大学院人間科学研究科卒業後、荒川区教育センター、東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科にて心理士として勤務。
その後、日本赤十字社医療センター腎臓内科心理判定士を経て、2020年にオンラインで心サービスを提供するLe:self(リセルフ)を創業。
企業でのメンタルヘルス研修など予防的な心のケアに関する講演、コンテンツ作成などにも多く携わる。
著書にあふれる「しんどい」をうけとめる こころのティーカップの取り扱い方。
ホームページ:https://leself.jp/
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