パニック障害でお悩みの方の復職支援とステップ!休職中の過ごし方も
突然の動悸や息苦しさに襲われるパニック障害は、仕事を続けることが難しくなるケースも少なくありません。休職を検討している方や、すでに休職中で復職への不安を抱えている方も多いかもしれません。
本記事では、休職すべきかどうかの判断基準から、復職までの段階的なステップ、休職中の過ごし方、利用できる支援制度、そして再発を防ぐための働き方まで、パニック障害からの復職に必要な情報を解説します。
パニック障害で仕事を休職すべきか悩んだときの判断基準

パニック障害の症状が続くなか、仕事を休職すべきかどうか迷う方は少なくありません。体調が悪い状態で無理に働き続けると、症状が悪化してうつ病などを併発するリスクが高まるため、早めに適切な判断を行うことが大切です。休職を決める際は、医師の診断や職場の就業規則を確認しながら、自身の状況に合った選択をする必要があります。
以下では、休職を判断する際に押さえておきたいポイントについて解説します
無理して働き続けるリスクと休養の重要性
体調が優れない状態で無理に仕事を続けると、パニック障害の症状が悪化する可能性があります。症状がさらに進行すると、うつ病などの二次障害を併発するリスクも高まり、結果的に長期間の休職を余儀なくされるケースも見られます。
仕事のパフォーマンスが低下することで自信を失い、精神的な負担がさらに増すという悪循環に陥る場合もあるため、早い段階で休養を取ることが重要です。一度職場を離れて心身を落ち着け、治療に専念する時間を設けることで、精神的な安定を取り戻しやすくなります。
休職は決して「逃げること」ではなく、長く働き続けるための選択肢のひとつです。症状が軽いうちに休養を取り、回復してから職場に戻ることで、キャリアへの影響を抑えやすくなります。自身の健康を最優先に考え、必要に応じて休職を検討することが大切です。
医師の診断と職場環境を考慮した決断
休職の判断は自身だけで行わず、専門家である医師の診断やアドバイスに基づいて進めることが大切です。パニック障害の症状や治療の見通しについて主治医と相談し、現時点で休職が必要かどうかを客観的な視点から確認することで、適切なタイミングで休養を取れます。
職場の環境面も考慮に入れる必要があります。休職制度の有無や利用条件は企業によって就業規則が異なるため、人事部などの担当窓口に事前に確認しておくと安心です。上司や人事担当者がパニック障害に対してどの程度理解があるかによって、休職後の対応やサポートも変わってきます。
診断書を取得して職場に病状を正確に伝えることで、休職手続きがスムーズに進み、必要な配慮も得やすくなります。また、休職中に退職などの重要な決断を急いで行うのではなく、まずは自身のケアを優先し、回復してから今後の働き方を考えることが望ましいです。
一般的な休職期間の目安と個人差
パニック障害での休職期間は、一般的に3ヶ月~6ヶ月程度が目安とされていますが、これにとらわれる必要はありません。症状の重さや治療の進み具合、職場環境や本人の性格など様々な要因が影響するため、数週間で復帰できる場合もあれば、1年以上を要するケースもあります。復職までの期間には、大きな個人差があることを理解しておくことが大切です。
休職期間について「決められた期間が過ぎたから」という理由で復帰を判断すると、体調が十分に整わないまま職場に戻ることになり、再発のリスクが高まるおそれがあります。復職のタイミングは期間ではなく、「働ける状態まで回復したかどうか」で判断することが重要です。主治医と相談しながら、自身の状態を客観的に見極めて復職時期を決めることが、安定した職場復帰につながります。
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パニック障害で休職。復職までの道のりと段階的な進め方

パニック障害による休職から復職を目指す際は、焦らず段階的に進めることが大切です。休職中の過ごし方は大きく「休息期」「回復期」「準備期(調整期)」の3つに分けられ、それぞれの時期に応じた適切な過ごし方があります。自身の状態に合わせて無理のないペースで取り組むことで、安定した復職につなげられます。
| 段階 | 概要 |
| 1. 休息期 | 治療と休養に専念する時期 |
| 2. 回復期 | 生活リズムを整え、活動範囲を広げる時期 |
| 3. 準備期(調整期) | リワークなどを活用し、復職に向けた具体的な訓練を行う時期 |
➀治療に専念して心身を休める休息期
休職直後の休息期は、心身を休めることが最優先となる時期です。仕事のことや将来の不安は一旦棚上げし、十分な休息、睡眠を取りながらゆっくりと過ごすことが回復への第一歩となります。
この時期は「職場に迷惑をかけている」と罪悪感を抱きやすい傾向がありますが、休養を取ることに対して後ろめたさを感じる必要はありません。好きな音楽を聴いたり、読書や映画を楽しんだりと、リラックスできる時間を過ごすことが回復の近道です。
治療面では、主治医の指示に従い、薬物療法や認知行動療法などを視野に入れることも大切です。通院はできるだけ継続し、服薬についても自己判断で中断せず、主治医と相談しながら進めることが大切です。
➁生活リズムを整えて活動量を増やす回復期
症状が落ち着いてきた回復期は、乱れがちな生活リズムを整える時期です。起床・就寝の時間を一定にし、食事も規則正しく取ることで、身体のリズムを徐々に安定させていきます。
低下した体力を回復させるために、散歩やストレッチなど軽い運動を取り入れることも大切です。運動は午前中が望ましいといわれることも多くありますが、午後からでも問題ありません。体調が優れないときは無理をせずに休み、自身のペースで少しずつ活動量を増やしていくことが回復につながります。
外出に不安がある場合は、まず自宅周辺の散歩など近い範囲から始め、徐々に行動範囲を広げるスモールステップが効果的です。焦って無理をすると回復が遅れる可能性があるため、主治医と相談しながら進めることが大切です。
➂リワークなどを活用して準備する調整期
復職が視野に入ってきた調整期は、実際の勤務を想定した活動を行う時期です。仕事と同じ時間帯に起床し、午前中から図書館やカフェなど静かな場所で過ごす練習を始めます。週2回程度からスタートし、少しずつ頻度を増やして週5回の外出を目指すのがポイントです。
この時期には、リワーク(復職支援プログラム)の活用が効果的です。決まった時間に通所することで生活リズムが安定するだけでなく、集団プログラムを通じてストレス対処法や対人スキルも身に付けられます。
復職のタイミングは、主治医や職場の担当者と十分に相談しながら決めることが大切です。時短勤務や試し出勤などの制度を活用し、段階的に職場復帰を進めていくことで、無理のない形で仕事に戻る一歩となります。
パニック障害の休職期間中における過ごし方のポイント

パニック障害で休職している期間は、心身をしっかりと休めることが最優先です。「早く復職しなければ」と焦ってしまうと、かえって症状が悪化する場合もあるため、自身のペースで回復に取り組むことが大切です。休職中は睡眠や食事といった基本的な生活習慣を整え、体調に合わせて少しずつ活動量を増やしていくことで、復職に向けた土台を築くことができます。
焦らずに睡眠と食事を整えること
十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスの取れた食事を摂ることは、精神的な安定と体力回復の土台となります。起床・就寝の時間を一定にして体内のリズムを整えると、自律神経も安定しやすくなり、良質な睡眠につながります。
食事面では、糖質や脂質の摂りすぎに注意し、偏りのない食生活を心がけることが大切です。様々な栄養素をバランスよく摂取することで、心身の回復を後押しできます。朝起きたら日光を浴びる習慣を付けると体内時計が整い、夜の睡眠の質も向上しやすくなります。
体調に合わせて少しずつ運動を取り入れること
体調が良い日には、散歩やストレッチなど軽い運動を取り入れることで、気分転換につながります。運動によって睡眠の質が向上する効果も期待できるため、回復を後押しする手段として取り入れるケースも多くみられます。
ハードな運動は必要なく、心地よいと感じる程度の活動を続けることが大切です。体調が優れないときは無理をせず休み、自身のペースで少しずつ活動量を増やしていきます。運動する時間帯は午前中が理想的ですが、午後でも問題ありません。こうした運動習慣を身に付けることは、復職後に必要な体力を養うためにも役立ちます。
復職を見据えて通勤や業務のシミュレーションを行うこと
復職が近付いてきた段階では、実際の勤務を想定した訓練を行うことが効果的です。出社時間に合わせて起床し、電車やバスに乗って職場の近くまで行く「通勤訓練」を実施することで、復帰への準備が整います。
カフェや図書館など静かな場所で読書やパソコン作業を行い、一定時間座って過ごすことに身体を慣らす方法も効果が期待できます。週2回程度から始め、徐々に頻度を増やしていくことが大切です。
予期不安や広場恐怖がある場合は、対処法を確認しながら少しずつ負荷を上げていきます。まずは自宅周辺の外出から始め、段階的に行動範囲を広げていくのが理想です。
安心して復職するために利用できる支援制度と施設

パニック障害で休職を検討する際、収入や医療費に対する不安から踏み出せないという方も少なくありません。しかし、休職中の生活を支える経済的な制度や、医療費の負担を軽減する仕組み、復職に向けた専門的なサポートを提供する施設など、活用できる支援は複数あります。これらの制度や施設を知っておくことで、安心して治療と復職準備に専念できる環境を整えられます。
以下では、代表的な支援制度と施設についてご紹介します。
経済的な不安を軽減する傷病手当金などの制度
傷病手当金は、病気やけがで働けなくなった際に生活を支える制度です。健康保険の被保険者であれば、休職後4日目以降から通算で最長1年6ヶ月間、給与の約3分の2が支給されます。休職中の生活費を補填できるため、治療に専念するための大きな支えとなります。
また、精神障害者保健福祉手帳を取得すると、所得税や住民税の控除、公共料金の割引といった支援を受けられます。障害者雇用枠での就労も可能になるため、復職後の選択肢が広がる点もメリットです。これらの制度は申請が必要となるため、窓口や必要書類について事前に確認しておくことが大切です。
参考:
全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
こころの情報サイト|障害者手帳・障害年金
医療費の負担を抑える自立支援医療制度
自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患の治療にかかる医療費の自己負担を原則1割に軽減できる制度です。パニック障害など継続的な通院治療が必要な方を対象としており、外来治療や投薬、デイケアなどの費用が軽減の対象となります。
世帯の所得に応じて月額の負担上限額が設定されているため、過度な経済的負担がかからない仕組みになっています。申請には主治医の診断書や住民票などの書類が必要で、市区町村の担当窓口で手続きを行います。
専門的なプログラムを受けられる就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害のある方の一般企業への就職や復職をサポートする通所型の福祉サービスです。「障害者総合支援法」に基づいて運営されており、事業所に通いながら就職に必要な知識や技術を身に付けられます。
支援内容は幅広く、生活リズムの改善やストレス対処法の習得、職場見学・実習、就職活動のサポートなどが含まれます。就職後の定着支援を行う事業所もあり、長期的なフォローを受けられる点が特徴です。
休職中の方でも、お住まいの自治体の判断により復職支援が必要と認められた場合に利用できるケースがあります。そのため、事前に自治体の福祉窓口や事業所に相談することが大切です。
仕事復帰後に再発を防ぐための働き方と対策

パニック障害は再発しやすい特性があるため、復職後も油断せず、自身の状態に合った働き方を続けることが大切です。症状が落ち着いたからといって無理をすると、再び体調を崩してしまうケースも少なくありません。
長く安定して働き続けるためには、自身のストレスサインを把握し、職場と連携して働きやすい環境を整え、必要に応じて外部の支援を活用することが重要です。
自身のストレスサインと対処法を把握する
再発を防ぐためには、自身のパニック障害の特性を理解しておくことが重要です。動悸や不安感の高まりなど、発作の予兆やストレスが溜まったときに現れるサインを把握しておくと、早めに対処できます。
発作が起きそうになったときの対処法もあらかじめ決めておくと安心です。深呼吸をする、席を外して休憩を取る、リラックスできる香りをかぐなど、自身に合った方法を見つけておくと、不安を感じにくくなる場合があります。
治療面では、自己判断で通院や服薬を中断しないことが大切です。症状が安定しているときでも、主治医と相談しながら治療を継続することが再発防止のカギとなります。
職場と連携して無理のない業務環境を整える
復職にあたっては、職場と相談して働きやすい環境を整えていきます。産業医や上司に状況を伝え、時短勤務や業務内容の変更、配置転換などの配慮を依頼することで、無理なく仕事に戻りやすくなります。
通勤面での配慮を求めることも大切です。満員電車を避けるための時差出勤や、体調が悪くなったときに休める場所の確保など、具体的な環境調整を行うことで安心感が高まります。テレワークが可能な職場であれば、活用を検討するのもひとつの方法です。
困ったときに相談できる相手を確保しておくことも重要です。上司や同僚、産業医など、何かあった際に頼れる人がいると、心理的な負担を軽減できます。
定着支援を活用して長期的な安定を目指す
復職後も長く安定して働き続けるためには、定着支援の活用も選択肢のひとつです。就労移行支援事業所などが提供する定着支援を利用すると、復職後も定期的な面談を受けられ、企業との調整サポートも得られます。
働き始めてから出てくる悩みや不安は、早めに専門家へ相談することで解決しやすくなります。一人で抱え込んでしまうと問題が大きくなり、離職につながるケースもあるため、外部のサポートを継続的に活用することが大切です。
定着支援では、職場での困りごとや人間関係の悩みなども相談できるため、精神的な負担を軽減しながら働けます。自身だけで頑張ろうとせず、周囲の力を借りながら安定した就労を目指すことも大切なポイントです。
ニューロリワークの復職支援(リワーク)で目指す安心の社会復帰
「ニューロリワーク」では、パニック障害をはじめとする様々な精神疾患やメンタル不調で休職中の方に向けた復職支援(リワーク)を行っています。脳科学者や精神科医、公認心理師などの監修のもとで開発されたブレインフィットネスプログラムをはじめ、生活習慣の改善やストレスケア、再発防止策の構築などを通じて、復職に必要な土台づくりを進めていきます。
専門スタッフが一人ひとりの状況に合わせた個別支援計画を作成し、休職の原因分析から復職後に必要なスキルの回復まで、寄り添って対応しています。無理のないペースで復職準備を進められる環境を整えているため、復職でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
監修者
坂本 里江子
精神科専門医 医学博士
青山すみれクリニック院長
表参道にて、女性のライフスタイルに応じたメンタル不調を専門としたクリニックを開設。心理カウンセリングやアロマセラピーを活用したサロン「アロマメンタル研究所SUZURAN」も併設し、メンタルウェルビーングを実践中。
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