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保健師監修 うつ病 運動

運動によるリワークへの効果とは?うつ病改善やメンタルへの影響を解説

運動には、セロトニンやエンドルフィンといった脳内物質の分泌を促し、精神面の安定や睡眠の質の向上をもたらす効果があるとされています。また、うつ病の改善・予防においても、身体活動の重要性が注目されています。一方で、休職期間が長引くと基礎体力が低下しやすく、復職後に安定して働き続けるためには体力の回復が欠かせません。

この記事では、運動が心身にもたらす効果と、リワークプログラムを活用した復職準備のポイントについて解説します。

参考:Md Najmul Hossain et al: The impact of exercise on depression: how moving makes your brain and body feel better. Phys Act Nutr. 2024 Jun 30;28(2):43–51.

運動が心にもたらす効果と精神面へのメリット

運動が心にもたらす効果

運動が心身に良い影響をもたらすことは、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2023」でも示されています。身体活動は気分転換やストレス解消につながり、メンタルヘルスの不調を改善する手段として注目されています。

運動を行うと、心を安定させる働きを持つセロトニンやエンドルフィンといった脳内物質が分泌され、精神面に良い変化が期待できます。

以下では、運動がもたらす具体的な効果について解説します。

参考:厚生労働省|健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023

セロトニン分泌による精神の安定

セロトニンは、精神の安定や安心感、平常心の維持、直観力の向上に関与する脳内物質であり、日光を浴びながらのウォーキングなどの有酸素運動によって、セロトニンの分泌が活性化されることがわかっています。心が落ち着いたり前向きな気持ちになったりする効果が期待できます。

一方で、運動不足の状態が続くとセロトニンの分泌が低下し、不安やイライラ、情緒の不安定を招きやすくなります。日頃から適度に身体を動かす習慣を持つことが、精神的な安定を保つ上で大切です。

エンドルフィンによるリラックス効果

エンドルフィンは、気分の高揚や痛みの緩和、免疫力の向上に寄与する脳内ホルモンであり、心身をリフレッシュさせる役割を果たしています。運動後に「気持ちいい」と感じるのは、このエンドルフィンの分泌によるリラックス効果の表れといえます。

反対に、エンドルフィンの分泌が不足すると、興奮を抑えるブレーキが効きにくくなり、不安や落ち着かない状態が強まりやすくなります。こうしたメンタルバランスの崩れを防ぐためにも、日常的に身体を動かす習慣が重要です。

睡眠の質の向上と疲労回復

適度な運動による身体的な疲労は、身体が睡眠を求めるサインとなり、自然な入眠を促して深い眠り(安眠)へとつながります。さらに、運動習慣によって体内時計のリズムが整うため、入眠時間や睡眠時間の改善が見込まれ、朝の目覚めがスッキリとしたものに変わっていきます。

一方、布団に入ってから考えごとをしていると寝つきが悪くなり、眠りが浅くなるケースも少なくありません。日中に身体を動かすことでこうした不眠の要因を解消し、睡眠の質を高めることが期待できます。

うつ病の改善・予防における運動の重要性

運動の重要性

運動は、うつ病の改善や予防に効果が期待できるアプローチとして注目されています。WHOも身体活動不足をうつ病のリスク因子の一つとして位置づけており、定期的な運動が予防に有効であることが示されています。

また、質の高い研究を集めたコクラン・レビュー(システマティック・レビュー)においても、運動には中等度の臨床効果があるとされています。以下では、運動がうつ病にもたらす影響について、身体活動と予防の関係や、効果的な運動の種類と頻度の観点から解説します。

参考:Michael Noetel et al: Effect of exercise for depression: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2024 Feb 14:384:e075847.

身体活動とうつ病予防の関係

身体活動・運動の量が多い者は、少ない者と比較して、うつ病を含む複数の疾患の発症・罹患リスクが低いことが報告されています。アメリカの公的な調査によると、活動的な人は不活発な人よりもうつ症状の発症リスクが18~25%低いという結果が示されました。

また、運動を通じて仲間との交流が生まれることで、孤独感の解消やソーシャルサポートの獲得につながり、ストレスのネガティブな影響を減らす原動力となります。

こうした人間関係は、再発予防にも役立つと考えられています。反対に、長期間にわたって身体を動かさない生活が続くと、心身のバランスが崩れ、うつ病の症状を悪化させる一因になる場合もあります。

参考:厚生労働省|健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023
参考:Matthew Pearce et al: Association Between Physical Activity and Risk of Depression: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Psychiatry. 2022 Jun 1;79(6):550-559.

効果的な運動の種類と頻度

うつ病の改善にはランニングなどの有酸素運動だけでなく、ウェイトトレーニングなどのレジスタンス運動(筋力トレーニング)との組み合わせが効果的であると報告されています。頻度としては週に3回以上、中程度以上の強度で一定時間継続して行うことが望ましいとされています。

WHO(世界保健機関)も、健康効果を得るためには、1週間を通して、中強度の有酸素性運動を150~300分、高強度の有酸素運動を75~150分程度行うことを目安として示しています。ただし、低強度の運動であっても、全く運動をしない場合と比べれば改善効果が見られるという報告もあるため、個人の体調に合わせて無理のないペースで取り組むことが大切です。

参考:Brett R. Gordon, MSc et al: Association of Efficacy of Resistance Exercise Training With Depressive Symptoms: Meta-analysis and Meta-regression Analysis of Randomized Clinical Trials. JAMA Psychiatry. 2018 Jun 1;75(6):566-576.
参考:WHO身体活動・座位行動ガイドライン

復職に向けた基礎体力回復とリワークの効果

リワークの効果

休職期間が長くなると、生活リズムの崩れや運動不足が原因で、基礎体力が低下する傾向があります。体力が落ちた状態のまま復職すると、日々の疲労が十分に回復できず、再び体調を崩すリスクが高まりかねません。

そのため、リワークを実施している機関では、基礎体力回復のためのプログラムが取り入れられています。復職を安定して続けるには、自律神経を整える身体づくりと、就労に耐えうる体力の獲得が重要な要素となります。

関連記事:復職に重要な体力、どうやってつけていくと良い?

自律神経を整える身体作り

自律神経には、日中の活動を支える交感神経と、夜間のリラックスを促す副交感神経の2種類があり、この切り替えがスムーズに行われることで心身のバランスが保たれています。運動には交感神経の働きを活発にする作用があり、汗をかくことでリラックス効果や代謝の促進、夜間の良質な睡眠にもつながるとされています。

一方で、運動不足の状態が続くと、自律神経の調節機能が低下しやすく、心身のストレスに対する反応性が高まることで、めまい、不眠、肩こりといった不調が現れる場合があります。 こうした不調を防ぎ、自律神経のバランスを整えるためにも、まずはストレッチや軽い体操など負担の少ない運動から始め、徐々に身体を慣らしていくことが大切です。

参考:Satoshi Koba: et al: Mechanisms of autonomic cardiovascular adjustments during exercise and stress. The Autonomic Nervous System, 2022 Volume 59 Issue 4 Pages 354-357.

就労継続に必要な体力の獲得

復職後に安定して働き続けるためには、メンタル面の回復だけでなく、通勤や勤務を継続できる基礎体力を取り戻すことも大切です。休職中は外出や活動量が減りやすく、本人が思っている以上に筋力や持久力が低下している場合があります。

基礎体力が十分に戻っていない状態で復職すると、通勤だけで疲れを感じたり、勤務中の集中力を保ちにくくなったりすることがあります。また、1日の勤務後に疲労を回復しきれない状態が続くと、疲れが蓄積し、再び体調を崩すリスクにもつながりかねません。そのため、復職前の段階で少しずつ活動量を増やし、働く生活に耐えられる身体づくりを進めることが重要です。

リワークでは、ウォーキングやストレッチ、ヨガ、軽い体操など、無理のない運動を取り入れながら基礎体力の回復を目指します。定期的に身体を動かすことで、休職中に低下した活動量を補い、日中に活動するリズムも整えやすくなります。体調に合わせて段階的に運動を続けることが、復職後の疲労感の軽減や安定した就労継続につながります。

ニューロリワークの復職支援(リワーク)で安定した就労を

ニューロリワーク」では、うつ病や適応障害といったメンタル不調で休職や離職した方を対象に、脳科学者や精神科医、公認心理師などの監修のもと開発された「ブレインフィットネスプログラム」を通じて、運動や食事、睡眠といった生活習慣の改善と健康管理をサポートしています。プログラムの中で運動も取り入れており、心身のコンディションを整えながら復職に向けた準備を進めることができます。

また、専門スタッフによる個別サポートでは、休職原因の分析や再発防止策の検討を一緒に行い、復職後も長く安心して働き続けるための基盤づくりに取り組んでいます。面談を通じた支援計画の作成から、生活面・社会面・就労面の準備まで、一人ひとりの目的や目標に合わせた支援体制を整えています。復職に向けて準備をしたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者

石山 亜由美

医療ライター/開業保健師

看護師・保健師としての現場経験を基盤に、医療・健康分野の記事執筆や監修を行う。これまでに疾患解説、転職、産業保健、メンタルヘルス領域など多数の記事制作に携わる。企業向け産業保健支援にも従事し、健康経営や従業員の安全配慮の視点を踏まえ、法令やリスクマネジメントにも配慮した医療情報を発信。現場視点とエビデンスに基づき、正確性と信頼性を担保したコンテンツ制作のサポートを提供している。