メンタル不調による休職から復職までをどう過ごす?
不安を解消する「3つのステップ」
休職が決まったばかり、あるいは休職して間もない方は、漠然とした不安を感じることが多いものです。復職の具体的なイメージが湧かず、「このまま休んでいるだけでいいのだろうか」「何をしたら復職できるのか全く見通しが立たない」「本当に復職できるのか」とひとりで不安を抱えてしまう方もいるかもしれません。
休職は心身を回復させるための休養期間であり、復職に向けた準備期間でもあります。休職中に感じる不安は、復職に向けて一歩ずつ準備を進めることで軽くできます。
ここでは、そんな不安を解消する休職期間の過ごし方として、復職に向けた3つのステップをご紹介します。日々の不安を軽くして明るい気持ちで過ごせるよう、ステップ1からひとつひとつ取り組んでいきましょう。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから)
不安を解消する3つのステップとは
休職中、特に休職して間もない頃に不安を感じやすいのは、復職までのイメージが具体的に思い浮かばないことが原因のひとつです。復職への明確なイメージを持つことで、漠然とした不安に対処することが可能です。
復職への着実な道筋となるのが、以下の3つのステップです。
上記の3つのステップを押さえることで、復職までのイメージが明確になり、漠然とした不安は和らぎます。また、自分の状態が3つのステップのどの段階であるかがわかれば、それだけ適切に復職準備を進めることもできます。
ステップ①…しっかり休む
メンタル不調で休職した方の場合、まずはしっかりと心と体を休めることが大切です。特に休職したばかりの頃は、「ベッドから起き上がるのもつらい」「外に出たくない」という状態を経験される方も少なくありません。そのようなときに必要なのは、十分な休養です。まだ心身が回復していないのに「早く復職しなければ」「休んでいるだけではダメだ」と焦りにかられて復職準備を始めれば、かえって心身に過大な負荷がかかって回復の妨げとなりかねません。復職に向けた最初のステップは、しっかりと休んで、疲れたり傷ついたりした心身を回復させることです。
休養に専念する時期は、できるだけ生活習慣を崩さずに過ごすことが重要です。特に起床と就寝の時間を一定にすることで、日中に起きて活動できる状態に少しずつ近づくことができます。カーテンを開けて朝の日光を浴びるところから始め、調子が良いときは外に出てみるというように、段階を踏んで心身のコンディションを整えることが復職への大切な第一歩となります。
ステップ②…具体的な目標を立てる
最初のステップ(しっかり休む)で心身の健康状態が少しずつ回復し、だんだんと日中に活動できるようになってきたら、次のステップである「具体的な目標を立てる」に進みます。ステップ1と同様に、ここでも焦りは禁物です。復職に向けた目標となると、つい「○○までに復職する」といった大きな目標を立てたくなりがちですが、目標が大きすぎたり期限が遠すぎたりすると、今度は「その目標を達成できるのか」という新たな不安を抱えることになってしまいます。
ステップ2で取り組みたい具体的な目標は、もっと小さな日常生活の中で達成できる目標です。小さな目標をひとつひとつクリアして達成感を味わうことが、メンタル不調によって失われがちな自信を取り戻すことにもつながります。
日常生活で達成できる小さな目標は、たとえば「朝起きて洗顔と歯磨きをする」「パンやカップ麺だけで食事を済ませるのではなく、卵焼きやゆで卵、またはサラダやサンドイッチなどを作って食べる」「スーパーで買い物をする」「外で近所の人と会ったら挨拶をする」というようなことです。もちろんこれらは、一例にすぎません。あくまでも自分の状態にあった目標を立てるように心がけるようにしましょう。
このステップでは、日々目標を立てて過ごし、達成感を味わうことで休職期間の不安を軽くすることを目的としています。もしも目標設定を誤って達成できない経験が重なってしまうと、かえって自信を喪失して不安や落ち込みの原因になってしまいます。どんなに小さなことでもよいので、達成可能な目標から始めることが大切です。
小さな目標の達成を積み重ねるうちに余裕が生まれてきたなら、少しずつ負荷を増やしてみましょう。たとえば、「体力づくりのためにウォーキングをする」「読書など集中力を必要とすることに取り組む」「通勤経路の電車に乗ってみる」といった目標を立てることで、復職に向けた準備を進めることもできます。自分の状態を把握するためにも、そして目標達成を目に見える形にして自信につなげるためにも、生活の記録をとりながら進めるのも良い方法です。
心身のコンディションに応じた適切な目標を立てて、達成する経験を積み重ねることで、休職中の不安を軽減することができます。焦らず、ひとつひとつ小さな目標に取り組んでいきましょう。
ステップ③…リワーク活動を始める
まずはしっかりと休み、次に具体的な目標を立てて生活し、だんだんと日中に活動できるようになってきたら、3つめのステップである「リワーク活動を始める」に進む準備が整ったといえます。
「リワーク」は、メンタル不調がきっかけで休職している方の職場復帰を円滑にするためのプログラムです。リワークを専門に支援する施設もあり、医療機関に併設されている施設や、民間の支援機関が運営している施設など、いくつかの種類があります。
(関連記事:「リワークを実施している施設の種類とそれぞれの違い」
「リワークを利用するために費用はどのくらいかかる?|施設ごとに徹底解説!」)
リワーク施設では、復職を支援するために多岐にわたるプログラムが用意されています。
プログラムの形式は、グループで取り組むものや個別で行うもの、講義を受けるものなどさまざまです。自身に必要なプログラムを実施しているリワーク施設を利用することで、安心して復職に向けて準備を進めることができます。
復職のためのステップとして活用できるリワーク施設ですが、焦って利用を決める必要はありません。仮に、日中に動くどころかベッドから起き上がることすらつらいのに「ステップ①…しっかり休む」の段階を飛ばしてリワーク活動を始めたとしても、思うようにリワーク施設に通うことができなくてつらい思いをするかもしれません。まずは十分な休養をとり、心身の状態を整えることが重要です。
復職活動を始める目安としては、以下の3点が挙げられます。
リワーク施設へ通うには交通機関を使うことも多く、それが復職後を想定した通勤のトレーニングにもなります。上記の3つの目安をクリアできているかの確信が持てないという場合は、リワーク施設のスタッフや主治医に相談しましょう。
自宅でリワーク(いわゆるセルフリワーク)に取り組む方もいますが、ひとりで進める復職準備には、困難やデメリットもあります。リワーク施設は事前にプログラムの見学や体験ができるので、実際の様子を確認し、スタッフの話を聞いてじっくりと判断するとよいかもしれません。
まとめ
まずは「しっかりと休んで、日中にある程度動けるまで心身を回復させること」次に「具体的な小目標を立て、ひとつひとつ達成すること」、そして最後に、「復職を見据えたリワーク活動を開始すること」が、休職から復職に至る着実な道筋となります。
自分の心身の状態を理解して適切なステップに取り組めば、復職への道のりが大きく近づきます。特にリワーク活動を開始する段階では、リワーク施設に通うことが効果的です。
休職期間にはひとりで不安を抱え込んでしまう方もいますが、リワーク施設でスタッフや他の利用者と関わることで、不安を解消させることが可能です。スタッフと一緒にリワークの計画を立て、復職準備を進めていくことで、復職のイメージが明確になります。
リワーク施設を活用するメリットは、これまでにみてきた以外にも多くあります。
たとえば、
・決まった時間に決められた場所に通うことで自然と生活習慣が整う
・職場復帰に向けたプログラムを受けられる
・再発防止策を練ることができる
・同じように休職している人と悩みを共有できる
・通勤や勤務のトレーニングができる
・復職後も支援を受けられる
などです。
(※支援内容はリワーク施設によって異なります)
リワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」では、ストレスを緩和する「マインドフルネス」のプログラムや、脳の疲労回復に役立つプログラムなど、多岐にわたるプログラムを提供しています。プログラムの見学も可能ですので「実際のリワーク施設を見てみたい」「どのようなプログラムが受けられるのかを詳しく知りたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
今回ご紹介した3つのステップを実践することで不安が解消され、復職できることを心から願っております。(プログラムの見学希望の方はコチラからお申し込みいただけます)
【参考文献・参考サイト】
・こころの耳 職場復帰のガイダンス(働く方へ)
・『みんなのメンタルヘルス総合サイト』仕事~働くための支援、休職からの復帰支援など~
(写真素材:PIXTA・photoAC)
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