自立訓練(生活訓練)事業所が目指す自立とは?
メンタル不調のある方が社会参加や復職を目指す上で、重要や役割を果たす「自立訓練(生活訓練)事業所」。もしかすると、「自立訓練」という言葉は日常生活であまり馴染みがないため、具体的なイメージが湧かないという方も多いかもしれません。
そこで今回は、自立訓練(生活訓練)事業所が目指す自立とはどのようなものであるかという点について、日常生活と仕事の両方の観点から詳しくみていきます。併せて、具体的にどのような支援を行っているかの事例についてもご紹介します。
自立訓練(生活訓練)事業所がどのようなものであるかを知ることで、今後の自身の目標に合った適切な選択が可能になります。(メンタル不調からの社会復帰や復職、就職を目指すなら → ニューロリワークの資料請求)
日常生活における自立
「自立」は、“日常生活における自立”と“仕事における自立”のふたつに大別することができます。
日常生活における自立は、生活環境によって異なる点もありますが概ね「生活能力面」と「生活習慣面」に分類されます。
①生活能力面での自立状態
・一定の家事(食事の準備、清掃、洗濯など)ができる。
・入浴や排せつができる。
・服薬管理、金銭管理、危機管理などの自己管理ができる。
(※いずれも、誰かの補助がある場合も含む。)
②生活習慣面での自立状態
・体力を維持するための運動を行える。
・ストレスや疲労をケアできる。
・活動と休養のバランスがとれている。
・昼夜逆転せずに、安定した生活習慣が身に付いている。
仕事における自立
仕事における自立もまた、日常生活における自立と同様に「生活能力面」と「生活習慣面」に分類されます。
①生活能力面
・会社や目的地に着くために交通機関を利用できる。
・挨拶や返事などの基本的なコミュニケーションに加え、状況に応じて適切な対応をとれる。
・限られた時間の中で、業務を遂行するためのタイムマネジメントやタスク管理ができる。
②生活習慣面
・生活習慣が安定しており、日中に集中して仕事ができる。
・安定した状態で働き続けるために、自身の体調やストレスをケアできる。
・仕事とプライベートのバランスがとれており、休日に仕事の疲れをとることができる。
以上のように、日常生活または仕事の各場面で能力・習慣ともに一定の基準を満たしていることで「自立できている」と判断が可能です。言い換えれば、上記の基準を満たしていない場合には、自立訓練(生活訓練)事業所などを活用し、身に付けるべき能力や習慣を会得することが大切です。
自立訓練(生活訓練)事業所での支援事例
自立訓練(生活訓練)事業所では、日常生活や仕事で求められる能力・習慣などを身に付けるプログラムを提供することで、社会参加や復職の支援を行っています。以下では、自立訓練(生活訓練)事業所でこれまでにあった支援事例についてみていきます。
【事例1】Aさんのケース
ひとつめは、社会生活における支援を重点的に行った事例です。
■Aさんの状態・ニーズ
・数年間自宅にこもっている。
・家族以外との会話は無い。
・ゆくゆく就労をしたいが、まずは地域社会で活動していく能力を身に付けたい。
こうした状態・ニーズでAさんは自立訓練(生活訓練)事業所への通所を決め、大きく3つのステップに分けて就労支援を受けました。
1.利用開始当初は、週に1~2回など少ない日数から通所をはじめ、日中活動するための生活習慣の基盤を作ることを目指しました。この段階では自立訓練(生活訓練)事業所で行われるプログラムへの参加は積極的に行わず、集団の中で無理なくできる範囲で活動を行いました。
2.生活習慣の基盤を作り事業所に通うことに慣れてきた後は、スタッフを介してプログラムへ参加し、他者とコミュニケーションをとったり自己開示をする機会を作りました。
3.事業所の利用の後半では他の利用者の方々と同じペースで訓練に参加し、日中に活動するための体力や社会生活を行う上で必要なコミュニケーション能力などを身に付けました。
これら3つの段階を経て、Aさんは無事に就労のステップへと移ることができました。
【事例2】Bさんのケース
ふたつめは、生活習慣における支援を重点的に行った事例です。
■Bさんの状態・ニーズ
・メンタル不調により、頻繁に休職している。
・生活リズムが崩れている(昼夜逆転)。
・身の回りのことや食事、入浴など生活に必要な活動を行えない。
・復職へ向けて、日常生活を整えたい。
こうした状態・ニーズでBさんは、以下のステップで支援を受けました。
1.最初に、毎日の通所を通して昼夜逆転だった生活を少しずつ改善し、日中に十分な活動ができる状態を目指しました。生活リズムが整っていくうちに、規則正しい生活を送ることの重要性が理解でき、それまでできていなかった家事に取り組むなど自己管理能力が身に付いていきました。
2.生活習慣が整い、体調が安定してからはスタッフと相談しながらその後の働き方などについて以下の点を考えていくようになりました。
・休職理由の分析
・再発予防策の立案
・周囲への配慮事項の整理
上記に加えて、自身に必要なストレスケアやセルフケアも習得することで、Bさんは無事に復職に至りました。(スタッフとともに休職からの復職を目指すなら → ニューロリワークの資料請求)
自立訓練(生活訓練)事業所を利用して、社会参加・復職を実現する
自立訓練(生活訓練)事業所が行う支援は、個人個人が目指す「自立」に応じてさまざまです。そのため、社会参加や復職といった自分の目的を明確にして、必要な支援やプログラムを選ぶことが大切です。
自立訓練(生活訓練)事業所では、生活習慣を整えることを目的としたプログラムや自己管理能力を高めるプログラムなど、多様なプログラムを提供しています。社会参加や復職を目指すために「生活基盤を整えたい」「自分の状態をより良くしたい」とお考えの場合は、自立訓練(生活訓練)事業所の利用を検討するとよいかもしれません。
自立訓練事業所を運営するニューロリワークでは、生活習慣の乱れを改善する「ブレインフィットネスプログラム」や、認知行動療法に基づくプログラム、生活相談など、さまざまなプログラムを行っています。実際に見学や体験してみなければ分からないことも多いので、気になる方はお気軽にご連絡・ご参加ください。
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA・photoAC)
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