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自立訓練(生活訓練) 社会参加

うつ病や適応障害などの精神疾患からの「社会参加」とは?
自立訓練(生活訓練)事業所を活用した社会活動への取り組み

精神疾患を理由として医療機関にかかる患者数は増加傾向にあり、平成26年には392万人、平成29年には400万人を超えています。(参考:厚労省患者調査)
特にうつ病などの気分障害、適応障害などの神経症性障害は全体の患者数に対する割合で上位を占めており、こうした精神的な症状が原因となって職場や学校、またはその他の社会活動が十分に行えず、大きな悩みになっているケースが多くみられます。

以下では、うつ病や適応障害をはじめとする精神疾患によって就業を初めとする社会活動ができない方にとって「社会参加」とは何かという観点を踏まえて、その意義や重要性についてもみていきます。また、社会参加を目指す上で押さえておくべき好事例や、有効に活用できる「社会資源(=制度や団体)」などについても併せてみていきます。(うつ病や適応障害などの精神疾患から社会参加を目指すなら → ニューロリワークの資料請求

1.社会参加とは? その意義と重要性について

社会参加とは
一般的に、社会参加とは「障害の有無にかかわらず、個人やグループが社会全体で活動し、貢献し、関与すること」を指します。主な例としては、以下のような活動や取り組みが挙げられます。

Ⅰ.地域活動

地域活動は、主に居住地を中心とした地域のイベントやプログラムへの参加を指します。たとえば、地域エリアの改善活動であったり、または近隣のコミュニティへの関与などが含まれます。

Ⅱ.社会的組織への参加

社会的組織への参加は、クラブや団体、サークル、スポーツチーム、または文化的な活動を行う団体などへの所属や参加を指します。地域活動とは異なり、所属する組織や段階の中で明確な役割や地位を得ることもあります。

Ⅲ.教育・啓発活動への参加

教育・啓発活動への参加は、講義やセミナー、ワークショップなどへの参加を指します。知識を広めることを目的としており、広義の意味では上述の「社会的組織」に含まれます。

Ⅳ.ボランティア活動

ボランティア活動は、社会のために無給で行われる活動です。非営利団体が(または営利団体の非営利活動として)、地域社会で環境保護や災害などをはじめとする様々な支援が行われます。

Ⅴ.政治参加

政治参加は、投票や政治的議論、または政策提言や政府の活動に参加する活動を指します。その範囲は市区町村の地方自治体だけでなく、国政レベルでの活動も含まれます。

これらの活動や取り組みを通じた社会参加の意義としては、社会全体とのつながりを強化し、社会(共同体)の発展と成長に貢献するという点が挙げられます。興味のある社会(共同体)に参加し、その中で多様な視点を持って自身の能力を向上・発揮させることで、より豊かな社会の形成の一助となります。

他のメリットとしては、たとえば社会参加によって他の人々とのつながりを築き、社会的な結びつきが強化される機会を得られるという点が挙げられます。また、新しい友人やコミュニティメンバーが増えることで、多くのサポートを得ることができるという点もメリットといえます。他にも、一方的にサポートを受けるだけでなく、自身が他者に支援を提供することで達成感や充実感、そして自己肯定感を得ることができます。

参加する集団・団体によっては、コミュニケーションスキルやリーダーシップスキル、問題解決能力、協調性などを向上させることも可能です。「ボランティア活動」や「教育・啓発活動への参加」などの社会参加は、既存のスキルを向上させるだけでなく、新しいスキルを学べる実践的な機会にもなります。

なお、ボランティアや社会的な活動は、就労時に有益な経験と見なされることもあります。すなわち、就職活動の際に履歴書や経歴にプラスの影響を与えることがあります。

こうした観点から、社会参加は地域コミュニティの一員となるという側面と同時に、個人の能力の向上という側面も併せ持っていることが分かります。

2.社会参加に必要なこととは?

社会参加に必要なこと
個人にとっても社会にとってもメリットのある「社会参加」。その第一歩を踏み出すためには、どのようなことが求められるのでしょうか。

上述した活動内容を見ると、高いコミュニケーション能力などが必要とされるようにも思えます。もっとも、どのような活動であれ、社会参加に参加していく上で重要なのは「何ができるか」以上に「何がしたくて社会に参加するか」という点といえます。言い換えれば、社会参加を行う上でまず必要とされるのは、「積極的な意欲や自覚」です。明確な意志や動機を持って「○○がしたい」や「○○を目標として活動したい」、または「○○を行うことで社会の役に立ちたい」という想いがあれば、誰にでも社会参加の入口は開かれているといえるでしょう。

3.現代社会における、障害者の社会参加

障害者の社会参加
障害者の社会参加は、時代とともに変化しつつあります。たとえば教育現場における変化としては、障害のある方が利用する特別支援学校の普及をはじめ、通常の学校での統合教育、特別支援学級などの整備や拡張などが挙げられます。こうした変化により、障害のある方の教員現場における社会参加の機会も増加傾向が見られます。

また、IT技術やデジタル端末が普及したことで、ソーシャルメディアやオンラインコミュニケーションの機会が増加し、障害のある方々も従来以上にコミュニケーションを図ることができるようになりました。具体的な事例を挙げると、テキストやビデオチャットを活用することで身体的な障壁を乗り越え、他者とつながる機会を得やすくなるほか、スクリーンリーダーや音声認識ソフト、その他の様々な機能を持つ支援ツールによって、情報へのアクセスがますます容易になっています。こうした背景から、現在ではより平等な情報の活用が実現され、社会参加の機会が広がっています。

就労や労働の分野でも、障害者雇用促進法の施行に伴って大きな変化がみられるようになりました。2013年に障害者雇用促進法が改正されたことで、2018年度までに大規模事業所(1,000人以上の雇用を有する事業所)において、法定雇用率の義務が導入されました。この法改正により、大規模事業所は障害者を一定割合以上雇用することが義務付けられました。
障害者雇用促進法の大きなポイントとしては、障害を持つ方々に対する雇用機会を拡大し、職場で能力を発揮できるようにすることで社会参加の機会の拡大に繋がったといえるでしょう。

こうした観点から、労働者不足の問題も顕著になりつつある昨今ではこれまで以上に障害者の社会参加の重要性が高くなっていくと予想されています。

4.うつ病や適応障害などの精神疾患者の社会参加について

精神疾患者の社会参加
上述したように、現代社会においては障害者の社会参加は大きく変化しつつあります。こうした傾向は、「雇用」という側面からも同様に見てとれます。

一般企業における障害者雇用の法定雇用率は、2023年11月現在で2.3%に設定されています。こちらは令和6年から段階的な引き上げが計画されており、令和8年以降は2.7%まで引き上げられていくことが見込まれています。(参考:「労働政策審議会障害者雇用分科会」令和5年度からの障害者雇用率の設定等について)

また、これまでは週に20時間以上の労働が障害者雇用枠の算定配置基準として設定されていましたが、令和6年度以降は週所定労働時間が特に短い(=10時間以上20時間未満と規定予定)精神障害者等について、特例的な取扱いとして事業主が雇用した場合に雇用率において算定できるようにするという内容での法改正検討が進んでいます。(参考:厚生労働省資料「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要」より)

こうした法改正を受けて、今後はこれまで以上に多くの企業が障害者雇用枠を拡充していくことが予想されています。すなわち、精神疾患の方の就労における社会参加もまた、同様に広がっていくことが予想されるといえます。

雇用枠の拡大が期待される一方で、課題が残る分野もあります。たとえば、障害者雇用における就労定着率は3つの障害(身体・知的・精神)の中で精神障害が最も低くなっています。障害者雇用枠の拡大によって就労への入口は広がりますが、就労後の職場への定着、すなわち継続的に働き続けていくことに関しては課題も多く残されているといえます。

5.社会参加を目指すための支援サービス

社会参加のための支援サービス
職場への就労や定着に関する課題を解決するためには、支援サービスの活用がひとつのポイントとなります。

たとえば、精神障害の方の職場定着をサポートする「①就労移行支援」や「②就労定着支援」を行う福祉サービスなどがあります。

「①就労移行支援」とは、障害のある方の社会参加をサポートするために制定された「障害者総合支援法」に基づいて運営されている通所型の福祉サービスです。(例:就労移行支援事業所)
一般企業への就職を目指す障害者を対象に、「職業訓練の提供」や「就職活動の支援」を行うことで就職および就職後の職場定着が滞りなく行えるようサポートを提供しています。
なお、利用にあたっての注意点として「利用期間の制限」が挙げられます。
就労移行支援には、2年間の利用期限(制限)があります。そのため、利用を開始しても健康上の理由から継続的な利用(=事業所への通所)が難しく利用開始から2年間の期限が経過してしまうというケースもあります。こうしたケースを回避するために、就労移行支援の利用にあたっては最低限の健康管理や生活管理を行えることが不可欠といえます。

「②就労定着支援」とは、障害のある方の職場定着をサポートするために制定された「障害者総合支援法」に基づいて運営されている障害福祉サービスのひとつです。障がいのある方が就労先の労働環境や業務内容に順応し、長く働き続けられるように支援することを目的としています。就職後に生じた課題(悩みやトラブル)に対して、就労定着支援員が障害者本人と会社の双方に対し、相談や助言など必要な支援を行います。
なお、就労定着支援は利用の対象が就労移行支援等を含む障害福祉サービス(例:就労移行支援事業所)の利用を経て就労された方を対象とするため、障害福祉サービスを利用していない場合は利用の対象とならないという点に注意が必要です。(=「就労定着支援」だけを利用することができない)

6.精神疾患からの社会参加を目指す、自立訓練(生活訓練)事業所

自立訓練事業所
上述のように、就労移行支援(事業所)はうつ病や適応障害をはじめとする精神疾患が原因で就労できていない方をサポートするサービスです。しかし、社会参加を目指す上で活用できるサービスであるものの、健康上の理由で利用できない方や既に利用期間の上限である2年が経過してしまうというケースもみられます。

このような方を対象に、就労移行支援事業所とは別に社会参加や就労・復職・再就職を支援する事業所として、「自立訓練(生活訓練)事業所」があります。

自立訓練(生活訓練)事業所は、障害を持つ方が自立した生活を送るための訓練や支援を提供する施設です。主に障害のある方が日常生活で必要なスキルや能力を向上させるための訓練プログラムを提供し、自身で日常生活を適切に行い、各々が目指す社会参加を実現するためのサポートを行っています。

就労移行支援事業所との大きな違いは、利用の目的を必ずしも「就労」としていない点にあります。そのため、就労以外の目的を持った方にも広く活用されています。たとえば、就労移行支援事業所の利用を視野に入れたステップとして自立訓練(生活訓練)を通じて日々の活動や生活習慣の基礎をつくることを目的とする方や、就労移行支援事業所を利用したものの体調が安定せずに十分な利用が行えていない方、または就労移行支援事業所を2年の満期にわたって使用する前に自立訓練(生活訓練)で体調を整えてからあらためて就労移行支援を再開することを視野に入れて活用する方などがみられます。(関連記事:自立訓練事業所ってどんなところ? 就労移行支援事業所との違いについても解説します。

他にも、以下のようなケースで自立訓練(生活訓練)事業所が利用されています。

・就労継続支援A型の利用を目標に、準備段階として利用するケース

・就労継続支援B型を利用されている方が、就労移行支援事業所の準備段階として利用するケース

・入院や引きこもりが長期間にわたり、就労よりも社会参加や生活習慣の構築、生活能力の向上を目指すケース

・進学や資格取得など自己研鑽のため準備段階として利用するケース

・休職中に、職場復帰を目指すため生活習慣や健康管理などの自己管理能力の向上を目指すケース

上記のように、自立訓練(生活訓練)事業所では幅広い方を利用対象者としています。自立訓練(生活訓練)事業所にも就労移行支援事業所と同様に(別枠で)2年間の利用制限がありますが、就労移行支援の利用を視野に入れて前段階として位置づける方法など、社会参加を目指す上での利便性は高いといえます。(社会参加を目指すニューロリワークの資料請求はコチラ

7.うつ病や適応障害から社会参加を実現した好事例

社会参加の好事例
自立訓練(生活訓練)を活用して社会参加を実現した事例としては、主に以下のようなケースがあります。

社会参加に関する課題を解決した事例(Aさんのケース)

ひとつめの事例は、引きこもりの傾向があり家族以外との交流が無かったAさんが、社会参加を目的として自立訓練(生活訓練)事業所を利用されたケースです。生活習慣を構築するプログラムなどへの参加を通じて少しずつ他者との交流ができるようになり、週1回からのスモールステップで通所を行うことで少しずつ活動量を増やしていきました。様々なプログラムに参加する中で、自身の現状や今後の目標設定を行えるようになるなどの効果が見られました。

生活能力に関する課題を解決した事例(Bさんのケース)

ふたつめの事例は、金銭管理を苦手としており、買物時につい多くのものを購入してしまうBさんのケースです。金銭管理以外にも自宅の清掃などを苦手とする傾向もありましたが、事業所を活用することで生活面に関するプログラムやアドバイスを通じて、改善傾向が見られるようになりました。

生活習慣に関する課題を解決した事例(Cさんのケース)

Cさんは、就労移行支援を利用中に生活習慣が不安定になり通所が継続的に行えず、休みがちのまま就労移行支援の利用期間が半年となって自立訓練(生活訓練)事業所の利用に切り替えました。

このケースでは、生活習慣が不安定のままで就労移行支援事業所の利用期間を限度まで使い切ることを避けるため、自立訓練(生活訓練)にサービスを移しています。自立訓練(生活訓練)事業所で生活習慣の改善や日々の活動量を増やすことで健康状態を安定させ、改めて就労移行支援事業所の利用に戻って就職を実現されたケースです。

休職に関する課題を解決した事例(Dさんのケース)

Dさんは、就業中にメンタル不調によって休職し、自立訓練(生活訓練)事業所を利用するようになりました。このケースでは、生活習慣が昼夜逆転してしまう他、体力が低下して活動量が減ってしまい、すぐに疲労を起こしてしまうという症状が見られました。事業所に通って休職原因の自己分析を行い、生活習慣の改善プログラムや運動(体力向上)のプログラム、不調に対する再発防止のセルフリカバリー法を学ぶことで無事に復職を果たしました。

8.精神疾患(精神障害)から社会参加を実現するために大切なこと(まとめ)

社会参加を実現するために大切なこと
うつ病や適応障害などの精神疾患から社会参加を目指す上で、就労移行支援事業所や自立訓練(生活訓練)などの社会資源の活用は効果的です。社会参加のための第一歩は、自身の課題や改善点を解決するための社会資源を把握しておくことから始まります。事業所を利用するためにはメンタルクリニックなどの医療機関での受診が不可欠となりますので、こちらも併せて覚えておきましょう。

「最初から就労を目指すのは難しそう」という方は、生活習慣の改善に重きを置いた自立訓練(生活訓練)事業所の利用から始めるのが効果的です。また、既に就労移行支援事業所を利用されている方でも、自立訓練(生活訓練)事業所の利用は別期間として扱われるため、主治医や事業所のスタッフと相談して利用を切り替えるという選択もあります。

大切なのは、自身の課題と今後の目標を明確にすることです。目的もなく漠然と「社会参加」という名目で活動を行ったとしても、かえって心身の負担が増して社会参加への苦手意識が強くなってしまうことが考えられます。そのため、事業所を利用する際には目標を明確にして、自身に合った事業所を選ぶことが大切です。

9.精神疾患からの社会参加をお考えなら、自立訓練(生活訓練)事業所ニューロリワークへご相談ください

自立訓練(生活訓練)事業所ニューロリワーク
「ニューロリワーク」では、社会参加を目指す方に向けて様々なサポートを提供しています。

生活習慣の改善を主軸としてサポートはもちろん、安定した就労や復職を実現する様々なプログラムを提供しています。

「生活習慣が不安定なので日々の活動を通じて改善していきたい」
「就労移行支援事業所に通うためのステップとして自立訓練から準備を始めたい」
「社会交流の練習を行っていく機会がほしい」
「休職中で生活リズムが乱れているので復職するために整えたい」
「生活環境を整えながら進学や資格取得を目指したい」

など、うつ病や適応障害などの精神疾患から社会参加を目指す上での課題をスタッフが伺い、適切なプログラムや訓練方法をご提案いたします。

社会参加やその後の活躍を実現するサポートをご希望の方は、お近くのセンターにてご相談や見学が可能です。(自立訓練事業所を運営するニューロリワークの見学をご希望の方はコチラから

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