就労移行支援事業所が、「一生に一度しか利用できない」のは本当?
うつ病や適応障害などのメンタル不調を患っていることで離職された方、もしくはこれまでに一度も就職したことがない方にとって、就労を目指す「就労移行支援事業所」は大きな意義のある施設です。
そんな就労移行支援事業所の利用に関して、インターネットなどでは「一生に一度しか利用できない?」といった疑問や質問がみられます。
ここでは、就労移行支援事業所の利用を考えている方が疑問に思いがちなこの点について、詳しくみていきます。
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就労移行支援事業所はどのような施設?
「就労移行支援事業」は、障害のある方の就労などをサポートするために制定された「障害者総合支援法」に基づいて運営されている通所型の福祉サービスです。一般企業への就職を目指す障害者に対して、様々な訓練の提供や就職活動の支援によって就労をサポートします。
就労移行支援事業所はどのような人が利用している?
就労移行支援事業所は、障害や疾患がある方のうち、就労を希望される方が利用されます。初めての就職を目指される方も利用可能で、就職に向けて一人ひとりの課題や希望を踏まえた個別の支援計画の下で訓練を受けることができます。
また、仕事を離職・退職された方だけでなく、休職中で復職や再就職を目指す方にも利用されているのが特徴です。
「一生に一度しか利用できない」は本当?
インターネットなどでみられることも多い「就労移行支援事業所は一生に一度しか利用できない?」という疑問に対する答えは、「正解でもあり不正解でもある」といえます。
上述した障害者総合支援法の施行規則では、就労移行支援事業所の利用期間のみが定められています。ここで定められている期間によると、「原則として通算二年間の利用」とされています。
そのため、
・就職でサービスの利用を終了したが、退職して再就職を目指す場合
または
・体調が悪化したため、就労移行支援のサービス利用を終了した場合
のように、
就職前の利用期間が2年以下であった場合には、残っている期間を再度利用することが可能です。(※自治体により判断が異なるケースがあります。)
例えば、
就労移行支援事業所を8ヶ月利用して就職したが退職してしまい、再度利用を希望するケースでは、行政が就労移行支援事業所の利用が適当であると判断した場合には「24ヶ月-8ヶ月=16ヶ月間の訓練を受けることができます。
裏を返せば、一度の利用で既に通算2年間が経過し、利用期間が残っていない方にとっては「一生に一度しか利用できなかったサービス」という意味になります。
就労移行支援事業所を利用しても就職できない人はいる?
就労移行支援事業所を利用することで、「必ず就職できる」というわけではない点に注意が必要です。利用される方によって事情は異なりますが、たとえば「利用開始時期を焦り過ぎる人」や「自身の考えや行動を改めることに否定的な人」は、就職や復職ができずに事業所を退所されるケースもあります。
以下では、これらふたつのケースについてみていきます。
①利用開始を焦り過ぎる場合
体調が整わずに事業所へ通うことが困難な状態では、利用継続が難しいと行政から判断され、利用が中断となるケースもあります。
2年間という長いようで短い期間を有効に活用するためには、まずは最低限の体調を整えてから利用を開始することが大切です。そうすることで、利用開始後に安定して訓練が受けられ、就職活動も安定して行うことができます。
②自身の考えや行動を改めることに否定的な場合
障害上の理由から就労の困難さを感じられている場合、従来の方法や自分自身の在り方を変える必要が生じることもあります。それは大変な作業でもあり挑戦でもありますが、それらを乗り越えるからこそ、就労に結び付くことになります。
言い換えれば、その変化を拒んでしまう場合は、従来通り悩みや課題が解決されないことから、就職に行き詰まってしまうというケースもあります。
色々な就労移行支援事業所の中からどうやって選べばよい?
どの就労移行支援事業所であっても「就労を目指す」という目的は同じですが、事業所ごとに訓練内容や注力しているポイント、または雰囲気などに違いがあります。
事業所の見学や実習に行くと、実際に支援を行なっているスタッフから説明を受けたり、現状の相談をすることができます。また、実際に事業所の雰囲気や行っていることも確認できます。そのため、実際に見学や実習に参加することで、それだけ自身に合った事業所がどこかを判断しやすくなります。
ただし、気になった事業所を全て訪れるとなると大きな労力となり、情報過多となって混乱しかねません。事業所の見学は2~3ヶ所程度に留めることが、負担を減らすポイントといえます。
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就労移行支援事業所を利用する前に準備することは?
これから就労移行支援事業所の利用を考えている方が準備することとしては、主に「身体面・精神面」と「持ち物」の観点から考えることができます。
①身体面・精神面
就職後に毎日通勤するための体力や生活リズムに関しては、事業所での訓練を通じて身に付けていくので事前に満たしておく必要はありません。ただし、「家から事業所までの通所が全くできない」という状態であれば、通所が始まっても欠席が多くなりがちで、事業所の利用期間ばかりが減って勿体無いといえます。
そのため、心身共に最低限度で良いので体調を整えておくことが大切です。体調に関しては、事前に主治医と相談するとよいでしょう。
②持ち物
毎日の通所にあたっては、特に必要な持ち物などはありません。事業所でのプログラム中にメモを取るための文房具や、資料を持ち帰るためのカバンなど、一般的なもので十分です。
就労移行支援事業所を利用しても就職できなかった場合はどうすればいい?
就労移行支援事業所を利用すれば、「必ず就職できる」というわけではありません。
それでは、事業所を利用しても就職できなかった場合は、どのような選択肢があるのでしょうか。個々の障害や生活の状況によって異なりますが、いくつかの選択肢があります。
たとえば、就労移行支援事業所とは別枠で2年間の利用が可能な「自立訓練事業所」を利用して生活の土台の立て直しを集中的に図るという選択肢や、期間の定めを設けない形であれば就労継続A型やB型、またはデイケアといった選択肢もあります。
また、場合によっては就労移行支援事業所の利用を途中で中断し、上記のサービスや支援を利用して心身を整えてから、就労移行支援事業所の利用を再開するという方法もあります。
就労移行支援事業所を利用しても就労ができなかった場合は、「なぜ就職ができなかったのか」という点を考え、スタッフや主治医と相談しながら原因と解決策、つまり新しい選択肢を探すことが大切です。自分にあった選択肢を見つけ、最適な就労を実現しましょう。
「就労移行支援事業所」の利用でお悩みなら、ニューロリワークへご相談ください
「就労移行支援事業所は一生に一度しか利用できない」というのは、原則として2年間しか利用できないという意味では正しいものですが、その2年を分割して利用することもできるので、その意味では複数回の利用が可能です。
とはいえ、際限なく利用できるというものではないため、自分に合った方法で利用していくことが大切です。限られた期間を有効に活用できるよう、就労移行支援事業所の利用でお悩みの方はニューロリワークにご相談ください。
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA、photoAC)
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