「運動をしている人はメンタルが強い」という研究結果から学ぶ、メンタル不調の効果的な改善方法
メンタル不調によって離職や休職された方におすすめしたいのが、運動による心身の健康の実現です。適度な運動は、就労や復職を目指す上で大きな効果を発揮します。
運動には、抗うつ効果があるといわれています。薬物療法や心理療法と同じくらい、うつ病を軽減させる効果があるという研究報告もあります。また、運動を習慣にしている方は精神面が強く、幸せを感じやすいともいわれています。さらに、スポーツ選手や日ごろから運動をしている方は、うつ病の発症率が低いという報告もあります。
こうした研究結果から、いかに運動が心身の健康に重要であるかが分かります。とはいえ、健康のためにスポーツ選手と同じ量の運動を行うのは難しいかもしれません。
今回は、メンタル不調を改善する方法のひとつとして、どのような運動をどの程度すればよいのかという点についてご紹介します。(生活習慣を改善しながら就労を目指す「ニューロリワーク」の資料請求はコチラから)
1.運動の種類
メンタル不調を改善するための運動としては、ウォーキングやジョギング、ダンス、水泳といった有酸素運動がおすすめです。
有酸素運動とうつ症状に関する研究によれば、うつ症状のある方が有酸素運動を12週間実施したところ、うつ症状が軽減したという報告があります。なお、研究では軽いストレッチのようにエネルギー消費量が少ない運動の場合は、十分な効果が発揮されないということも分かっています。
このことから、たとえばウォーキングのように軽い運動をするときには、少し早めに歩くことを意識して消費量を高めるというのがポイントとなります。
2.運動の時間
2006年に行われた研究によれば、毎日30分の有酸素運動をする人はメンタルヘルスが良好であることが分かっています。
メンタル不調を改善させるために必要なトレーニングの時間については、さまざまな研究結果があります。ある研究では、週に60分~150分程度の運動であっても抑うつの予防やメンタルヘルスの維持に効果があることが示されています。
研究によって結果に多少の違いはありますが、多くの研究で共通しているのは「ある程度の活動量を推奨している」という点です。これらの点を踏まえて、有酸素運動を行う場合は1回あたり20分~30分が目安になるといえます。(運動などを通じて生活習慣を改善しながら就労を目指す「ニューロリワーク」の資料請求はコチラから)
3.運動の頻度
メンタル不調を改善するための運動の頻度としては、「週に5回」というのがひとつの目安です。週に5回と考えると多いと感じられるかもしれませんが、週に5回の運動が大きな効果をもたらすという研究報告が多くあります。
多くの研究に共通する部分として、運動がメンタルヘルスに効果的とされる研究では一定期間の運動を継続しています。つまり、重要なのは「1回の運動でどれだけ負荷をかけるか」ではなく、「少しずつでも良いので、頻度を増やして継続する」という点にあります。
4.まとめ
これまでにみてきたように、メンタル不調を改善させるためには息が少し上がる程度の有酸素運動を「1日30分程度×週5回」、継続的に行っていくことが望ましいといえます。
大切なのは、「続けること」です。そのためには最初から無理をするのではなく、「どの程度であれば続けられるのか」という考え方が重要です。運動を続けるにあたっては、何をハードルと感じているのかを明確にすることが第一歩といえます。ハードルとなっているのが運動の種類や強度であれば、まずは軽めの運動から始めてみましょう。また、時間や頻度がハードルになるのであれば、運動の時間を短くしたり、頻度を少なくしたりして取り組んでみることが大切です。
ときに離職や休職の原因にもなるメンタル不調。その改善には、継続的な運動が効果的であることが多くの研究で分かっています。なお、独力で継続的な運動を行うことが困難な場合は、運動プログラムなどが充実している就労移行支援事業所を活用するという選択肢もあります。
ニューロリワークでは、メンタル不調を改善し、就労や復職を目指するためのプログラムとして運動プログラムを始め、食事や睡眠に関するプログラムやコミュニケーションスキル、ビジネススキルに関するプログラム、さらには模擬就労などのプログラムを提供しています。プログラムや事業所の見学も随時承っていますので、ご興味のある方は是非お問い合わせください。パソコンやスマートフォンを活用したオンライン見学も実施しています。(事業所の見学をご希望の方はコチラから)
監修者
杉浦 理砂(脳科学者)
インクルード株式会社 ブレインフィットネス研究所 ディレクター
脳科学者、工学博士(応用物理)、東京都立大学特任准教授(現任)
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA、photoAC)
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