復職時の診断書のもらい方|安心して復職するまでの流れ
復職時に必要な診断書の取得に関して、「複雑で悩ましいプロセスが多い!」と考えている方も多いのではないでしょうか。復職を考える上で、どのようにスムーズに診断書をもらい、安心して職場に戻れるかは大きな心配事のひとつといえます。この点、正しい手順を理解することで、復職のための診断書を受け取るまでの負担を大きく軽減させることができます。
今回は、復職時に必要な診断書を取得するための具体的なステップをご紹介します。これまでの多くの方々の復職をサポートしてきたニューロリワークが、専門施設の立場から詳しく解説するので、不安があるという方も安心して復職の準備を進めることができます。
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復職時の診断書は本当に必要?それとも不要?
復職時の診断書を取得する上で、「本当に必要?それとも不要?」という疑問を持つ方は少なくありません。企業の制度や自身の症状によって、診断書が「必要」とされるケースもあれば「不要」とされるケースもあります。
復職にあたって診断書が求められる場合の主な理由としては、労働安全衛生法や企業の就業規則に基づき、病気やケガからの回復状況を確認して適切な業務に配慮する必要があるという点が挙げられます。特に精神疾患や長期の療養を経て復職する場合、診断書は自身の健康状態を客観的に示す大切な書類となり、手続き上の必要性だけでなく職場に復帰する上で不安を払拭する手助けになります。
とはいえ、上述したように全てのケースで診断書が必要になるというわけではありません。軽度の体調不良や精神疾患、または短期間の療養・休職後の復職では、診断書がなくともスムーズに復帰できる場合があります。この点に関しては、所属企業の規模や業種、または復職の背景によっても異なるため、事前に人事部門や担当者に確認することが大切です。
復職時の診断書のもらい方・復職までの流れ
復職に向けて手続きを進める上で、診断書の取得は重要なステップです。とはいえ、そのプロセスが複雑なため不安になるという方も多いかもしれません。以下では、復職時に診断書をもらう方法と、スムーズな復職のための流れについて詳しく解説します。
1.医療機関の受診
主治医や産業医に相談し、復職のタイミングや健康状態についてアドバイスを受けます。診断結果に基づいて医師が復職して問題がないと判断した場合は、診断書の作成へと進みます。
2.診断書の受け取りと内容確認
診断書には、主に「健康状態」「療養の経過」「業務への適応能力」などが記載されます。復職にあたって必要な情報が漏れなく記載されているか、事前に確認しておくことが大切です。
3.企業への提出
診断書を受け取ったら、まずは人事部門や復職担当者に提出します。提出にあたっては、企業の規則や必要書類について確認しておくとスムーズです。提出後は企業側で内容を確認し、復職に向けた具体的な対応が進められます。
4.復職面談の実施
企業によっては、診断書を基に復職に向けた面談が行われることがあります。面談では現在の健康状態や業務への適応状況について話し合い、職場復帰に向けたサポートや調整が行われます。必要に応じて、業務内容の変更や勤務時間の調整などが検討されることもあります。
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5.復職計画の策定
面談後、復職に向けた具体的な計画が作成されます。計画内容には主に復職のタイミングや勤務開始日、業務内容の調整などが含まれます。ここで作成された計画に基づいて、職場復帰の準備が整えられます。
6.復職とフォロー
復職が決定したら、業務を再開します。復職後も、健康状態や業務への適応について定期的にフォローが行われることがあります。
復職時の診断書フォーマット例
復職を考える際に重要な役割を果たす診断書。医師が作成するこの書類には、復職するための健康状態や、業務への適応能力が詳細に記載されます。復職を目指す上では、どのような情報が含まれているのかなど具体的なフォーマット例を知っておくことも大切です。
以下では、一般的に復職時の診断書に通常記載される内容やフォーマット例について詳しく解説します。
1.基本情報
診断書の冒頭には、診断書を発行する医療機関の名称、住所、電話番号、そして診断書を発行する医師の名前と資格、そして発行日が記載されます。これにより、診断書が正式なものであることが示されます。
2.休職者の基本情報
診断書の対象となる休職者の基本情報として、名前、生年月日、性別、職業などが記されます。
3.診断結果と経過
現在の健康状態や疾患の詳細、療養の経過について説明されます。主に病名や治療の内容、回復の進捗状況などが記されています。
4.業務への適応能力
業務に復帰するにあたっての適応能力や注意点が記載されます。また、業務に復帰するための条件や、推奨される勤務形態が含まれることもあります。復職を目指す際に最も参考にされる部分です。
5.復職に関する推奨事項
復職にあたって、医師からの具体的な推奨事項やアドバイスが記載されます。職場での配慮事項や業務内容の調整が含まれる場合もあります。
フォーマット例
【医療機関名】
〒123-4567 東京都中央区1-2-3
○○医院
電話番号: 03-1234-5678
【医師名】
XX XX(精神科医)
【発行日】
XXXX年 X月 X日
【患者情報】
氏名:○○ ○○
生年月日: XXXX年 XX月 XX日
性別:○○
職業:○○
【診断結果】
病名: うつ病
治療内容:精神療法、抗うつ剤による治療
経過:当院での治療を受けており、症状は安定しています。現在は投薬治療を継続しつつ、定期的なカウンセリングも実施しています。
【業務への適応能力】
現在の健康状態において業務に復帰する準備が整っていると判断されます。ただし、業務開始後も定期的な健康チェックを行うことを推奨します。また、業務の負荷が過度にならないよう配慮することが望ましいです。
【推奨事項】
業務の負荷が高すぎる場合、ストレスが再発する恐れがありますので業務量の調整や、柔軟な勤務時間の設定を検討してください。また、ストレス軽減のため、定期的な面談やサポートを提供することをおすすめします。
復職時に提出する診断書は、職場での復帰に向けた重要な資料です。診断書の内容を理解し、人事部や担当者と相談する際に役立てましょう。また、診断書の内容が正確であることを確認するため、受け取った際には十分に確認し、疑問点があれば医師に問い合わせることが大切です。
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復職時の診断書はいつもらえる?
復職を目指す上で診断書の取得は不可欠ですが、取得のタイミングや受け取り可能な期間について詳しく分からないという方もいるかもしれません。
一般的に、診断書をもらうまでにかかる期間は以下のとおりです。
1.医療機関の予約と受診(1〜2週間)
診断書が必要な旨を伝えて医療機関に予約を入れると、混雑具合や医師のスケジュールによりますが概ね1〜2週間で受診が可能となります。
2.診断書の作成(1週間程度)
受診後、医師は診断結果を基に診断書を作成します。診断書の作成には診断内容の確認や必要な情報の整理が含まれ、場合によっては追加の検査や詳細な評価が必要となる場合もあります。そのため、必ずしも即日に作成が完了するのではなく、1週間程度かかると想定しておく必要があります。
3.診断書の受け取り(数日)
診断書の作成が完了すると、医療機関から受け取りの連絡があります。通常であれば、数日以内に診断書を受け取ることができます。
以上の流れから、診断書の取得には全体で2〜4週間程度かかると見込んでおくとよいでしょう。復職の計画を立てる際にはこれらの期間を考慮して、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。早めに医療機関を訪れて診断書の発行手続きを始めることで、スムーズな復職準備が可能です。
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復職時の診断書より早く復帰することはできる?
休職期間中、症状の改善がみられた場合に「復職時の診断書で決められた時期よりも早く復帰することはできる?」と考える方も少なくありません。結論からいえば、必ずしも不可能というわけではありませんが、原則として診断書に記載された復職日よりも早く復帰することは推奨されていません。
診断書は医師が休職者の状態を総合的に判断し、適切な休養期間を設定しているため、無理な早期復帰は体調の再悪化や業務のパフォーマンス低下につながる可能性があります。
もしも早期復帰を希望する場合は、まず主治医に相談することが大切です。医師が状態の改善を確認し、早期復職が可能であると判断すれば、診断書にその旨を記載することもできます。もっとも、その場合も早期復職が身体や精神に与える影響を十分に考慮し、無理のない範囲で復帰することが重要です。また、企業側にも相談が必要です。企業によっては診断書通りの休養を徹底している場合や労働条件に影響が生じるという理由から、早期復帰に対して慎重になるケースもあります。
以上の理由から、医師の判断と企業の方針を踏まえた上で無理のない形で復職を目指すというのがポイントとなります。
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復職時の診断書をもらえないこともある
復職に際しては、診断書を提出することが求められるケースが一般的ですが、必ずしも診断書がすぐに発行されるとは限りません。診断書がすぐに発行されない主な理由としては、以下のものが挙げられます。
1.医師の慎重な判断が必要と判断した場合
診断書は、医師が休職者の健康状態を総合的に判断した上で発行するものです。復職可能かどうかを的確に判断するため、医師は症状が完全に安定したと確認できるまで診断書の発行を控えることがあります。特に精神疾患や長期にわたる治療が必要な病気の場合、焦って復職を決定することで再発のリスクが高まることを懸念し、医師の慎重によって発行されないケースはめずらしくありません。
2.別途で検査や評価が必要な場合
復職判断には、単なる問診だけでなく追加の検査や評価が必要な場合があります。たとえばストレスチェックや心理評価、または心電図や血液検査などが求められることもあります。その結果を待って診断書が作成されるため、発行に時間がかかることがあります。
3.復職後の職場環境の改善がみられない場合
職場環境が原因で休職に至ったケースでは、復職後の再発を防止するために職場環境を改善する必要があります。そのため、休職期間中に症状が改善しても復職後の環境が以前のままである場合は復職許可が出ないことも考えられます。この場合、企業側に事情を伝え、具体的な改善策が求められることになります。
復職時の診断書がすぐに発行されない場合、その原因は医師の慎重な判断や必要な検査の実施、職場環境の課題など、さまざまな要因が考えられます。診断書が遅れそうな場合は医師と早めに相談し、企業側に事情を伝えておくことが大切です。なお、診断書がない状態でもできる準備を進めることで、スムーズな復職を目指すことが可能です。最終的には医師の適切な判断に基づいた復職が健康維持と長期的な安定した働き方に繋がるため、焦らず慎重に対応していくことが重要なポイントです。
復職時の診断書の費用は従業員負担になる
復職に際して必要となる診断書の費用は、企業ではなく休職者本人が負担するケースが一般的です。この点、「復職時の診断書は会社が求めるものだから、会社が費用を負担するのでは?」と考えられることも多くありますが、実際にはそうではありません。
一般的に診断書の費用が従業員負担になる理由は、法律的な枠組みや企業文化に由来していると考えられています。確かに企業は従業員の健康管理に対する責任を負っていますが、それは主に就業中の労働環境や安全に関わる部分に限定されています。この点、復職時の診断書は基本的に医師と休職者との間のやり取りに基づいて発行されるものであり、医療行為の一環とみなされます。そのため、診断書の発行費用は従業員本人が医療サービスを受ける際の費用と同様に、自ら負担するものと考えられています。
復職後の再休職の確率を下げるには?
診断書を取得して復職を果たした後は、いかにして再休職を防ぐかという点が重要となります。復職を果たすことそのものは最終的な目的ではなく、復職後に長期にわたって安定して働くことを目標とすることが大切です。
こうした観点から、休職期間中には休職の原因や解決策を明確にして、復職前から再発防止策を確立しておくことが重要なポイントとなります。
休職期間の過ごし方としては、復職の支援を行っているリワーク施設の利用が効果的です。リワーク施設によっては復職までサポートする定着支援や、医療機関・企業との連携も行っているので、復職にあたっての不安や悩みを解消することができます。自身に合ったリワーク施設選びこそが、復職のための第一歩となります。
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