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復職に重要な体力、どうやってつけていくと良い?

「復職するには、どれくらいの体力が必要?」

ある程度の休職期間を経て、健康状態の回復の兆しを感じながらも復職に対して「まだ少し不安を抱えている」という方は決して少なくありません。心が回復してきても、身体の回復が追いついていないというのは休職者に多くみられる傾向でもあります。また、うつ病などで休職した方の多くが、復職後に「体力の低下」が原因で再び体調を崩してしまうというケースもあります。

「復職を目指して通院はしているけれど、リワークなどの訓練・支援を受けていない」という方が特に押さえておくべきポイントとして挙げられるのが、「復職に必要な体力の目安」と「体力を無理なくつけていく方法」です。日々の生活の中での少しの工夫で、効果的な体力作りは十分に可能です。

ここでは、これまでに多くの復職支援を行ってきたニューロリワークの知見を基に、再休職を防ぎ、安定した復職を成功させるための体力作りのポイントについて詳しく解説していきます。「ハードな運動はできない」「疲れやすい」という方でも、取り組める方法はたくさんあるので、自身に合った効果的な方法を押さえておくことが大切です。
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1.復職に向けて、体力作りは重要

体力作り
うつ病や適応障害などが原因で休職に至ると、復職に向けて考えるべきことはたくさんあります。心の回復はもちろん大切ですが、実はそれと同じくらい「体力の回復・維持」も重要な要素です。体力が不足していると、復職だけでなく、復職後に安定して仕事を継続することが難しくなります。

休職中は外出する機会が減り、日常的な活動量も大きく落ち込む傾向にあります。通勤や仕事中の移動、または会議や人とのやり取りなど、これまで職場で当然のように行っていた行動から長期間にわたって離れることで、心だけでなく体も「働くモード」から離れてしまいます。たとえデスクワーク中心の仕事であっても、通勤や8時間以上の着席、対人応対などには一定の体力が不可欠です。

復職を希望している方の中には、「気持ちは前向きだけど午前中に動くだけで疲れてしまう」「週に数日、外出できるようにはなったけど毎日はまだ難しい」という状態の方も少なくありません。このように体力が不十分なまま復職してしまうと、再休職につながる可能性が高くなるため注意が必要です。

だからこそ、復職を目指す上で「働くために必要な最低限の体力があるか」を確認し、必要であれば段階的に体力を取り戻すトレーニングを行うことが不可欠となっています。体力作りは一朝一夕ではできませんが、継続的に取り組むことで着実に力をつけていくことができます。

体力がついてくると、自然と行動範囲が広がり、自己効力感(=自分は「できる」という感覚)や達成感も生まれやすくなります。これらはメンタルの回復にも良い影響を与えるため、心と体の回復を並行して進めることが安定した復職のためには理想といえます。

体力作りは、必ずしもジムに通ったり激しい運動をする必要があるというわけではありません。最初は「毎日決まった時間に散歩する」「週に2日〜3日は外出してみる」といった生活リズムの安定から始めるだけでも、十分なトレーニングになります。体の健康と心の健康には強い関連性があることから、無理のない範囲で少しずつ生活に活動を取り入れていくことが、復職への確かな一歩になります。

復職に向けた準備では、自己理解や対人関係のスキルなども大切ですが、「体力」が土台にあることで、様々なスキルが活かせるようになります。すなわち、体力があるからこそ、学んだことを日常や仕事の中で発揮できるようになります。こうした理由から、体力作りは「復職の土台」であり、最も基本でありながら最も重要な要素であると考えられています。
(関連記事:復職に向けた効果的なトレーニングとは?スムーズに進めるポイントを紹介

2.復職に必要な体力の目安は?

必要な体力の目安
復職に向けて「体力が重要」ではあるものの、どの程度の体力があれば問題なく復職ができるのかという点については、具体的な目安が分からずに不安に感じるという方も多いかもしれません。特にうつ病や適応障害で休職した場合は、回復の過程で「気持ちは前向きだけど、まだフルタイムで働ける自信がない」といった状態になるケースも少なくありません。そのため、復職の際に求められる「体力の目安」を把握しておくことが大切です。

復職を果たす上で必要な体力には明確な基準があるというわけではありませんが、復職後も安定した就労を実現するためにはいくつかの共通した目安があります。

主な目安としては、以下の基準が挙げられます。

・毎朝決まった時間に起きて、朝食をとる生活リズムが整っている。
・週5日、午前10時頃から午後3時頃まで、外出して活動できる体力がある。
・通勤に相当する移動(往復1時間程度)を無理なくこなせる。
・1日6時間〜8時間の「座って作業する」という行動を継続できる集中力・持久力がある。
・仕事後にある程度の疲労感はあっても、翌日に大きく影響しない程度の回復力がある。

上記は一般的な目安ですが、医療機関やリワーク施設でも同様の基準が用いられています。特に「週5日の活動ができるか」は、実際の職場復帰に向けた重要な判断材料となっています。

たとえば、最初は週2日~3日、午前中だけ活動するところから始め、少しずつ活動日数や時間を延ばしていき、最終的に「週5日、5時間〜6時間の活動をしても大きく体調を崩さない」という状態になれば、復職の準備が整いつつあると考えられます。

なお、必ずしも「体力=運動能力」ではないという点にも注意が必要です。ここでいう体力とは、日常生活を安定して送るための生活体力や集中力、精神的な持久力を指します。たとえウォーキングなどで体力的には元気に見えても、「長時間の作業で疲れてしまう」「対人コミュニケーションで体力を極端に消耗する」という場合は、まだ復職の準備が十分とはいえないこともあります。そのため、復職を目指す際は「身体的な体力」と「日常生活を安定して過ごせる体調の安定度」の両面から、自分の状態を把握することが大切です。

こうした判断を自分一人で行うのは難しい場合は、医師やリワーク支援者など、第三者の視点を交えながら現在の体力を客観的に評価し、必要な準備を整えていくことが重要となります。一人で抱え込むのではなく、周囲への協力を求めることもまた、無理のない復職への近道となります。
(関連記事:復職を判断する条件・基準とは?安心して復職できるまでの流れもご紹介

3.体力作りに重要なポイント

体力作りに重要なポイント
復職に向けて体力を取り戻すには、ただ漠然と「がんばる」「無理をしない」といった気持ちだけでは高い効果が期待できません。効率的に体力をつけるには、「食事」「睡眠」「運動」といった基本的な生活習慣を整えることが不可欠です。これらはひとつひとつが密接に関係しており、どれかひとつでも欠けると他の取り組みの効果が半減することにも繋がりかねません。

以下では、体力作りに重要な3つのポイントについてみていきます。

ポイント(1)栄養バランスの取れた食事を心がける

栄養バランスの取れた食事
体力をつけるためには、日々の食事が重要となります。休職中は食欲が落ちたり食事の時間が不規則になったりしやすいため、まずは「3食をきちんと採る」ことを目指すのが第一歩です。体を動かすエネルギー源である炭水化物や筋肉の修復に必要なタンパク質、体の調子を整えるビタミン・ミネラルなど、バランスの良い食事が体力回復の基本となります。

特に意識すべき点のひとつとして、「朝食を抜かないこと」が挙げられます。朝ごはんを食べることで体内時計が整い、日中のエネルギー消費がスムーズになります。脳の働きも活発になり、活動的な1日を過ごすための基盤が作られます。

うつ病などの回復期には、トリプトファンというアミノ酸を多く含む食品(大豆製品、バナナ、卵など)を摂ることが推奨されています。摂取によってセロトニンの分泌が促され、気分の安定にもつながります。また、鉄分やビタミンB群が不足すると疲れやすくなるため、レバーや緑黄色野菜、魚なども意識して取り入れたい食材として挙げられます。

無理な食事制限やサプリメントに頼るのではなく、「温かいものをゆっくり食べる」「よく噛んで消化を助ける」といった基本を丁寧に実践することで、心と体の栄養バランスが整い、効果的な体力作りが可能となります。

ポイント(2)質の良い睡眠を確保する

質の良い睡眠
体力作りの土台として欠かせないのが「質の良い睡眠」です。睡眠中は体の修復や脳の休息が行われ、心身の回復が進みます。言い換えれば、日頃から適度な運動や栄養バランスを意識しても、睡眠が不十分では体力の回復はあまり期待できません。

うつ病などのメンタル不調があると睡眠リズムが乱れやすく、夜に眠れず朝に起きられないという状態が続くケースもあるので、基本的な過ごし方を忠実に守っていくことが大切です。

休職期間中の過ごし方としては、「毎日同じ時間に起きること」から始めるのが基本です。朝起きて太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜の眠気も自然に訪れやすくなります。理想的な睡眠時間は人によって異なりますが、目安としては1日7時間〜8時間と考えられています。「とにかく長時間の睡眠をとる」ということが目的ではなく、「一定の時間に就寝・起床する習慣をつける」という点が大きなポイントです。

就寝前のスマホやカフェインの摂取は眠りを浅くしてしまう原因となるため、寝る1時間前からはリラックスした環境をつくることが重要です。また、アロマや軽い読書など、自分なりの「眠る前のルーティン」を取り入れると効果が期待できます。質の良い睡眠が取れるようになると日中の集中力や活動意欲も高まり、自然と体力の土台が築かれていきます。

ポイント(3)無理のない運動習慣を身につける

運動習慣
体力作りの基本として運動や食事と同じくらい重要なものといえば、「運動」です。とはいえ、うつ病や適応障害などで休職している方にとっては、最初から激しい運動をするのは負担が大きく、逆効果になってしまうというケースも考えられます。重要なのは、「無理なく継続できる」運動習慣を生活の中に少しずつ取り入れていくことです。

手軽な運動として効果が期待できるのは、1日20分~30分程度のウォーキングです。日中の屋外での運動は適度な全身運動になるだけでなく、太陽光を浴びることでセロトニンの分泌が促進され、メンタルにも良い影響を与えると考えられています。最初は「近所のスーパーマーケットまで歩いていく」「公園を10分だけ歩く」といった軽いものでも、習慣になることで効果が期待できます。

室内でできる活動としては、ストレッチやヨガなどが効果的です。血流を促進して自律神経のバランスを整える効果があり、大きな負荷がなく取り組めることが特徴です。特に朝や寝る前に取り入れることで、生活リズムが整いやすくなります。「体を動かすこと=心の調子を整えること」でもあるので、体力作りの一環として、楽しみながら取り組むのがおすすめです。

継続のコツは、「完璧を目指さない」という点です。毎日でなくても週に数回、少しでも体を動かす習慣が身につくことで、健康のための大きな一歩となります。無理なく、そして確実に積み重ねることで、健康な体を実現することができます。
(関連記事:段階別、休職期間中の適切な過ごし方【初期・中期・後期】

4.復職のための体力作りに適したリワークプログラム例

リワークプログラム例
復職に向けて体力をつける重要性を理解しながらも、何から始めれば良いのか分からないケースや、いざ始めても継続できないというケースもみられます。こうしたケースを防ぐために活用できるのが、医療機関や就労支援施設で提供されている「リワークプログラム」です。リワークプログラムは、心の安定とともに段階的に体力や生活リズムを整える支援が受けられるため、復職への取り組みとして高い効果が期待されています。以下では、体力作りに特に効果的なリワークプログラムの一例を紹介します。

(1)ウォーキングやストレッチなどの軽運動プログラム

ウォーキング
体力作りの基礎として多くのリワーク施設で取り入れられているのが、「軽い運動プログラム」です。朝のウォーキングやラジオ体操、ヨガやストレッチなど、身体への負荷が少ない運動から始められることが多く、自分のペースで無理なく続けられるのが特徴です。

ウォーキングは日光を浴びながら適度な有酸素運動ができるため、生活リズムを安定させる役割を果たします。また、ストレッチは筋肉の緊張をほぐし、血行を促進して体を整えるため、精神的な緊張を和らげる上でも効果的です。

こうした運動は、体力の土台を作るだけでなく「毎日通う」「朝から活動する」という生活習慣の確立にも役立ちます。慣れないうちは体が重く感じることもありますが、スタッフや仲間と一緒に取り組むことで継続しやすくなるのがリワーク施設を活用する上での強みでもあります。

(2)模擬就労・タイムマネジメント訓練

タイムマネジメント訓練
生活リズムが整ってくると、次に重要になるのが「模擬就労」や「タイムマネジメント訓練」です。実際の職場を想定した時間割に沿って1日を通して集中力を保つ訓練を行うことで、復職後の環境に近い働き方を体験することができます。

こうしたプログラムでは、パソコン作業や軽作業、書類作成などを一定時間こなすことで、持続的な作業能力や集中力を養っていきます。また、開始時間や終了時間が決まっているため規則正しい生活が習慣づけられ、「朝決まった時間に起きて出かけること」が自然と身につくようになります。

日々の訓練を重ねることで、「疲れたときの対処法」「中だるみの乗り越え方」など実践的なセルフケアの方法を身につけ、職場復帰後に長時間働ける体力と心の準備を段階的に整えていきます。

(3)グループワークによるコミュニケーション訓練

ブレインストーミング
復職後は、「人とのコミュニケーション」も不可欠となります。そのため、対人関係での気疲れやストレス耐性を養う訓練も、体力作りの一環として重要です。リワークプログラムでは、他者との交流を促すグループワークやディスカッション、ロールプレイなども行われることもあります。

こうしたプログラムでは、自分の考えを言葉にする力や相手の話を受け止める力、さらには場の空気を読む柔軟性なども養っていくことになります。他にも、他の参加者との「悩みの共有」や「成功体験の共有」を通じて心理的な安心感や励ましを得られることも多く、精神的な回復にとっても大きな支えとなります。

このようなコミュニケーション訓練を継続することで、精神的な疲労に対する耐性が少しずつ高まり、復職後の対人ストレスに備える力が育っていきます。日常的なやりとりにも自信を持てるようになるという点で、実際の職場復帰に大きく役立つトレーニングとなっています。
(関連記事:リワークプログラムとは?プログラム内容と気になる費用を解説

5.自分に合ったリワーク施設で、無理なく体力を整える

体力回復
復職を目指す上で、不可欠ともいえる体力づくり。とはいえ、最初から自分ひとりで運動や生活リズムの改善に取り組むのは難しいものです。そんなときに活用できるのが、専門的な支援が受けられるリワーク施設です。施設によって違いはあるものの、精神科医や公認心理師、精神保健福祉士などさまざまな専門家がチームで支援にあたっており、体調や回復段階に応じて無理のないペースで体力や生活リズムを整えるプログラムを提供しています。

また、リワーク施設ではこれまでに数多くの復職を支援してきた経験から、体力づくりで躓(つまず)きやすいポイントや復職に必要な体力の目安など、具体的なアドバイスが受けられるのも大きな魅力です。

「体力がまだ戻りきっていないけれど復職を意識し始めている」「自分に足りないのは何かを知りたい」という方は、まずはリワーク施設に相談してみるのがおすすめです。第三者の客観的な視点から、自分では気づきにくい課題や可能性が見えてくることもあります。

ニューロリワークでは、復職や再就職の支援に加えて、日々の運動習慣や生活リズムの安定を目的としたプログラムも多く提供しています。見学や体験参加も受け付けているので、復職や体力に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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