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休職中の社会保険料|支払い方法と払えないときの対処法を解説

休職中の社会保険料の支払いについてお悩みではありませんか?「給与がないのに社会保険料を支払わなければならないのか」「どうやって支払えばいいのか」といった疑問を抱えている方も多いでしょう。

本記事では、休職中でも社会保険料の支払い義務が発生する理由から、具体的な支払い方法、そして支払いが困難な場合の対処法まで、詳しく解説していきます。休職中の経済的な不安を少しでも軽減し、安心して療養に専念できるよう、必要な知識と実践的な対策をお伝えします。

休職中でも社会保険料の支払いはなぜ必要?

休職中の社会保険料

休職中は収入が途絶えることが多いにもかかわらず、社会保険料の支払い義務は継続します。この一見矛盾した状況に戸惑う方も多いのではないでしょうか。

ここでは、その理由と仕組みについて詳しく見ていきましょう。

雇用契約が継続している間の支払い義務

休職とは、労働契約そのものは維持したまま、一時的に労務への従事を免除または禁止されている状態を指します。つまり、会社との雇用関係は続いているため、社会保険の被保険者資格も維持されているのです。

健康保険法第161条や厚生年金保険法第82条では、被保険者と事業主の双方に保険料の納付義務が定められています。この法的根拠により、たとえ休職中で給与の支払いがなくても、社会保険料の支払い義務は免除されません。

実際の運用では、多くの会社が従業員負担分を一時的に立て替えて、健保組合や日本年金機構に納付しています。これは、保険料の納付を怠ると事業主が責任を負うことになるため、確実に納付するための仕組みといえるでしょう。

給与ゼロでも保険料額が変わらない仕組み

「休職で給与がゼロになったのだから、社会保険料も減額されるのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、社会保険料は実際に支払われる給与額ではなく、「標準報酬月額」という基準に基づいて計算されています。

標準報酬月額は、毎年4月から6月に支払われた給与の平均額をもとに7月に決定され、原則として翌年6月まで1年間固定されます。この仕組みにより、休職中で無給になっても保険料額は変動しません。

休職を理由に標準報酬月額を引き下げることは制度上認められていないため、保険料の減額を期待することはできないのが現実です。この点を理解しておくことで、休職中の経済的な計画を立てやすくなるでしょう。(※ただし、産前産後休業や育児休業時は保険料免除制度があります)

休職中の社会保険料、3つの支払い方法

休職中の社会保険料の支払い方法

給与から天引きできない休職中の社会保険料は、どのように支払えばよいのでしょうか。ここでは、一般的に行われている3つの支払い方法を紹介します。重要なのは、どの方法を選ぶにせよ、事前に会社と取り決めを行い、就業規則などでルールを明確にしておくことです。

会社指定口座への毎月の振り込み

会社によっては、立て替えた従業員負担分の社会保険料を、毎月指定された口座へ振り込む方法がとられます。会社から請求書が発行され、従業員は期日までに振り込みを行います。

この方法のメリットは、従業員にとって一括での大きな負担を避けられる点にあります。会社側にとっても、未回収リスクを低減できる利点があります。たとえば、毎月月末に請求書を送付し、翌月末までに振り込んでもらうといった具体的な手順を決めておくことで、双方にとって分かりやすい運用が可能になります。

傷病手当金からの代理受領による相殺

業務外の病気やケガで休職している場合、健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。この傷病手当金を活用して社会保険料を支払う方法も選択肢の一つです。

本来、傷病手当金から社会保険料を直接控除することはできませんが、従業員本人の同意があれば、会社が傷病手当金を代理受領し、社会保険料を差し引いた上で残額を従業員に支給することができます。傷病手当金支給申請書の受取代理人欄に会社の口座を記載することで、この方法が可能になります。

この方法は、従業員が別途振り込み手続きをする手間が省け、会社側も確実に社会保険料を受領できるため、双方のトラブル防止につながります。

復職後の給与・賞与からの精算

休職期間が比較的短期間の場合や、従業員の経済状況により毎月の支払いが困難な場合は、会社が社会保険料を立て替えておき、復職後の給与や賞与から控除して精算する方法もあります。

特に賞与は通常の給与より高額になることが多いため、一度にまとまった金額を精算しやすいというメリットがあります。ただし、賃金からの控除は労働基準法第24条で原則禁止されているため、必ず従業員の事前同意を書面(相殺合意書や立替金弁済合意書)で得ることが不可欠です。

支払いが困難な場合の対処法と注意点

支払いが困難な場合の対処法

経済的な事情により、休職中の社会保険料の支払いが難しい場合もあるでしょう。そのような状況での対処法と、注意すべき点について説明します。

会社による社会保険料の立て替え

従業員が社会保険料を支払えない場合、一般的に会社が本人負担分と会社負担分の両方を健保組合や日本年金機構に納付する「立て替え」を行います。立て替えた費用は、復職後に賞与から控除したり、分割で返済してもらったりする方法もあります。

しかし、立て替えはあくまで一時的な措置であり、従業員には返済義務が伴います。休職が長期化したり、そのまま退職に至ったりした場合、会社にとって立て替え費用の回収が困難になる可能性もあります。

立て替え払いにおける労使間の合意形成

立て替え金の返済について、給与や賞与、退職金から相殺する場合は、必ず事前に従業員の「相殺合意」を書面で得なければなりません。労働基準法では賃金の全額払いが原則とされており、労働者の自由意思に基づく同意がない限り、相殺は認められないからです。

休職願や復職願に、立て替え金の返済義務に関する一文を記載しておくことも有効です。これにより、双方の認識を合わせることができ、後のトラブルを防げます。

ここで重要となるのが、労働者個人の自由な意思に基づく「相殺の合意」です。 立て替え金のような個別の債務を賃金から控除する場合、社内預金や組合費などを対象とする「賃金控除に関する労使協定」とは別に、必ず本人の明確な同意を書面で得る必要があります。

もしこの個別合意なく一方的に控除すると、企業側は労働基準法違反となり30万円以下の罰金が科される可能性があるため、適切な手続きを踏むことが重要です。

社会保険料の支払いが免除される2つのケース

社会保険料の支払いの免除

原則として支払い義務のある社会保険料ですが、特定の条件下では免除される制度があります。

ここでは、産前産後休業と育児休業の2つのケースについて説明します。

産前産後休業を取得する場合

 

産前産後休業(産休)期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が従業員負担分・会社負担分ともに免除されます。この制度は平成26年4月から導入され、出産に伴う経済的負担を軽減することを目的としています。

免除の対象期間は、産休開始月から終了予定日の翌日が属する月の前月までです。たとえば、9月10日に産休を開始して12月11日に終了した場合、9月分から11月分までの社会保険料が免除されます。ただし、この免除は自動的に適用されるわけではなく、事業主が日本年金機構に申請する必要があります。

育児休業を取得する場合

満3歳未満の子を養育するために育児休業を取得する場合も、産休と同様に健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。免除期間は、育児休業開始日が含まれる月から、終了日の翌日が含まれる月の前月までです。

また、1ヶ月未満の休業でも14日以上の育児休業を取得した場合は、その月の保険料が免除される特例もあります。ただし、賞与月に1ヶ月未満の育児休業を取得する場合など、一定の条件では免除にならないケースもあるため注意が必要です。免除を受けるためには、事業主が「育児休業等取得者申出書」を提出しなければなりません。

社会保険料以外の税金(雇用保険・所得税・住民税)の扱い

社会保険料以外の税金

ビジネス 税金イメージ

休職中の経済的な負担は社会保険料だけではありません。雇用保険料、所得税、住民税についても、それぞれ異なる取り扱いとなります。以降で詳しく解説します。

給与支払いの有無で変わる雇用保険料と所得税

雇用保険料と所得税は、どちらも実際に支払われた給与額に対して発生する税金です。そのため、休職中で給与の支払いがなければ、これらの支払いも不要となります。なお、休職中にそのまま退職する場合は失業などの給付にも関わるため、ハローワークなどへの確認が必要となります。

注意すべき点としては、傷病手当金は非課税所得であるため所得税はかかりませんが、休職中でも役員報酬などが発生している場合は課税対象となります。また、年末調整で所得税の還付・徴収が行われた際には、適切な処理が必要になることもあります。

前年所得で課税される住民税の納付方法

住民税は前年の所得に基づいて課税額が決まるため、休職中で無給であっても支払い義務が発生します。通常は給与から天引き(特別徴収)されていますが、休職中は天引きができないため、別の方法で納付しなければなりません。

主な方法としては、「普通徴収」に切り替えて、従業員本人が納付書を使って支払う方法があります。市区町村から送付される納付書に従い、銀行やコンビニエンスストアなどで支払います。

もう一つの方法として、会社に一時的に立て替えてもらい、復職後に精算することも可能です。どちらの方法を選ぶかは、従業員の経済状況や会社の方針により決定されます。

支払いに関する不安は会社や専門家へ相談を

休職中の社会保険料や税金の支払いは、心身の不調で療養中の方にとって大きな経済的・精神的負担となることでしょう。給与が途絶える中での固定費の支払いは、将来への不安を増大させる要因にもなりかねません。

このような状況で重要なのは、一人で抱え込まずに会社の労務担当者に相談することです。支払い方法の選択肢や立て替えの可否など、会社によってさまざまな支援制度が用意されている場合があります。また、傷病手当金の申請方法や、利用できる公的支援制度についても情報を得ることができるでしょう。

事前に支払いに関するルールを労使双方で確認し、合意しておくことが、後のトラブルを防ぎ、安心して療養に専念するために不可欠です。休職は誰にでも起こりうることであり、適切な支援を受けながら回復を目指すことが大切です。

休職からの復職を目指す過程では、経済的な不安だけでなく、「本当に職場に戻れるのか」「また同じように働けるのか」といった心理的な不安も大きいものです。そんな時は、復職支援の専門機関を活用することも一つの選択肢です。ニューロリワークでは、うつ病や適応障害などで休職・離職された方の復職・再就職(※初めての就労を含む)を支援しており、生活リズムの改善から職場でのコミュニケーションスキルの向上まで、包括的なプログラムを提供しています。経済的な不安と向き合いながら、着実に復職への道を歩んでいけるよう、専門的なサポートを受けることも検討してみてはいかがでしょうか。

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