休職の申請の流れと手続き|診断書のもらい方や会社への伝え方
体調不良やメンタルヘルス不調などで仕事を続けることが難しくなった場合、適切な手続きを踏んで「休職」を申請することが重要です。休職は、診断書の提出や会社への報告などいくつかのステップを経て進める必要があり、流れを把握しておくことでスムーズに申請できます。
本記事では、休職申請の具体的な流れを4つのステップでわかりやすく解説し、診断書のもらい方や会社への伝え方、休職中の手続きについてもご紹介します。安心して療養期間を過ごし、復職につなげるための参考となります。
休職を考え始めたら|申請前に確認すべきこと

メンタルヘルスの不調で仕事がつらいと感じたとき、休職は治療に専念し、回復するための大切な選択肢です。ただし、休職制度は法律で定められたものではなく、就業規則で定めがある場合に利用できる制度で会社ごとにルールが異なります。そのため、本格的な手続きに入る前に、まず自社の「就業規則」を確認することが不可欠です。
就業規則で確認すべき主なポイントは以下のとおりです。
- 休職制度の有無と適用条件
- 休職できる期間の長さ
- 休職中の給与や手当の有無
- 申請に必要な書類(診断書、休職届など)
これらの情報を事前に把握しておくことで、スムーズに休職手続きを進められます。
【4ステップ】休職申請の具体的な流れと手続き

休職制度を利用するには、医師の診察から会社への正式な申請まで、いくつかの段階を踏む必要があります。ここでは、休職申請の具体的な流れを4つのステップに分けて解説します。
それぞれの段階で必要となる対応や注意点を理解することで、スムーズに手続きを進めることができます。
Step1:医師への相談と診断書の取得
自身のメンタル不調を感じたら、まず精神科や心療内科の医師、または会社の産業医に相談することが最初の一歩です。医師の診察を受け、休職による療養が必要と判断された場合に「診断書」を発行してもらいます。
多くの会社では、休職申請の際に診断書の提出を求められます。就業規則で求められている場合には、必ず準備しておきましょう。診察時に診断書の発行を依頼しておくとスムーズに手続きを進められます。
Step2:会社への報告と休職の申し出
診断書を取得したら、直属の上司や人事部に休職の意向を伝えます。相談のタイミングや切り出し方に悩む場合は、まず「体調不良のため、医師から療養の指示が出た」という事実を客観的に伝えることが大切です。
この段階で診断書の内容を提示し、休職期間の見通しや今後の手続きについて具体的に相談を進めていきましょう。就業規則で定められた休職の適用条件なども、この時点で確認しておくと安心です。
Step3:休職届など必要書類の提出
会社への申し出後、正式な申請書類を提出します。主な提出書類は「休職届(休職願)」と「医師の診断書」の2種類です。休職届には「休職期間」「休職理由」「休職中の連絡先」といった必須項目を記載します。
休職理由については「病気療養のため(詳しくは診断書記載の通り)」などと簡潔に記載すれば問題ありません。書類は人事部や総務部に提出し、休職の許可を得る流れとなります。
Step4:業務の引き継ぎと休職中の連絡方法の確認
休職が承認された後、実際に休みに入る前の最終準備を行います。職場への影響を最小限にするため、後任者や上司へ担当業務の引き継ぎを行うことが重要です。業務の引き継ぎは、なるべく休職に入る前に済ませておくと安心できます。
また、休職中の会社との連絡方法(連絡頻度、連絡手段、担当窓口など)を事前に決めておくことで、療養に専念しやすくなります。
休職中の手続きと生活で知っておくべきこと

休職が承認されて療養期間に入った後も、いくつか重要な手続きがあります。特に、経済面での不安を軽減するための制度や、休職中でも継続して支払う必要がある費用について、正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、休職中に知っておくべき「傷病手当金」の申請方法と、社会保険料・住民税の取り扱いについて解説します。
経済的な支えとなる傷病手当金の申請
休職中は給与が支払われないケースが多いため、「傷病手当金」制度を活用することが重要です。傷病手当制度では、健康保険から標準報酬日額のおよそ3分の2に相当する金額が支給されます。傷病手当金の申請には、本人・会社・医師がそれぞれ記入する申請書が必要となります。
具体的には、会社が加入している健康保険(全国健康保険協会または健康保険組合)から、傷病手当金支給申請書を取り寄せた上で、本人・医師・会社用の各用紙に、それぞれが記入します。全ての書類が揃った後、会社経由か本人が直接、会社が加入している健康保険へ提出します。
申請から支給までには1〜2ヶ月程度かかる場合があるため、休職手続きと並行して早めに会社の人事担当者などに相談しておきましょう。
社会保険料・住民税の支払い
休職中も会社との雇用関係が続くため、社会保険料の納付は継続されます。通常は給与から天引きされますが、休職中は給与が支払われないため、支払い方法を事前に会社と確認しておく必要があります。
たとえば、会社が立て替えて復職後に精算する方法や、自分で会社が指定する口座に振り込む方法などがあります。また、住民税についても前年の所得に基づいて課税されるため、支払い義務がある点に注意が必要です。給与からの天引き(特別徴収)ができなくなる場合、普通徴収(自分で納付)に切り替える手続きが必要になるため、会社や自治体に確認しておきましょう。
適切な手続きで安心して療養し、ニューロリワークで復職へ
休職申請の流れを理解し、会社と適切にコミュニケーションを取りながら手続きを進めることが、安心して療養に専念するための第一歩です。休職期間は心身の回復を図るだけでなく、これからの働き方を見つめ直す貴重な時間と捉えることができます。
療養後の復職に向けては、「ニューロリワーク」のような復職支援(リワーク)施設が有効な選択肢となります。生活リズムの構築から休職原因の分析、再発防止策の検討、職場との連携まで、専門スタッフによる個別サポートを受けながら、長く安心して働き続けられる準備を整えられます。まずはお気軽にご相談ください。
監修者
山下 真由美
特定社会保険労務士、行政書士
東京都港区で行政書士及び社会保険労務士事務所を開業し、労働社会保険の手続きや労務相談はもちろん、外国人の在留資格に関する手続きから労務管理までトータルで承ることが可能です。そのほかにも、著作権不明者の作品を利用するための裁定申請や相続・遺言を取り扱っています。頼れる街の法律家として、ご相談いただいた一つ一つの事件に丁寧に向き合い、お役に立てるよう精一杯のお手伝いをさせていただいています。
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