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休職 復職 退職

復職? 退職? 再就職? 決断する前に。
休職原因の分析と対策で安定就労を実現させる

休職すると、復職か退職かで悩むことがあるかもしれません。悩む理由は、「職場に居場所がないから」「嫌な上司と顔を合わせたくないから」「与えられた仕事量をこなせる気がしないから」などさまざまです。

休職がきっかけとなる退職・転職は、必ずしも適切な選択肢とはいえないケースがあります。たとえば、「どの職場でも人間関係が原因で休職を繰り返す」といった場合には、退職して再就職を目指すのは適切とはいえません。このような場合は、休職中に対人スキルや自己表現力、感情のコントロール方法などを身につけることが大切です。

ここでは、休職原因を見つめ直して対策を考えることの大切さや、その方法についてご紹介します。休職原因に対して根本的な解決策を考えることで、一時的な解決ではなく長期的に安定して働ける状態を整えることができます。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから

1.復職か退職、悩むときの相談先

悩むときの相談先
休職中、復職するべきか退職するべきかは、多くの方が直面する重要な悩みといえます。このような判断を一人で抱え込むと、精神的な負担が増し、冷静な判断が難しくなることもあります。相談先として所属企業の上司や人事部という選択肢もありますが、様々な要因からそうした場所での相談が困難であるケースも考えられます。

そのような場合には、所属企業以外でフラットな視点から相談に乗ってくれる専門的なサポート機関を活用するのが効果的といえます。以下では、所属企業以外の相談先・相談相手についていくつかご紹介します。

a.リワーク支援施設

リワーク支援施設は、休職からの復職や、退職後の再就職を目指す方に向けた専門的なサポートを行っています。たとえば、メンタルヘルスの課題が原因で休職・離職している方に向けて、復職や再就職を目指すためのトレーニングプログラムが用意されています。リワーク施設では同じような悩みを抱える方々と交流できる機会もあることから、心理的な支えにもなります。

b.ハローワークや自治体の相談窓口

ハローワークでは、仕事を探すだけでなく職場復帰や転職に関する相談も可能です。また、自治体によってはメンタルヘルスやキャリアに特化した無料相談窓口を設けていることもあります。こうした公的な機関では特定の企業や利害関係に左右されることなく中立的なアドバイスが期待できることから、相談先として一定の役割を果たしています。

c.キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラー

キャリアコンサルタントやカウンセラーは、職業選択やキャリア設計についての専門知識を有しています。復職か退職かで迷っている場合、自身のスキルや経験を踏まえた上で将来のキャリアパスについて具体的なアドバイスを受けることができます。特に「再就職を視野に入れているが、どの業界に進むべきか分からない」といった場合に効果的です。相談先としては、キャリアカウンセラーが所属する団体や、自治体が運営する無料相談窓口などが候補として挙げられます。

d.NPO法人やボランティア団体

就労支援を行うNPO法人やボランティア団体も、相談先の選択肢となります。障害や病気を抱えながら働く方の支援に注力している法人や団体などは、「職場環境が合わない」といった悩みや「復職後に長く働き続けられるか不安」といった相談に対応しています。

e.信頼できる家族や友人

専門機関だけでなく、信頼できる家族や友人に相談することも選択肢のひとつです。身近な人に話を聞いてもらうことで、自分でも気づかなかった感情や希望が明確になることがあります。

休職中の状況や復職後のキャリアプランは、人によってそれぞれ異なります。そのため、複数の相談先を利用し、自分に合った選択肢を見つけることが安定した就労への第一歩となります。どこに相談すれば良いか分からないという場合は、まずは無料で利用できる公的機関やリワーク施設の活用がおすすめです。就労移行支援事業所/自立訓練(生活訓練)事業所のニューロリワークでも、うつ病や適応障害などのメンタル不調による休職・離職からの復職・再就職に関する支援を行っています。相談や事業所の見学も無料で行っているので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。
(ニューロリワークへのご相談・見学はこちらから)

2.安定して働き続けるために

安定して働き続けるために
厚生労働省が平成30年に行った「労働安全衛生調査」では、働いている方のうち約60%の方が「強いストレスを感じている」と回答しました。主な内容としては、「仕事の質・量」「仕事の失敗、責任の発生等」「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」などが上位に挙がっています。
厚生労働省が平成30年に行った「労働安全衛生調査」
このような状況を考えると、復職にせよ再就職にせよ、全てのストレスを避けるのは困難かもしれません。とはいえ、必ずしもストレスがメンタル不調や休職に直結するわけではないという点に注意が必要です。同じ状況であっても、それが励みとなるかストレスとなるかは人によって異なります。その人の本来の適性によって生じるストレスもあれば、心身の状態や考え方によって生じるストレスもあります。

休職した原因を知ることは、自分がストレスを感じやすい状況や条件を把握することでもあります。そのようなストレスの基になりやすい物事に対して対策を練ることで、同じ状況に陥ることを避けたり、似たような状況になってもメンタル不調が再発しないように防いだりすることができます。

ただし、身近な人の喪失や、事故や災害の体験など、対策を練るのが難しいケースもあります。こうした要因からメンタル不調を発症した場合は、精神科医やカウンセラーなどの力を借りつつ、時間をかけて心の傷を癒していくことが大切です。

3.休職原因を分析する方法

休職原因を分析する方法
休職した原因を見つめ直す際、注意したい点があります。それは、心身がある程度安定してから取り組むということです。十分に回復していない状態で行うと、精神状態が不安定になる可能性もあります。休職前のことを思い出して気分が悪くなるようであれば、まだ休職原因の分析をする段階ではないため、まずは回復に努めることが大切です。

休職原因の分析の際には、一般的に用いられる課題解決や原因分析の手法が応用できます。いわゆるロジックツリーや因果関係図、フィッシュボーンチャート、マインドマップ、カードや付箋を使うKJ法などさまざまな手法があります。ここでは、休職原因の分析という目的に沿った方法をご紹介します。

まずは、休職前の状況を紙に書き出します。業務内容・職場環境・対人関係・プライベート・ストレス要因など、それぞれについて変化や影響の大小にかかわらず全てリストアップします。
リストアップした事柄は、6W2Hを活用して具体的にまとめていきます。学校で教わる5W1HはWhen(いつ) Where(どこで)Who(誰が)What(何を)Why(なぜ)How(どのように)ですが、そこにWhom(誰に)How much(いくらで)を追加したものが6W2Hです。
6W2Hを活用
Whom(誰に)とHow much(いくらで)を追加することで、「誰に対して感じたことか」「給与や手当に納得していたか」といった点にも目を向けることができます。
まとめていく中で休職原因に行き当たったら、家族や主治医など周囲の人たちと相談して一緒に対策を考えていきます。

この手順は一例ですので、他の手法を用いても問題ありません。どのような手法であっても覚えておきたいのは、取り組んでいるうちに「休職前の振り返りと反省」に意識が占められてしまいがちだという点です。あくまでも目的は「休職原因の分析」です。目的を見失わないように取りくむことが大切です。

3-1.休職期間中に対策をする

上述したように、何らかのストレスを感じることは働く上で避けられません。避けられないストレス要因が休職原因という場合は、復職後に備えて休職期間中に対策を考えることがポイントです。

古くから「木、強ければ即ち折らる」「柳に雪折れなし」といわれてきたように、近年ではストレス対処法を考える上で「レジリエンス」が注目されています。「レジリエンス」は、元々は物理学などの世界で「外から加わる力に対して形状を復元できる弾力性」という意味で使われていた言葉です。心理学においても同様に、ストレスを弾力的に受け止めてしなやかに回復する力を指します。

ストレスは、必ずしも悪いものではありません。同じ「昇進」という出来事でも、人によって受け止め方やストレスの有無は異なります。「自分の責任で新しいことに取り組める」と考えれば励みになり、「責任が増えたのだから絶対に失敗できない」と受け止めれば重圧になります。もしも重圧を感じたとしても、誰かに相談することで「失敗できない」という考え方を「失敗は成功の基だ」「失敗を防ぐために人の力を借りよう」と変化させることもできます。
このように、ストレスに対処する行動を「コーピング」といいます。上述したレジリエンスは、「コーピングの手段を多く持ち、柔軟に回復に向かう力」ということもできます。レジリエンスは誰もが持っている力であり、意識して高めていくことができます。

休職期間中にレジリエンスを高めることは、復職や再就職をした後も安定して働くための精神的な基礎として重要です。ただし「良い(適度な)ストレス」になるか「悪い(過大な)ストレス」になるかは、その人の持つレジリエンス以外にもさまざまな要因が影響します。たとえばプライベートで問題を抱えていて昇進に対応する余裕がないという場合は、個人のレジリエンスで対処できる範囲を超えているといえます。そのようなときは、家族や企業と対策を相談する必要があります。

3-2.企業側と対策を相談する

休職原因によっては、企業側に対処を求めなければ改善が望めない場合もあります。「仕事の質・量」が原因だとしても、仕事のやりがいを見つめ直すことで解決できる問題なのか、それとも過重労働を課せられているのかでは対処方法が大きく異なります。問題によっては双方が歩み寄って解決できることもありますが、パワハラや性別、人種に関わる差別的扱いなど企業側が対処し、解消すべき問題もあります。
休職原因が解決していないのに復職してしまえば、再び同じ問題が起こる可能性があります。そのため、復職前には人事や上司との面談などで対策を検討することが大切です。その際は、主治医や産業医の意見を提出することも効果的です。

話し合いで解決しない場合には、下記のような相談窓口を利用する方法もあります。

・厚生労働省の総合労働相談コーナー
・労働基準監督署
・各都道府県の労働局
・障害者就業・生活支援センター
・労働組合、ユニオン
・法テラス
・その他、地方自治体や民間団体など

それでも企業側が相談に応じない場合や双方の折り合いがつかない場合には、転職を視野に入れて進めていく方がよいかもしれません。

4.退職する場合の流れ

退職時の流れ
休職中に退職を決断することは、人生の大きなターニングポイントとなるため、慎重に進める必要があります。退職後の生活やキャリアにスムーズに移行するためには、適切な手続きや準備が欠かせません。以下では、退職する場合に必要な具体的な流れについてみていきます。

(1)退職の意思の伝達

最初に、直属の上司や人事担当者に退職の意思を伝えます。休職中であっても、正式な退職手続きの一環としてメールや電話で事前に連絡した上で退職届を提出するのが一般的です。会社とのトラブルを避けるため、退職の意思を伝える際は丁寧な言葉遣いを心がけ、感謝の気持ちを伝えることが大切です。

(2)退職届の提出

退職の意思を伝えた後、正式な書類である退職届を会社に提出します。退職届には、退職理由として「一身上の都合」や「家庭の事情」など、一般的な表現で問題なく、必ずしも具体的な理由を詳細に書く必要はありません。書類提出後は、会社の規定に従って手続きを進めることになります。退職届を提出するタイミングは、通常であれば退職希望日の1~2ヶ月前が目安です。詳しくは、社内規定や就業規則などを確認する必要があります。

(3)退職日や最終勤務日の調整

退職届提出後、退職日や最終勤務日について会社と調整します。休職中の場合は、書類提出時点で勤務していないため、退職日を通知期間内で設定するというのが一般的です。会社の就業規則に従いつつ、スムーズな引き継ぎや手続きを進めるために、調整内容を会社と確認する必要があります。

(4)社会保険や年金の切り替え

退職後は、社会保険や年金に関する手続きが必要です。主なものとしては、健康保険や年金などが挙げられます。

・健康保険:
国民健康保険に加入するか、会社の健康保険を任意継続被保険者制度で延長する。

・年金:
厚生年金から国民年金へ切り替える。

これらの手続きは、市区町村の役所で行います。手続きには期限があるため、速やかに対応する必要があります。

(5)必要書類の受け取り

退職後の生活や再就職に備えて、会社から以下の書類を受け取ります。

・離職票(失業保険を受給する際に必要)

・源泉徴収票(翌年の確定申告や転職先での税務手続きに必要)

・健康保険資格喪失証明書(健康保険の切り替え手続きに使用)

受け取り後は、書類に不備がないかを確認します。必要に応じて、再発行を依頼することもあります。

(6)再就職に向けた準備

退職後に再就職を目指す場合、履歴書や職務経歴書の準備を行い、求人サイトや転職エージェント、またはハローワークなどを活用して求人情報を集めます。また、休職していた理由を面接などでどのように説明するかを事前に整理しておくことも大切です。

(7)自分自身のケア

退職は、精神的な負担を伴うこともあります。退職後の生活に慣れるまで時間がかかることもあるので、無理をせず心身のケアを優先することが大切です。カウンセラーやリワーク施設を利用することで、サポートを受けながら次のキャリアに向けて前向きに取り組むことができます。

退職は、新たなスタートの第一歩です。正しい手順を踏むことで、スムーズに次の段階に進むことができます。退職を決断する際には、必要な手続きをひとつひとつ確実に進め、今後の人生設計を丁寧に描いていくことが大切です。
(関連記事:仕事のストレスで退職・休職した方は、「フロー効果」と「仕事を面白くする方法」を上手く活用して安定した就労・復職を

5.退職時の賃金・手当について

退職時の賃金・手当
退職する際には、退職時に受け取れる賃金や手当について確認することが大切です。特に休職中に退職する場合は、通常の勤務とは異なる規定が適用される場合があるため、事前にしっかりと確認しておく必要があります。以下では、退職時に関わる賃金や手当のポイントについてみていきます。

(1)未払い賃金の精算

退職時には、未払いとなっている賃金や手当が精算されます。休職中で給与が支給されていなかった場合でも、最後の勤務日までの未払い分や未消化の有給休暇分の給与が精算される場合があります。企業の規定によっては有給休暇が残っている場合にその日数分の給与を「未消化有給休暇の買い取り」として受け取れることもあるので、事前に人事担当者に確認しておくことが大切です。

(2)退職金

退職金制度がある会社の場合、退職時に勤続年数や会社の規定に基づいて退職金が支給されます。休職中の退職であっても在籍期間が勤続年数としてカウントされる場合があるため、事前に確認しておく必要があります。退職金の計算方法や支給条件は就業規則に記載されているため、退職を決めた段階で確認することが大切です。

(3)雇用保険の失業給付

雇用保険に加入していた場合、退職後に失業給付を受け取ることができます。失業給付の条件として、過去2年間に一定期間以上、雇用保険に加入していることが必要となります。自己都合退職の場合は、給付開始まで3ヶ月の待機期間が設けられる点に注意が必要です。離職票が失業給付の申請に必要な書類となるため、退職後は速やかに会社から受け取るようにしましょう。

(4)企業から支給されるその他の手当

会社によっては、退職時に特別な手当が支給されることがあります。例えば、早期退職制度を利用した場合の割増退職金や、解雇された場合の特別手当などが該当します。これらの手当が支給される条件や金額については企業ごとに異なるため、事前に各種の規定を確認する必要があります。

(5)健康保険や年金に関するサポート

退職後は、健康保険や年金制度の切り替えが必要になります。特に退職後の健康保険料や年金負担が生活に影響を与える場合があるため、国民健康保険や国民年金への切り替え手続きやその負担額を事前に把握しておくことが大切です。任意継続被保険者制度を利用することで、退職後も一定期間にわたって会社の健康保険を継続できる場合があります。

(6)給与明細と最終精算の確認

退職時には、会社から支給される最終給与や手当についての明細を確認することが大切です。未払い賃金や退職金が正確に支給されているかを確認し、疑問点があれば早めに問い合わせるようにしましょう。
(関連記事:休職期間中に、復職まで利用できる手当|傷病手当金とは?

退職時の賃金や手当についての理解を深めておくことは、次の段階に進むための経済的な基盤を整える上で非常に重要です。特に休職期間中の退職の場合は通常の退職手続きとは異なる場合もあるため、会社の規定を確認し、必要な手続きを確実に進めることが大切です。

6.まとめ

復職を支援するリワーク施設を利用
休職に至った原因を分析してレジリエンスを高め、あるいは企業と交渉して対策を練ることで、復職・再就職後も安定して働ける状態が整います。とはいえ、ひとりで取り組むのは難しいと感じる方もいるかもしれません。そのようなときは、復職を支援するリワーク施設を利用するのも方法のひとつです。

リワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」では、心と体の両面からストレスをケアしてレジリエンスを高める「ブレインフィットネス」や「マインドフルネス瞑想」等のプログラムを提供しています。復職に関する企業との交渉や調整に高い心理的ハードルを感じている場合も、スタッフの支援を受けることで円滑に進めることができます。

リワーク施設によって、提供しているプログラムや受けられる支援は異なります。利用を検討する際はプログラム内容などを確認し、見学や体験を通じてどのようなものであるかを把握しておくことが大切です。リワーク施設選びについては「ご存知ですか?「リワーク施設」復職の成功につながる施設選びの5つのポイント」でもご紹介しています。

休職に至った原因を解決してストレスを緩和・軽減する力を身につけ、安心して長く働けるよう心より願っております。(リワーク施設の見学をご希望の方はコチラから

見学予約

【参考文献・参考サイト】

・平成30年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況
・労働安全衛生総合研究所 ストレスに関連する症状・不調の確認項目の試行的実施
・公益財団法人 日本生産性本部 働く人のメンタル・ヘルスに関する調査研究・提言
・『こころの耳』4 ストレスへの対処:ストレス軽減ノウハウ
・協会けんぽ 健康サポート|自分のストレスの度合いや受け止め方に気づこう
・日本経済新聞出版|ストレスに負けない心を作る!
・教育新聞|逆境に負けない心 レジリエンスを身につける(1)レジリエンスとは何か
・一般社団法人日本ポジティブ教育協会|レジリエンス教育とは
・NHK高校講座 | 古典 | 第33回 諸家の思想 老子 ~柔弱~
・goo国語辞書(デジタル大辞泉)|柳に雪折れ無し(やなぎにゆきおれなし) の意味
・e-ヘルスネット|ストレスコーピング
・全日本民医連|こころの健康 (4)対処の仕方 (コーピング)
・Well-Being 青山学院大学 研究プロジェクト|レジリエンス(精神的回復力)とは?その促進方法と測定方法、システム化に向けた調査
・日本司法支援センター「法テラス」|労働
(写真素材:PIXTA・photoAC)