復職面談で復職許可が下りず復職ができない3つの理由と対処法

休職中の方にとって、復職面談や産業医面談は復職へ向けた重要な機会です。そのため、復職面談を控えている方にとっては「問題なく復職許可が下りるか」と心配になることもあります。
そこで今回は、復職許可が下りない場合にその理由として特に多いものを3つご紹介します。
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1.復職許可が下りない理由1: 規則正しい生活を送れていない
復職許可が下りない理由で特に多いのは、規則正しい生活が送れていないという理由です。
復職にあたって、規則正しい生活を送れていること、具体的には「決まった時間に起床・就寝できている」「しっかりと睡眠時間が取れている」といった点は重要です。睡眠の乱れは遅刻や欠勤などの勤怠にも影響するだけでなく、十分な睡眠時間が取れていないと仕事のパフォーマンスにも影響します。特に復職直後は久しぶりの業務で緊張することもあり、睡眠時間が乱れてしまうケースがみられます。そこから体調不良につながることもあるため、休職期間中にしっかりと生活習慣を整え、余程のことがない限り安定した状態を維持できるようにしておく必要があります。
復職後の安定した就労のためには、体内時計を整え、起床・就寝時間を規則正しくすることが不可欠です。基本的な取り組みとしては、「朝日を浴びる」「適度に活動する」「就寝前のスマートフォン操作は控える」などの過ごし方が挙げられます。また、体調の安定には睡眠だけでなく、運動や食事、ストレスケアも欠かせません。
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2.復職許可が下りない理由2:体調が回復していない
復職許可が下りない理由として他に挙げられるのは、体調が回復していないという理由です。体調の回復を考える上で、復職が許可される基準として押さえておくべき点が2つあります。
1つ目の基準は、「不調の波が来ても体調が安定している」という点です。
休職期間中に療養し、なんとなく体調を回復させただけでは体調が安定したとは言い切れません。ある程度体調が安定して日中の活動ができるようになってきたら、自分の体調不良のサインを把握し、体調不良の際に早めに対処する方法を身に付ける必要があります。「自分はどういうときに体調不良になりやすいか」「自分にはどういうセルフケアが適しているのか」などを理解し、体調不良の際に早めに対処することで体調が安定してきます。最初のうちは「何が要因で体調不良になったのか」「どんな対処をすれば回復したのか」「あまり効果がなかった対処法は何か」など、日々の記録をとっておくとよいでしょう。
2つ目の基準は、「復職後に求められる業務に対応できる体調、体力が回復している」という点です。
休職初期と比べて元気になっていたとしても、業務を行うだけの体力や集中力、注意力などが回復していないと復職許可は下りません。休職初期と比べて動けるようなってくると「もう回復した」と考えてしまうこともありますが、「求められる業務に対応できるだけの体力や認知機能はあるか」「週5日間、働ける体力は戻っているか」など、仕事をしている自分を想像して体調が回復しているかどうかを判断することが大切です。業務が遂行できるまで体調を回復させるには、休職期間中、ある程度の負荷を感じる運動に取り組んだり集中を要する作業に取り組んだりする必要があります。「散歩ができるようになった」「最低限の家事ができるようになった」という方は、少しずつ活動の負荷を上げたり読書やパソコン作業に取り組んでみたりするようにしましょう。
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3.復職許可が下りない理由3:休職原因の分析や再発防止策がない
復職許可が下りない3つ目の理由として、「休職原因の分析、再発防止策がない」という理由が挙げられます。
復職する、つまり同じ職場に戻るためには、休職に至った理由をしっかり把握し、復職後同じようなことが起こった際にどのように対応するのかといった再発防止策を明確にしていることが求められます。
休職原因を分析する際には、休職前の状況を「業務内容」「職場環境」「対人関係」「ストレスになったこと」「プライベート」の5つの観点から書き出し、自分が課題に感じていたことを明確にしましょう。休職原因の分析は客観的な視点が必要なため、自分ひとりで行うのが難しいケースもあります。その場合は、家族や医療機関、リワークのスタッフなど、周囲から色々な意見をもらいながら分析していくとよいでしょう。その中で、再発しないためにはどうしたらいいのか具体的な対応策を考えます。休職原因の分析・再発防止策の立案は、周囲に相談しながらフィードバックを繰り返し行うことで説得力のある防止策を立てることができます。一人で抱え込まず、周囲の意見を参考にしながら進めることが大切です。
また、休職原因や再発防止策を考える際は自身の病気への理解が不可欠です。まだ自身の病気を受け入れられていなかったり、病気についてきちんと理解できていなかったりする場合は、まずはその理解から始めることが大切です
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4.復職の判断基準とは
復職面談を間近に控えると、「本当に復職できるのだろうか」「何を基準に判断されるのだろうか」と不安になる方も少なくありません。復職の可否は、一律ではなくいくつかの基準をもとに慎重に判断されます。
主な復職の判断基準としては、以下の点が挙げられます。
・主治医の診断:
まず重要なのが、主治医による「就労可能」と判断された診断書の有無です。主治医は通院時の様子や症状の回復状況、日常生活の安定度などを総合的に見て、復職が可能かどうかを判断します。こうして「就労可能」という診断書が出されてはじめて、企業側との面談や復職手続きに進むことができます。
・業務遂行能力の回復:
復職後に求められる業務を無理なくこなせるだけの体力や集中力、判断力が回復しているかどうかが確認されます。具体的には、長時間のデスクワークに耐えられる体力や複数の業務を並行して進める集中力、判断力などが戻っているかなどが確認されます。また、ミスを防ぐ注意力や、適切なタイミングで休憩を取れるかといった実務的な能力も見られることがあります。
・生活リズムの安定:
決まった時間に起床・就寝し、日中に活動するという生活リズムが整っているかは、復職において非常に重要です。不規則な生活が続いていると、出勤や業務中の集中力に影響が出やすいため、基本的な生活の安定が前提とされます。企業側や産業医は、日常生活を規則正しく送れているかどうかを通じて、職場復帰後の安定性を判断します。
・ストレス耐性の回復:
仕事上のプレッシャーやトラブルなど、ストレスがかかる状況においても過度に動揺せずに対応できるかどうかが確認されます。復職直後は特に緊張や不安が高まりやすく、再発リスクも高いため、自己対処能力(セルフケア)を備えているかがポイントとなります。気分が落ち込んだときに誰かに相談したり、早めに休息を取ったりといった自分なりの対処法を持っておくことが大切です。
・本人の意欲と安定感:
復職に対する前向きな気持ちがあるか、そして職場に適応して再び働いていける精神的な安定感があるかも重要なポイントです。自身で「働きたい」と強く思っていても、焦りすぎている場合や心身の健康状態が不安定な傾向があると、産業医や人事は慎重な判断を下すことがあります。復職面談では、これらの点をふまえて現時点で復職が安全かどうか、無理のない形で職場復帰できそうかを総合的に判断されます。そのため、主治医の診断が出ていても、企業側の判断で「まだ時期尚早」とされるケースもあります。
復職にあたっては、不安なことがあれば事前に生活リズムや体力の回復具合を確認し、無理のない範囲で日常生活を整えておくことが大切です。また、「リワークプログラム」などを活用して復職に必要な準備を整える方法もあります。
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5.復職できない場合の対処法は
復職面談の結果、「まだ復職は難しい」と判断されることもあります。その際は、ショックを受けるのではなく、「今は最適なタイミングではない」と判断されたと捉えることが大切です。言い換えれば、「再び準備を整えて、適切なタイミングでの復職を目指す」と考えることがポイントです。
大切なのは、復職が見送りになった理由をしっかりと確認することです。たとえば、「生活リズムが整っていない」「業務に必要な体力や集中力が戻っていない」「ストレスへの対処がまだ不十分」といった具体的な理由を把握することで、何を改善すべきかが明確になります。
次に、復職に向けた準備として、生活リズムを整えたり、日中に一定時間活動する習慣をつけたりして、日常生活の安定をはかることが大切です。また、職場復帰のリハビリの場としてリワークプログラムを活用するのも効果的です。リワークプログラムでは、グループワークや模擬業務、ストレスマネジメントなどを通じて、実際の職場に戻るためのスキルや習慣を段階的に取り戻すことができます。
さらに、主治医やカウンセラー、産業医と相談しながら、焦らず計画的に進めていくことも重要です。復職は「ゴール」ではなく「再スタート」であるため、無理に急ぐよりも、再発せず長く働き続けられる状態をつくることが結果的には成功につながります。
「復職できない」という判断は、次につなげるためのステップであるため、必要な準備を重ねて、再び職場に戻れるように休職期間を過ごすことが大切です。
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6.まとめ
復職許可を得るためには、満たしておくべき基準がいくつかあります。ひとつひとつは決して難しいものではなく、日々の取り組みの積み重ねで満たせるものです。ここで挙げた3つの基準を満たしてはじめて、復職許可が下りると考えましょう。
復職面談が近付いている方でまだ足りていないと感じる部分がある場合は、しっかり準備を進めていくことが大切です。規則正しい生活の実現や適度な運動、または休職原因の分析や再発防止策の実現がひとりでは難しいという方は、社会参加や復職を目指す施設を活用するという選択肢もあります。
社会参加や復職を目指す施設であるニューロリワークでは、さまざまなプログラムを通じて正しい生活習慣の会得や体力の向上、課題の発見や解決などを目指します。毎日の通所の中で、専門のスタッフとともに社会参加や復職に必要な活動に取り組みます。事業所では見学や体験実習も行っていますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
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(写真素材:PIXTA・photoAC)
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