復職面談で産業医に聞かれることは?
押さえておきたい大切なポイントについて
うつ病や適応障害などで休職した場合、復職するには一定の休職期間を経て産業医との復職面談を行うというのが一般的です。
産業医との復職面談を受けるにあたっては、「面談時に聞かれること」が多くの休職者にとって事前に把握しておきたい重要な事柄のひとつといえます。
以下では、精神疾患で休職している方が産業医との復職面談を経て無事に復職許可を得られるよう、面談時に聞かれることや押さえておくべき重要なポイントについてみていきます。
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復職面談で産業医に聞かれること
復職面談で産業医に聞かれることの主な例としては、以下の3点を挙げることができます。
①現在の体調や生活習慣について
②休職原因と再発防止策について
③復職後の働き方について
復職面談は、精神疾患で休職中の社員が産業医との話し合いを通じて復職の可否を確認する場です。そのため、産業医は復職の判断基準となる「体調」「生活習慣」「再発防止策」といった点に着目します。上記のような基本的な質問が主となるので、ひとつひとつにきちんと答えられるよう備えておくことが大切です。
(関連記事:押さえておきたい「復職面談で聞かれるポイント」)
一方、質問が基本的であるがゆえに、注意しておくべき点もあります。
「聞かれること」の模範解答“のみ”を考えるのは要注意
休職中の方にとって、復職に向けた産業医面談は自身のその後のキャリアを大きく左右する重要な機会でもあります。そのため、「どうすれば切り抜けられるか」に意識が強く向き、「面談で聞かれること」に対する模範解答ばかりを用意してしまうというケースも考えられます。
しかし、大切なことは心身の健康を取り戻して「復職する」だけでなく、「復職後も安定して働けるようになる」ことです。決して「取ってつけたような復職許可」を得ることではありません。
言い換えれば、「心身が健康である」ということが復職許可を得るために不可欠であり、本来のあるべき姿となります。そのため、産業医との面談では単に「健康です」と答えることが正解なのではなく、日常生活の中で規則正しい生活を送り、実際に心身ともに健康であるということこそが重要です。
規則正しい生活習慣を身に付けるための、休職中の過ごし方
産業医との復職面談で聞かれることが主に「体調」「生活習慣」「再発防止策」であり、そして復職希望者が事前に用意するべきことが単なる「模範解答」でないことを考えると、おのずと休職中の過ごし方が見えてきます。
そのひとつが、上述した「規則正しい生活習慣の修得」です。特に、毎日のように決まった時間に起床・就寝し、しっかりと睡眠時間が取れているかどうかは重要です。睡眠の乱れは復職後の勤怠に大きく影響し、十分な睡眠時間が取れていないと仕事のパフォーマンスも低下します。
また、復職直後は久しぶりの職場復帰で緊張することもあり、休職期間中に生活習慣を改善できていても、再び睡眠時間が乱れてしまうというケースもみられます。それがきっかけで再び体調不良につながることもあるため、休職期間中にはしっかり生活習慣を整え、「習慣づける」ということが重要です。
体内時計を整え、規則正しい起床・就寝時間を習慣づけるためには、
・朝日を浴びる
・日中に適度な活動を行う
・就寝前のスマートフォン操作は控える
といった点が、基本であり重要なポイントとなります。
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体調が回復したといえる基準は?
産業医面談で聞かれることのひとつに「体調が回復したか否か」があるので、この点についてはっきりと答えられるようにしておくことが不可欠です。
「体調が回復した」といえる基準として、押さえておきたいポイントが2点あります。
ひとつは、「不調の波が来ても、体調が安定している」という点です。休職期間中に療養して“なんとなく”体調を回復させただけでは、「体調が安定した」とは言い切れません。
・自分はどういうときに体調不良になりやすいか
・どういうセルフケアが自分には適しているのか
といった点までを理解することで、体調不良の際に早めの対処が可能となります。これらを明確にするためには、「何が要因で体調不良になったのか」「どんな対処をすれば回復したのか」「あまり効果がなかった対処法」といった点について、休職期間中から記録をとりながら振り返っておくことが大切です。
もうひとつのポイントは、「自宅で過ごせる体調」というだけでなく、「復職後の業務に対応できる体調」に戻っているという点です。
休職した初期の頃と比べて元気になっていたとしても、復職後に業務を行うだけの体力や集中力、注意力などが回復していないと復職許可は下りません。休職初期と比べて活動的になると「もう回復した」と考えてしまいがちですが、
・求められる業務に対応できるだけの体力や認知機能はあるか
・週5日間、働ける体力は戻っているか
など、仕事をしている自分を想像して体調が回復したかどうか判断することが大切です。
体調回復後は、再発防止策を考える
上述したように、産業医との復職面談で聞かれることは主に「体調」「生活習慣」「再発防止策」です。そのため、生活習慣を整えて体力を回復させた後は、再発防止策を明確にしておく必要があります。事前に再発防止策を用意しておくことで、復職後に同じようなことが起こった場合に対処が可能となります。
再発防止策を明確にするにあたって重要になるのが、休職原因の把握です。「なぜ休職に至ったのか」という観点を押さえることは、「どうすれば防げるか」という解に辿り着くための第一歩です。
休職原因を分析するときは、休職前の状況を
・業務内容
・職場環境
・対人関係
・ストレスになったこと
・プライベート
の5つの観点から書き出し、自分が課題に感じたことを明確にします。
休職原因の分析は客観的な視点が必要なため、自分ひとりで行うには難しい場合もあります。そんなときは、家族や医療機関、またはリワーク施設のスタッフなど周囲から色々な意見を得ながら分析していくとよいでしょう。様々な意見や観点を踏まえた上で、再発しないためにはどうしたらいいのか具体的な対応策を考えます。
休職原因の分析および再発防止策の立案は、周囲に相談してフィードバックを繰り返し行うことで説得力のある防止策を立てることができます。一人で抱え込まず、周囲に協力をお願いするのがポイントのひとつです。
(関連記事:復職面談を成功させるために押さえるべき、人事担当者が知りたいポイント)
まとめ
復職する上で避けて通れない産業医面談。その重要性ゆえに「面談で聞かれること」の模範解答を求めてしまいがちですが、本当に大切なのは復職後も安定して働き続けることです。
そのために特に重要なのは、「規則正しい生活習慣の修得」と「再発防止策の明確化」です。休職期間の初期~中期は規則正しい生活習慣の改善に注力し、休職期間の中期~後期は再発防止策の確立に注力していくのが望ましいスケジュールといえます。
再発防止策に関しては、自分一人で考えるよりも、周囲の方々に協力いただくことで効果的な方法が見つかりやすくなります。家族や医療機関の協力が難しい場合は、復職を支援する施設に相談することも可能です。
復職支援施設のニューロリワークでは、心身の不調を整えるための生活習慣改善プログラムをはじめ、復職に向けた模擬面談などのプログラムも行っています。また、模擬面談を通じた面接対策だけでなく、休職や不調の原因の明確化や再発防止策の模索を通じて、復職後も安定した就労ができるようスタッフとともに取り組みます。
事業所では復職までの過ごし方などを詳細にご相談いただけますので、産業医との復職面談でお悩みの方には、見学や体験実習をおすすめしています。(休職中の過ごし方の相談や施設の見学をご希望の方はコチラから)
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA・photoAC)
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