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「適応障害かも?」と思ったら。休職を経てからの復職という選択肢も

近年ではテレビやインターネットニュース等でも目にするようになった「適応障害」。有名人が適応障害を公表するケースもみられ、その名称は以前よりも広く認知されるようになっているといえます。とはいえ、その詳細までは知られていないかもしれません。
ここでは、そんな適応障害を患った方に向けて、その特徴や対処方法などについてみていきます。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから

適応障害とは

適応障害とは
適応障害とは、ストレスなどが原因となって引き起こされる情緒面もしくは行動面での障害であり、いわゆる社会的機能に支障が生じる状態を指します。たとえば、周囲の環境に適した行動をとることが困難といった状態などが症状のひとつとして挙げられます。

厚生労働省によると、適応障害と診断された方の40%以上が5年後にうつ病と診断されています。すなわち、適応障害はうつの前段階にある疾患といえます。なお、ヨーロッパでの報告によると適応障害の発症率は人口の1%程度といわれています。

適応障害の具体的症状

適応障害には、さまざまな症状がみられます。症状は主に「情緒面」「行動面」「身体面」の3つに分類されます。

情緒面の症状としては、気分が憂鬱になる抑うつ気分や意欲の減退、不安感の高まり、注意力の低下などがみられます。また、涙もろくなったり記憶力の低下がみられる場合もあります。

行動面の症状としては、落ち着きのない動作や、暴力的になる傾向がみられます。また、暴力的になって他者や自身を傷つけるような行動もみられるようになります。

身体面の症状としては、過呼吸や動悸、胸部の圧迫感や冷や汗などがみられます。また、吐き気や膨満感、手先や唇の震えなどが起きるケースもあります。

適応障害の治療

適応障害の原因が主にストレスにあることから、主な治療・解決策としてはストレスの原因を解消することと、ストレスへの適応力を高めることのふたつが挙げられます。

ストレスの原因の解消に関しては、たとえば職場での業務過多や人間関係が原因となっているのであれば上司や人事部などに相談し、解消していくことが求められます。「周囲に迷惑をかけないように」とひとりで抱え込むケースもあるかもしれませんが、周囲の環境が原因で生じたストレスは、周囲の協力や理解が必要といえます。そのため、ひとりで抱え過ぎることなくSOSを発信していくことが大切です。業務の振り分けや異動などでストレスの原因が解消されるのであれば、まずはそこから解決していくことも視野に入れましょう。

適応障害の治療を考える上でもうひとつ重要なのは、ストレスへの適応力を高めるという点です。ストレスの原因になるものが明確であっても、その原因そのものを解消させることが困難なケースもあります。そのような場合には、あきらめるのではなくストレスの原因に対する考え方にアプローチする等の対処法を身につけることが重要となります。心にかかる負荷を全くのゼロにすることは難しいかもしれませんが、少なからず和らげることが大きなポイントとなります。たとえば、認知行動療法とよばれる心理療法などがその方法のひとつとして挙げられます。

こうした治療法・対処法以外にも、効果的な方法として服薬治療があります。適応障害では抑うつ気分や不安、不眠のようにうつ病と同様の症状がみられることから、抗うつ薬などが治療に用いられることもあります。

大事をとって休職という選択肢もある

大事をとって休職という選択肢もある
適応障害を患ったときは医院やクリニックなどでの治療が重要となりますが、場合によっては仕事を中断し、休職期間を設けることも重要です。

休職期間中は、治療に専念するだけでなく復職を視野に入れたリワーク施設などを活用することも大切です。リワーク施設は、医療制度で運用するものや福祉制度で運用するもの、または障害者職業センターが運用するものなど、さまざまなタイプがあります。それぞれに優劣があるのではなく、施設によって重きを置くプログラムの違いなどがみられます。

たとえば、リワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」では、ビジネススキルやコミュニケーションプログラム、運動プログラム、認知行動療法に基づくプログラム、さらには脳と身体の健康を維持するブレインフィットネスプログラムなど、さまざまなプログラムを提供しています。

プログラムの一例

多様なプログラムの中のひとつに、「SSTプログラム」があります。SSTとは
「Social Skills Training」の略で、“社会生活技能訓練”を意味します。社会生活技能とは、周囲の人々との関わりを効果的に行うために他者からのメッセージを受け止め、社会的状況を評価・判断し、自分の意思や感情を相手に伝達する能力などを指します。

SSTプログラムでは、人が社会で他の人と関わりながら生きていくために欠かせないスキルを身につける訓練をおこないます。なお、ひと口にSSTプログラムといってもその種類はさまざまです。たとえば「聞くこと」に焦点を当てたSSTプログラムでは、日常生活にある「きく」という行動について学びます。

3つの「きく」

「聞く」という行為は、普段の生活の中で何気なくおこなわれるものであると同時に、コミュニケーションの際に非常に重要な役割を果たします。その重要性を考える上で、3つの「きく」を押さえておくことがひとつのポイントとなります。

3つの「きく」とは、それぞれ「聞く」「聴く」「訊く」です。「聞く」には受動的な意味があり、英語では「hear」が用いられます。これに対して「聴く」には能動的な意味があり、英語では「listen」が用いられます。3つめの「訊く」は日常生活ではあまり用いられることがないかもしれませんが、尋ねる際や質問する際などに活用されます。英語では、「ask」として使用されるのが一般的です。

職場や人間関係の中で話を「きく」ときは、「聴く(=listen)」という姿勢が重要と考えられています。上述のように、「聴く」には能動的な意味があり、相手の感じたことや伝えたいこと、または言いたいことを理解しようと耳を注意深く傾ける行為を指します。これは傾聴とも呼ばれ、「あなたの話を聴いています」という意思表示となります。

相手の話に集中している旨を伝えるためには、次の4つのポイントが重要です。

1.良い姿勢で「きく」
2.黙って「きく」 、口を差しはさまない
3.話している人を見る
4.「あいづち」を打つ

また、上記以外でも効果的に意思表示をするのであれば、顔と言葉に表情をつけたり、相手の話が終わったタイミングで言葉を復唱したりすることも大切です。他にも、わからないことがあれば相手に尋ねるというのがポイントです。

その他の細かなポイントとしては、「あいづち」を打つ際には大袈裟になり過ぎないという点や、相手の言葉を復唱する際にわざとらしすぎないという点などがあります。

なお、プログラムの中では「きく」に関する座学だけでなく、グループワークの一環として、3人1組みでのロールプレイングなどもおこないます。上述したポイントを押さえた会話と押さえていない会話を実践し、効果にどれほどの違いがあるのかを体験します。こうした実践形式を通じて、「きく」がコミュニケーションにどのような影響を与えるかを学んでいきます。

まとめ

まとめ
人の話を「きく」という行為は、私生活でも職場でも重要なスキルです。「きく」姿勢が整っていれば話し相手は「伝えたい」という気持ちになり、コミュニケーションが円滑になります。また、円滑なコミュニケーションは人間関係における信頼を強いものにします。それゆえ、会話の中では自分が「こういう風に聞いてほしい」「話しやすい」と思う方法を実践していくことが大切です。

ストレスの原因は、人間関係に起因するというケースも少なくありません。そのため、人間関係を円滑にする「きく」というスキルは、ストレスを減らすことができるスキルのひとつとなります。

ニューロリワークでは、多くのコミュニケーションプログラムを提供しています。プログラムの見学も可能となっていますので、ご興味のある方は是非ご検討ください。プログラムを通じて無事に復職され、ストレスなく働き続けられることを心より願っております。(プログラムの見学希望の方はコチラからお申し込みいただけます

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記事監修者

古川美佳

保健師/産業カウンセラー
群馬大学医学部保健学科卒。群馬県生まれ。

家族の健康問題に幼少期より関わってきた経験から予防医学に興味を持つ。
医療機関での特定健診・特定保健指導立ち上げ等の経験を活かし、NTT西日本㈱健康管理センター、㈱タニタヘルスリンクにて企業・自治体における疾病予防からメンタル支援まで幅広く健康づくりプロジェクトに携わり、スキル向上に努める。自身の心身バランスを崩し、家族、治療者、周囲のサポートを受けた経験から、自分と人生について見つめ直す。

出産を機に、子育て女性を支援する不動産ベンチャー企業で企画営業業務に従事する中で、働く人のサポートをしたいという気持ちが強くなり、現職に至る。
理念は「他者貢献」。

【参考文献・参考サイト】

・厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス「適応障害」
・厚生労働省 e-ヘルスネット「適応障害」
・おりたメンタルクリニック「適応障害」
(写真素材:PIXTA・photoAC)