「リワーク」を効果的なものにするために押さえるべきプログラム内容
メンタル不調によって休職中の方や、これから休職を考える方にとって、復職を目指すための「リワーク施設選び」は重要です。
今回は、休職や復職を考えている方に向けて、データに基づきリワークの効果や効果的なプログラムについてご紹介します。(休職と復職のことが3分でわかる「簡単!初めてのリワークガイド」のダウンロードはコチラから)
1.リワークの効果
「休職からの復職が怖い方へ。復帰後の定着率が3.5倍といわれるリワークプログラム」にてご紹介したとおり、リワークを活用した復職者とリワークを活用しなかった復職者とでは、復職後の定着率に大きな開きがあります。
上のグラフは、リワークプログラムの受講と、復職後の就労継続率を示したグラフです。リワークプログラムを受けた休職者は、そうでない休職者に比べて復職後の継続率に3.5倍の開きがあります。
より具体的な数値を見ると、リワークプログラムを受けて復職した方は、復職から1000日後の時点で約70%弱が就労を続けていましたが、リワークプログラムを受けずに復職した方の継続率は20%以下でした。言い換えると、リワーク未受講の場合は約3年で80%以上の方が離職しています。
以上のデータから、リワークプログラムは復職後の継続率を高めるために効果的であることがわかります。
2.効果的なプログラムとは
リワークと一口にいっても、施設によって実施している取り組みやプログラムは異なります。そのため、効果的なリワーク施設選びには「どのようなプログラムがより効果的か」という点を押さえておくことが大切です。
では、リワークのどのような要素が安定した復職を実現しているのでしょうか。定着率の改善に効果のあるプログラムは、どのようなものでしょうか。
ここで、ひとつの調査をご紹介します。ある調査によると、リワークプログラムにて以下の3つの取り組みを実施したところ、出社継続率が54.2%から91.6%に改善したと報告されています。
①生活記録表を用いた復職判定(2週間の通勤訓練・生活状況の記録)
これは、復職を判定する基準を「出社を模した生活を最低でも2週間続けること」と定め、休職者の生活状況を記録して利用するという取り組みです。すなわち、毎日同じ時間、同じ場所に最低でも2週間通い続けることを目指し、訓練を行うというものです。
②復職後、半年間のプラン作成(業務内容や負荷の調整)
復職後すぐに休職前と同じ業務量に取り組むのではなく、最初の半年間は業務負荷を段階的に調整するという取り組みです。最初の半年間の業務内容を復職前に具体的に決めておくことで、高い出社継続率に結びつくことが期待できます。
③復職後の毎月の産業医面談
復職後(リワーク施設の卒業後)も定期的に面談を実施することで、復職後の課題を明確にし、解決を図ることができます。この取り組みにより、離職率や再休職率は引き下がる傾向にあります。
調査によると、上記の3つの取り組みを実施したことで出社継続率が大きく改善されたことがわかっています。
以上のことから、リワーク施設を選ぶときは、
①生活習慣や活動状況を把握できるプログラムが用意されているか
②復職に向けて、企業との連携がしっかりしているか
③復職後の支援体制が整っているか
の3点を基準にすることが重要であるといえます。
3.リワーク施設の利用者が感じたこと
リワーク施設のひとつである「ニューロリワーク」が復職者に対して実施した「リワークで効果的だと感じたこと」に関するアンケート結果によると、復職後に効果のあったプログラムとして以下の3点が挙げられています。
①生活リズムを調整し・安定させるためのプログラム
②他の受講者との交流(グループ討議)プログラム
③作業課題を活用した集中力や持続力の向上のプログラム
他にも、アサーショントレーニング(=自他を尊重した自己表現・自己主張)など対人関係のスキルを学べることが良かったとの意見も多くみられました。さらに、セルフケアトレーニングを学べたことや、復職後も実践できる運動プログラムなどを学んだことが良かったとの意見も多くみられました。
4.まとめ
休職や復職を考える際、どうしても気になるのがリワークの効果です。これまでに見てきたように、さまざまなデータから、リワーク施設に通うことで復職後の定着率が向上することがわかっています。
リワークプログラムは、施設によって提供される内容がさまざまです。効果的なリワーク施設をお探しの方は、上述したプログラムが提供されているかを事前に確認しておくことが大切です。
リワーク施設であるニューロリワークでは、施設やプログラムの見学を随時受け付けています。パソコンやスマートフォンを活用したオンライン見学も実施していますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。(リワーク施設のひとつ、ニューロリワークの見学をご希望の方はコチラから)
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA、photoAC)
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