リワークプログラムとは?
プログラム内容と気になる費用を解説
「リワークプログラム」という言葉は、一般的にはあまりなじみのない言葉かもしれません。もしかすると、「つい最近、会社(または病院など)で聞いたばかり」という方もいるかもしれません。
リワークプログラムは、一言でいえば「働く意欲と能力を取り戻すためのサポート」です。こうしたサポートは、心身の不調で休職が決まった方にとっては嬉しい支援といえます。休職中でこれから職場(仕事)に戻ることに不安やストレスを感じているのであれば、そうした負担を和らげる手段として、リワークプログラムは心強い候補のひとつです。
ここでは、リワーク支援の専門機関であるニューロリワークの知見を活かして、リワークプログラムの内容や費用について詳しく解説していきます。自身の疑問や不安を解消させ、復職のための新たな一歩を踏み出しましょう。
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リワークプログラムとは
リワークプログラムは、主にメンタルヘルスの不調が原因で休職された方が復職を目指すための支援プログラムです。過度なストレスや過労、またはうつ病や適応障害などの理由で長期間にわたって仕事を休んでいた方が安心して職場に戻れるよう、様々なプログラムが提供されています。施設によって多少の違いはあるものの、主なプログラムとして心理的なサポートや体力の回復、ビジネススキルの向上など、多面的なアプローチを通じて構成されています。
プログラムは、個別カウンセリングやグループワーク、または職場体験を含む実践的な訓練などが行われます。こうした訓練は、カウンセラーや医療専門家が参加することで、受講者一人ひとりの状態に応じたカスタマイズも可能です。これにより、個々のニーズに合わせた効果的な支援を受けられるのが大きな特徴です。
リワークプログラムの期間は、症状や目標によって違いはあるものの、一般的には3ヶ月~1年ほどで、段階的に進行していきます。最初は少人数でのグループ活動を通じて他の参加者とコミュニケーションを図ることから始まり、少しずつ職場復帰に向けた具体的なステップへと移行します。心身の健康を回復させながら再び社会での役割を果たせることを目指したプログラムは、リハビリテーションの側面も併せ持っているといえます。
リワークプログラムは、単に体の健康を取り戻すだけでなく、心の健康も実現するという点で、復職後の仕事に対する不安を抱えている方にとって高い効果が期待できるサポートです。心の回復と同時に仕事に対する自信を取り戻すことで、再び職場で高いパフォーマンスを発揮できるようになります。その意味で、リワークプログラムは単なる復職支援に留まらず、個々の人生を豊かにするための大きな一歩になるといえるでしょう。
(関連記事:休職からの復職が怖い方へ。復帰後の定着率が3.5倍といわれるリワークプログラム)
リワークプログラムのメリット
リワークプログラムは、主にメンタルヘルスの不調が原因で休職されている方々に多くのメリットを提供します。たとえば、「安心感」です。長期的に仕事を休む場合、復職に対する不安やストレスが大きくなります。リワーク施設では、こうした不安を払拭できるよう専門家によるサポートを通じて様々な観点からトレーニングを行います。
また、社会的な繋がりを再構築できるという点も大きなメリットです。グループワークを通じて他の参加者と交流することで、孤独感を軽減させる効果もあります。共通の体験を持つ仲間との絆は心の支えとなり、復職への意欲を高める大きなきっかけとなります。
他にも、リワークプログラムでは職場復帰に必要なスキルや知識を再教育する機会が提供されます。これにより、復職後もスムーズに仕事に取り組むための準備が整います。施設によっては具体的な職場体験を通じて実践的なスキルを身につけることもできるため、自信を持って仕事に戻ることができます。
さらに、プログラムを通じてメンタルヘルスの知識を深めることができるのも大きなメリットのひとつです。ストレスの管理方法や自己理解を深めることで、職場だけでなく、私生活でも活用できるスキルの習得が可能です。こうしたスキルは、再発防止の観点からも非常に効果的です。
以上のように、リワークプログラムはメンタルヘルスの不調に悩む方々が安心して回復と職場復帰を果たすための心強いサポートとなっています。
(関連記事:うつ病でリワークに取り組むメリットは?具体的なプログラム例・費用もご紹介)
リワークプログラムの一例
リワークプログラムは、これまでにみてきたようにうつ病や適応障害をはじめとする様々なメンタルヘルスの不調に悩む方が職場復帰を果たすための、重要な役割を果たすサポートです。具体的なプログラムには様々な形式があり、いずれも参加者が安心して再び社会に戻るための工夫が凝らされています。
それぞれのプログラムには独自の特徴とメリットがあり、高い効果が期待できます。以下では、代表的なリワークプログラムの一例をご紹介します。
グループワークプログラム
グループワークプログラムは、複数の参加者が集まり、共通の目標に向けて協力しながら進める形式のプログラムです。このプログラムでは、受講者同士が互いに協力し、支え合うことが重視されます。心の悩みや仕事に対する不安を共有することで孤独感が軽減され、心の負担の解消や回復が促進されます。
具体的な活動内容としては、専門家によるワークショップや参加者によるディスカッションなどが行われます。参加者は自己理解を深めたりストレス管理の技術を学んだりする機会を通じて、社会性を身につけていくことができます。また、実際に職場に復帰する際のシミュレーションも行い、実践的な環境で経験を積むことができます。
このように、グループワークプログラムでは社会的な繋がりを再構築しつつ、実践的なスキルを習得できるという点が大きなメリットとなっています。
職場復帰支援プログラム
職場復帰支援プログラムでは、個々の参加者に対して専門的なカウンセリングや個別のサポートを提供します。利用者の状態やニーズに応じて個別にカスタマイズされることが多く、二人三脚で職場復帰を目指していくことになります。主な取り組みとして、仕事に対する不安を解消するための心理的アプローチや、職場でのコミュニケーションスキルを向上させるためのトレーニングなどがあります。
利用者は専任のカウンセラーと定期的に面談を行い、自身の進捗を確認しながらステップを進めます。個別サポートの良さは、利用者が自分のペースで学ぶことができるため負荷が少なく、安心して取り組むことができるという点にあります。このようなアプローチにより、利用者は段階的に体調の回復の能力の向上を果たし、自信を持って職場復帰に臨むことができるようになります。
オンラインリワークプログラム
オンラインリワークプログラムは、インターネットを介して提供される柔軟な形式のプログラムです。自宅にいながら参加できるため、施設までの移動時間や費用の制約を気にせずに取り組むことが可能です。遠方に住んでいる方や外出が難しい方にとって非常に便利である一方、実施している施設や機関が少ないという特徴があります。
プログラム内容には、オンラインセミナーや個別カウンセリングなどがあります。参加者同士のコミュニケーションもオンラインで行うことができ、仲間とのつながりを感じながら学ぶことができます。
ニューロリワークのオリジナル支援サービス
休職からの復職を支援するリワーク施設であるニューロリワークでは、復職をゴールとするのではなく、その後も心身共に安定して働けるよう脳科学者、精神科医、公認心理師、臨床心理士などの監修のもと、さまざまなオリジナル支援サービスを提供しています。主なプログラムとして、以下のようなものがあります。
1.生活習慣の乱れを改善するブレインフィットネスプログラム
ブレインフィットネスプログラムでは、運動・食事・睡眠・ストレスケア・知的刺激・人間関係の6領域にバランスよく取り組むことで、心・身体・頭(脳)の健康を実現するための方法を学びます。
(関連動画:「ブレインフィットネスプログラム」で就労の基礎固め)
2.物事への柔軟性を高めるFIT(フィット)プログラム
FIT(Flexibility Intervention Training:柔軟性介入トレーニング)プログラムでは、認知行動療法の理論に基づくトレーニングなどを通じて思考や行動の柔軟性を高める方法を学びます。
(関連動画:「柔軟性介入トレーニング」で安定した復職・就労を目指す)
3.自己理解を促すFIND(ファインド)プログラム
FIND(Finding Inner New Direction)プログラムでは、6つの要素から構成されるキャリアの羅針盤を通じて自己理解を深め、今後のより良いキャリア選択の実現方法を学びます。
(関連動画:「「自分」も「仕事」も見つける、FINDプログラムとは?)
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リワークプログラムはどこで受けられる?
リワークプログラムを受けるにあたって、どのような施設や機関を利用すれば良いかが分からないという方も多いかもしれません。リワークプログラムは、医療機関や企業内、または民間支援機関など様々な場所で提供されています。それぞれに異なる特徴やサポートがあり、利用者のニーズに合わせて選ぶことが大切です。
医療機関でのリワークプログラム(医療リワーク)
医療機関で実施されるリワークプログラムでは、専門的な医療サポートを受けながら心の健康の回復を目指します。精神科や心療内科が運営するクリニックで提供されることが多く、医師や臨床心理士、カウンセラーによるサポートやケアが特徴です。
プログラムでは、メンタルヘルスに関する知識を深めるための座学やストレス管理の技術を学ぶグループワークなどが行われます。グループワークを通じて他の参加者とのコミュニケーションを促進し、孤独感を軽減する工夫もなされています。医療機関でのリワークプログラムでは、心理的なサポートを軸に症状の回復を目指すことができるのが魅力のひとつです。
企業内でのリワークプログラム(職場リワーク)
近年では、企業が自社の従業員向けに提供するリワークプログラムも増えています。こうしたプログラムは、職場復帰を目指す従業員を支援することを目的として人事部門や産業医が中心となって行われます。主なプログラムの内容としては、職場でのメンタルヘルス教育やストレス管理方法に関するセミナー、または職場環境の改善に関する相談などがあります。
企業内リワークプログラムの利点は、従業員が職場の理解を得ながら必要な支援を受けられるという点にあります。また、同じ職場の仲間と共に取り組むことで、心理的な負担を軽減しやすくなるというメリットもあります。他にも、職場における連携が強化されることで、復職後のフォローアップも期待できるという点が大きな特徴です。企業内プログラムは、従業員のメンタルヘルスを守るための重要な施策として注目されつつあります。
地域障害者職業センターでのリワークプログラム(職リハリワーク)
地域障害者職業センターは、主に障害を持つ方々の職場復帰を支援する施設です。これらのセンターでは、個別の支援計画を立て、職場体験やスキルアップのための訓練を行います。職業相談や就労に関する情報提供も行われており、利用者が自分に合った職場環境を見つけやすいという特徴があります。
地域障害者職業センターでは、障害を持つ方々の特性に応じた支援が行われます。専門のスタッフが個別のニーズに応じてサポートを行うことから、安心して職場復帰を目指すことができます。
民間支援機関でのリワークプログラム(障害福祉サービスリワーク)
民間のリワーク支援機関やNPO法人も、復職のためのサポートを提供しています。これらの機関・施設ではメンタルヘルスの専門家が集まり、休職期間中のケアや、復職のために必要な取り組みに特化したプログラムを展開しています。利用者のニーズに応じて、グループワークや個別課題、または職場体験や必要書類の添削、模擬面談などが行われ、復職に向けた多様な支援が受けられます。
施設や機関によって提供されるプログラムが大きく異なるので、症状や目的に合わせて選ぶことが大切です。復職後も職場に定着するためのサポートを提供している施設もあり、利便性が高いという点が大きなメリットでもあります。
(関連記事:リワーク施設(リワークプログラム)を利用する上で知っておきたい「施設の種類」と「選び方」とは?)
リワークプログラムの費用
リワークプログラムの費用は、利用する機関やプログラムの内容によって異なります。以下では、上述した各種の機関や施設の主な費用についてみていきます。
医療機関でのリワークプログラム(医療リワーク)の費用
医療機関で提供されるリワークプログラムは、健康保険の適用範囲内で行われるため一般的に自己負担は3割です。1日あたりの費用は2,000円〜3,000円程度であることから、1ヶ月で20日通う場合は40,000円〜60,000円ほどの費用がかかります。なお、「自立支援医療制度」を活用することで、自己負担を1割に軽減させることが可能です。
企業内でのリワークプログラム(職場リワーク)の費用
企業が実施するリワークプログラム(職場リワーク)では、産業医や産業保健スタッフが主導し、休職者が復職できるようサポートを行います。職場リワークにかかる費用は原則として企業が負担するため、休職者の費用負担はありません。
地域障害者職業センターでのリワークプログラム(職リハリワーク)の費用
地域障害者職業センターは障害者が自立して働けるための支援を行う公的機関であり、リワークプログラムが無料で提供されています。そのため、経済的な負担を気にすることなくリワーク活動に集中できる点が大きなメリットです。なお、各都道府県に1ヶ所しか設置されていないことから、居住地によっては利用が難しいという点に注意が必要です。
民間支援機関でのリワークプログラム(障害福祉サービスリワーク)の費用
民間の支援機関(障害福祉サービス事業所)では、たとえば就労移行支援事業所や自立訓練事業所などの場合、利用者の自己負担は原則1割となっています。前年度の収入によって利用額は異なりますが、自己負担額に上限が設けられていることから最大で0円~37,200円で利用が可能です。
(関連記事:リワークを利用するために費用はどのくらいかかる?|施設ごとに徹底解説!)
どのリワークプログラムを利用するかを検討するためのポイント
リワークプログラムを選択する際には、自身に合った最適なものを選ぶためにいくつかのポイントを押さえておくことが大切です。以下では、主なポイントについてみていきます。
1.プログラムの内容とサポート体制
リワークプログラムは、医療機関や障害者職業センター、民間の就労移行支援事業所・自立訓練事業所など、提供機関によって内容や体制が異なります。医療機関では医師や看護師による専門的なケアが受けられるため、メンタルや身体のケアに重点を置きたい場合に適しています。一方、民間の支援機関では復職に向けたスキルアップや一般的な職場環境での適応支援に重点が置かれていることが多いという特徴があります。こうした特徴を比べながら、自身の状態や復職後の目標を踏まえて利用するプログラムを決めることが大切です。
2.費用
上述したように、リワークプログラムの費用は利用する施設や機関によって大きく異なります。医療機関では健康保険が適用されるため自己負担が3割程度であり、民間のリワーク施設では利用額が0円になることもあります。費用面での負担が休職中の生活に与える影響を考慮しつつ、無理のない範囲でサービスを選びましょう。
3.利用可能な場所と時間の柔軟性
リワークプログラムは、提供される場所によって通いやすさが異なります。自宅や職場から通所にかかる時間は、利便性を大きく左右します。また、プログラムが提供される時間帯も重要です。最近では夜間や週末に対応したリワークプログラムを提供する医療機関も増えつつあり、仕事と並行して利用できる場合もあります。通いやすさや利用時間の柔軟性を確認して、無理なく続けられるプログラムを選ぶことが大切です。
4.プログラムの実績と評判
プログラムを利用した人の体験談や評判も、施設選びの判断基準となります。復職率や継続率、またはフォローアップの有無やスタッフのサポートなど、具体的な実績や特徴を確認することで、その施設やプログラムが自身にとって効果的かどうかを判断することができます。
これらのポイントを考慮しながら自身に最も適したリワークプログラムを選択することで、復職活動を効果的に進めることができます。
(関連記事:適応障害で休職してから復職までの期間は何ヶ月?事例もあわせてご紹介)
リワークプログラムの利用までの流れ
リワークプログラムの利用を考える上で、検討から利用開始までの一連のプロセスを把握しておくことが大切です。以下では、リワークプログラムの利用までの一般的な流れについてみていきます。
1.情報収集と利用施設の選定
リワークプログラムの利用を検討する際には、まずはどのようなプログラムが自分に適しているかを把握する必要があります。医療機関や障害者職業センター、就労移行支援事業所や自立訓練事業所など、提供される場所によってプログラムの内容はさまざまです。各施設のホームページや実際に利用した人の口コミなどを参考にし、自身のニーズに合ったプログラムを選ぶことが大切です。また、プログラム以外にも費用や利用可能な時間帯、施設の所在地や自宅から通所にかかる時間なども、選定のための重要な要素となります。
2.カウンセリングや相談
利用する施設を絞った後は、その施設の見学や事前相談、カウンセリングなどを行います。最初に、担当のカウンセラーやスタッフへ現在の状況や課題、希望する復職時期などを伝えます。この段階でプログラムの内容や進行ペースが自分に合っているかを確認し、実際にその施設でリワークを進めるかどうかを判断します。
3.初回面談とプログラムの計画
事前相談を通じてプログラム利用が決まったら、初回の面談が行われるのが一般的です。面談では、詳細なヒアリングを基に個別の支援計画が作成されます。支援計画には、どのようなステップでリワークを進めていくかについて、目標とする復職時期や必要な支援内容が具体的に記載されます。また、プログラムの進行ペースや目標とする通所日数もこの段階で決まることが多く、自身の体調や生活状況に合ったスケジュールが提案されます。
4.プログラム開始の準備
面談後は、プログラムを開始するための準備を進めます。医療機関の場合は、必要な書類や医師の診断書などが求められることがあります。なお、就労移行支援事業所や自立訓練事業所などの福祉施設では、利用申請や登録手続きが必要となります。公的機関が提供するリワークプログラムの場合は、利用開始までに数週間から数ヶ月かかることもあるため、早めに申請を行うことが推奨されます。
5.リワークプログラムの利用開始
準備が整い次第、リワークプログラムの利用が開始されます。プログラムは段階的に進行し、体調に応じてスケジュールが調整されるため、無理なくリワークを進めることができます。プログラムの進行中は、定期的に担当者との面談や評価が行われ、復職に向けた準備が着実に進んでいるかが確認されます。状況に応じて、その後の計画の調整や修正が行われることもあります。
以上のように、リワークプログラムは情報収集からカウンセリング、初回面談、準備期間を経て利用開始に至ります。それぞれのステップで適切なサポートが受けられるため、安心して復職に向けた準備を進めることができます。
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