うつ病でリワークに取り組むメリットは?
具体的なプログラム例・費用もご紹介
「うつ病が原因で休職してしまうと、もう復職できない(=元の職場に戻るのが難しい)」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、休職期間の過ごし方次第では、復職を果たし、同じ職場で就労を続けることは決して難しいことではありません。自立訓練(生活訓練)事業所であるニューロリワークでは、オリジナルの支援プログラムを通じてこれまでに多くの方の復職や再就職、そして安定した長期の就労を実現しています。
ここでは、うつ病による休職からリワーク(復職活動)に取り組む方に向けて、効果が期待できるプログラムや事業所の利用にかかる費用などについて詳しくご紹介します。
リワークとは
リワークとは、もともとは職場復帰、つまり「return to work」を意味する言葉です。その言葉が、「心身の不調で仕事を休職中の方が職場復帰を目指すための支援」という意味で用いられるようになっています。
近年では企業の規模を問わず、うつ病や適応障害などの精神疾患で仕事を休職される方は増加の傾向にあります。そのような方を対象に、心身のケアをはじめ、復職面談の対応方法や復職後の取り組みなどのサポートとして、ニューロリワークのような自立訓練事業所が復職の支援を行っています。事業所では、公認心理師や臨床心理士をはじめ、精神保健福祉士、社会福祉士、キャリアカウンセラーやジョブコーチといった有資格者とともに復職や社会参加を目指していきます。
(※事業所によって在籍する有資格者は異なります。)
うつ病の方がリワークに取り組むメリット
うつ病の方が復職を目指す上で、リワークの活用は効果的です。人によっては自宅での療養のみで復職を目指すというケースもみられますが、復職を目的としたリワーク施設を活用することで多くのメリットを得ることができます。
うつ病の方が取り組む主なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
メリット(1)段階的な改善が期待できる
うつ病や適応障害などの精神疾患が原因で休職に至った場合、そこから復職を実現する上で大きなハードルを感じるという方も少なくありません。そしてそのハードルゆえに、当初の予定よりも復職が大幅に遅れたり、不調が改善・解消されないままに職場に戻らざるをえないというケースも想定されます。
この点、リワークを活用することで、少しずつ心身を勤務を想定した状況に慣らしていくことができます。こうした「小さな階段」を設けて課題を解消し、一歩、また一歩と復職を目指すことができるというのがリワークを活用するメリットのひとつです。
メリット(2)他者の意見に耳を傾けられる
休職期間中にひとりで復職を目指す場合、自身を客観視することが困難になり生活習慣や思考の課題を見つけづらいというデメリットがあります。そのため、長期間の休養を経ても課題が解消されず、時間だけが過ぎていくことも考えられます。
この点、リワークを活用することで担当のスタッフから多様な意見や助言を得ることが可能となります。また、必ずしも復職にこだわらない場合、リワーク施設によっては転職に関する相談なども受け付けていることもあります。他にも、他の利用者とのコミュニケーションを通じて自身の得手不得手を知ることができるというメリットもあります。
メリット(3)再発を予防できる
リワークには「復職を目指す」という大きな目標があると同時に、再発する可能性を引き下げるというメリットもあります。統計によると、リワークを利用した場合とそうでない場合とでは、復職後の定着率に3.5倍もの開きがあることがわかっています。
(関連記事:休職からの復職が怖い方へ。復帰後の定着率が3.5倍といわれるリワークプログラム)
休職期間中に重要なことは、必ずしも「早期の復職を目指す」という点だけではありません。復職後にいかに安定して長期にわたって就労を続けることができるかという点もまた、復職と同じくらい重要です。この観点から、復職後の職場定着率に大きな影響を与えるリワークの活用がいかに効果的であるかが分かります。
うつ病の方のリワークプログラム例・期間
リワークプログラムは、うつ病や適応障害、統合失調症といったメンタル不調が原因で休職した方を対象に、職場復帰へ向けて行われるトレーニング全般を指します。
たとえば、毎日決まった時刻に決まった場所へ通うことによる通勤を想定したトレーニングや、再発しないためのセルフケア方法、または体力回復を目的としたプログラムなど、復職後も再発せず働き続けることを目的としたさまざまなプログラムが用意されています。
プログラムは、個人に対して実施されるもの、座学形式で行われるもの、グループワークを行うものなどさまざまです。基本的には、担当のスタッフが利用者ひとりひとりの状況や目標に合わせて支援をおこなっていきます。
リワーク施設によってプログラムの違いはありますが、代表的なものとしては以下のようなものが挙げられます。
生活習慣の改善プログラム
復職を実現するために不可欠ともいえるのが、毎日の生活習慣を整えることです。多くのリワーク施設では、食事や睡眠といった基本的な生活習慣の改善を目指すプログラムが提供されています。休職者の中には生活リズムが乱れて昼夜が逆転しているケースも多くみられることから、まずは「朝に起きて、夜に寝る」といった基礎を習得することが復職への第一歩となります。座学で学ぶだけでなく、実際に毎日の生活サイクルを正常化し、習慣づけることが目標となることから、実用性の高い訓練といえます。
定期的にスタッフと振り返りなどを行い、得意なことと不得意なことを整理し、課題を解消していくことで、復職の準備を着実に進めていきます。
体力回復プログラム
休職期間が長く続くと、運動不足が長期化するなどのさまざまな弊害が生じます。体力が低下すると、それだけ復職が遠のくことになります。また、体力がないまま無理に復職しても思うように仕事のパフォーマンスを発揮することができず、ストレスを感じるようになって再び休職に至るというケースも考えられます。
こうした悪循環を防ぐために、リワークプログラムの一環として運動を軸とした体力回復のための取り組みが行われることもあります。リワーク施設によっては運動のインストラクターが配置されていることもあるので、特に体力を重点的に回復させたいという方にとっては施設選びの基準のひとつとなります。
認知行動療法に基づくプログラム
人は、うつ状態になるとものごとを悲観的に捉える傾向が強くなるといわれています。こうした悲観的な考えの対象は、私生活や仕事、さらには将来のことまで広がります。たとえば、「休職に至ってしまったのは自己管理が不十分だったからだ」という反省や、「職場に迷惑をかけてしまっている」という自責が原因となり、不調の症状がさらに悪化してしまうケースも考えられます。
こうした偏った考えを解消するために、リワークプログラムの一環として認知行動療法を取り入れている事業所もあります。プログラムでは座学や個別ワーク、またはグループワークを通じて自身の思考のネガティブな癖や傾向を見つけ、自由な考えで自分らしく生きていけるよう改善を目指していきます。
リワークに必要な費用
復職を目指す上で大きな効果が期待できるリワーク施設。その効果が高いことからも、利用にあたっての金額が気になるという方も多いかもしれません。
リワーク施設を利用する上でかかる費用は、利用する施設によって異なります。たとえば、医療機関や福祉施設のリワークは一般的に有料であり、これに対して公的機関や企業のリワークは無料で活用できることが多い傾向にあります。
なお、利用にあたってはその費用の負担を軽減する「自立支援医療制度」があります。この制度では、心身の障害に関する医療について自己負担額が軽減されます。また、福祉施設のリワークは前年度の所得によって費用が異なり、所得によっては自己負担分がゼロ円で利用できることもあります。
(関連記事:リワークを利用するために費用はどのくらいかかる?|施設ごとに徹底解説!)
うつ病の方はいつからリワークに取り組むのが良い?
うつ病が原因で休職する場合、どのタイミングでリワークに取り組むのが良いのでしょうか。
一般的に、休職が必要となるほどの症状が現れた場合には、まず休養をとり、症状を回復・安定させる必要があります。症状の改善がみられない休職直後から復職を目指してリワークに取り組むと、かえって心身の負担が大きくなることから決して望ましい判断とはいえません。こうした理由から、休職直後は薬物治療などに専念することが大切です。
症状が安定すると、次のステップとして乱れた生活習慣を整えていきます。この段階が、リワークの第一歩にあたると考えてよいでしょう。上述したように「生活習慣を整えること」を目的として、リワークに取り組むのが望ましいタイミングといえます。
リワークを始めたい方向けお役立ちコンテンツ
リワークを活用するにあたって大切なのは、単に復職を果たすということだけではありません。復職後も長期にわたって安定して働くためには、休職期間中に休職の原因や解決策を明確にして再発防止策を確立しておくことも同じく重要です。
リワーク施設によっては復職後までフォローアップする定着支援や医療機関・企業との連携も行っているので、こうした支援があるかどうかも含めて見学や面談などを通じて疑問点や不安に思う点を解消しておくことが大切です。自身に合ったリワーク施設選びが、復職のための第一歩となります。
(関連記事:リワーク施設(リワークプログラム)を利用する上で知っておきたい「施設の種類」と「選び方」とは?)
■ダウンロード資料【今日から復職を目指す方へ。「簡単!初めてのリワークガイド」】
【参考文献・参考サイト】
(写真素材:PIXTA・photoAC)
記事のリンクをコピー