双極性障害から復職するまでの流れとは?
失敗しないための大切なポイント
「双極性障害からの復職は難しい」と感じる方も多いかもしれません。気分の上下の激しさなどに対する職場の理解不足を想像すると、不安で前に踏み出せないという方も少なくありません。また、「クリニックでの治療だけで本当に復職できるのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。こうした悩みを抱える方におすすめなのが、「リワーク」というプログラムです。
双極性障害の改善には時間がかかり、改善が不十分なままで職場に戻ることは再発や再休職に繋がることもあります。そのため、双極性障害による休職からの復職には適切な準備が重要となります。
「リワークではどのようなことをする?」「本当に自分に効果がある?」といった疑問を持っている方でも、リワークを活用することでこれまでに多くの復職を成功させてきた事例があります。
ここでは、休職からの復職を支援してきたニューロリワークが、リワークを活用した復職の流れや、失敗しないためのポイントについて分かりやすく解説します。これから復職に向けて「何をすべきか」を明確に把握することが、復職のための第一歩となります。
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双極性障害による休職期間中の過ごし方
双極性障害が原因で休職する場合、休職期間中は体調を安定させるために過ごし方を工夫することが大切です。主に意識したい点としては、以下の6つが挙げられます。
1.規則正しい生活を心がける
休職中は特に生活リズムが崩れやすくなるため、規則正しい生活を意識することが大切です。毎日同じ時間に起床し、適度な運動や散歩を取り入れることで、体内リズムが整い、気分の安定につながります。安定した状態を維持するためにも、休職期間中は過度な昼寝や夜更かしは避けるようにしましょう。
2.医師の指導を守る
治療の一環として薬を処方された場合は、適切に服用し、通院を欠かさないようにしましょう。また、気分の変化や不調があれば、医師に相談することが大切です。医療機関と連携することで、回復や症状の改善に向けた適切なアドバイスを受けることができます。
3.無理をしない
休職中は「早く復職しなければ」と焦りを感じてしまうことも多くありますが、無理に復職しようとせず、必要なときはゆっくりと休むことが大切です。特にうつ状態のときには、何もせずに休むことも回復への第一歩と考えましょう。
4.趣味や好きなことを楽しむ
心身の健康状態が安定しているときは、趣味やリラックスできる活動を行うというのもポイントです。ただし、過度に活動的になるのではなく、適度なペースを保つことが大切です。
5.周囲のサポートを活用する
家族や友人に気持ちを打ち明け、サポートを受けることも効果的です。また、同じ症状を持つ人との交流や、サポートグループへの参加も心の支えになります。
6.復職を見据えた準備を行う
体調が安定してきたら、復職支援プログラムやリワーク施設を活用するのも効果的な活動のひとつです。社会復帰に向けたスキルを身につけることで、復職後の不安を軽減させることができます。
(関連記事:休職からの復職が怖い方へ。復帰後の定着率が3.5倍といわれるリワークプログラム)
双極性障害による休職から復職するタイミングの目安とは
双極性障害による休職から復職するタイミングの目安については、いくつかの基準が参考になります。とはいえ、最適なタイミングに関しては個人の状態に応じて大きく異なるため、最終的な判断は主治医やカウンセラーとよく相談することが重要です。
安定した気分の持続
双極性障害による休職期間中は、躁状態や抑うつ状態が安定していることが重要です。一般的には、少なくとも1〜3ヶ月間、症状が安定していることが目安とされています。
日常生活の安定性
生活リズムが整い、日常的な活動(食事、睡眠、家事など)が無理なく行えることがポイントです。また、仕事をしていたときに近いリズムで生活できると、復職後のスムーズな適応が期待できます。
医療者からの了承
復職にあたっては、主治医やカウンセラーから「復職可能」との診断や意見が得られることが不可欠です。無理に復職を進めることは再発のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。
リワークプログラムの活用
リワーク(職場復帰支援)プログラムを活用し、復職後のストレスへの耐性や対処スキルを身につけることも効果的です。こうした支援を受けることで、復職後の安定性の向上が期待できます。
注意点
復職を急ぎすぎると再発リスクが高まるため、体調を最優先に考えることが大切です。また、復職後の職場での業務負荷やサポート体制も重要なポイントです。リワークプログラムなどを通じて、段階的な復職を検討するとよいでしょう。
詳細な支援やリワークプログラムについては、専門機関に相談することが大切です。たとえば、就労移行支援事業所/自立訓練(生活訓練)事業所ニューロリワークでは、復職を目指すためのリワークプログラムを提供しています。
(関連記事:復職の適切なタイミングとは?必要なステップと準備ポイントを解説)
双極性障害で休職してから復職までの流れ
双極性障害による休職からの復職までには、いくつかのステップがあります。それぞれの段階で焦らず、計画的に進めることが大切です。
1.休職中の治療と心身の回復
休職初期の段階では、心身の負担を取り除き、十分な休息を取ることが最優先です。この時期は定期的な診察やカウンセリングを受けながら、必要な治療や回復、そしてリハビリに専念します。生活リズムの安定が特に重要で、規則正しい睡眠、食事、軽い運動などが推奨されます。過度に復職を焦ると再発リスクが高まるため、自身の状態を慎重に見極める大切な期間であることを意識しましょう。
2.復職の可否を検討するための相談と診断
症状が安定してくると、主治医や産業医に復職が可能な状態かどうかを相談します。復職にあたっては、医師から「復職可能」という診断を得ることが不可欠です。必要であれば、リワークプログラムへの参加を検討します。こうした準備を通じて、自分に合った復職プランを立てていくことが大切です。
3.復職前の職場との調整
復職が許可されると、職場の上司や人事担当者と復職後の勤務形態や業務内容について話し合います。この段階では、短時間勤務や軽めの業務から始める「段階的な復職」が一般的です。この方法により、仕事のリズムや環境に少しずつ慣れ、ストレスを軽減させることができます。また、職場でのサポート体制についても事前に確認しておくようにしましょう。
以上のステップを踏むことで、復職後の再発リスクを減らし、より長く安定した就労が期待できます。リワークプログラムや専門家のサポートを活用しながら、無理のない復職を目指すことが大切です。
(関連記事:メンタル不調による休職から、復職するまでの主な流れ)
双極性障害による休職からの復職に失敗しないためのポイント
復職の準備や復職後の安定した就労を実現するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。主なポイントとして、以下のものが挙げられます。
1.自己理解と環境の見直し
双極性障害で休職した場合は、原因を把握・分析し、再発を防ぐための対策を講じることが大切です。休職の原因が職場の業務内容や環境にある場合は、企業との調整が必要になることもあります。また、ストレスの兆候を自覚できるよう自己理解を深めることも不可欠な取り組みのひとつといえます。
2.復職後の計画を立てる
復職した直後は、体力や集中力が回復していないケースも多くみられます。そのため、無理のない業務量やスケジュールを上司と相談しながら計画を立てることが推奨されます。たとえば、納期の厳しい業務や残業を避けることで負担を軽減し、安定した働き方を目指すことなどがポイントです。
3.セルフケアの実践
日常的なセルフケアとして、食事や睡眠、適度な運動を取り入れることが心身の健康につながります。他にも、認知行動療法に基づくプログラムやマインドフルネスなど、リワークプログラムで学べるスキルを実践することで、職場でのストレスに対応しやすくなります。
4.焦らず復職を目指す
復職期限や経済的な要因から不安に焦りを感じることもありますが、体調が整わないまま復職すると再休職のリスクが高まります。そのため、リワーク施設を活用し、専門スタッフの支援を受けながら準備を進めることで復職の成功率を高めるなどの取り組みが重要です。
双極性障害からの復職は、個人差が大きいものの適切な準備と周囲のサポートを受けることで安定した働き方を実現することができます。特にリワークプログラムの活用は、復職後の安定性を高めるための効果的な第一歩になります。
(関連記事:【休職期間の過ごし方】復職成功者の多くがリワーク利用時に実践していたこと)
双極性障害で休職後に復職(再就職)した事例
Aさんの事例(4ヶ月で復職)
システムエンジニアとして、メンテナンス作業やシステム更改プロジェクトを担当していました。業務時間は繁忙期により異なりましたが、お客様先での長時間の作業や泊りの出張が続いたこと、チームメンバーの問題が重なったことのストレスから、過度の飲酒をして入院し、休職となりました。会社からの復職の条件としてリワーク施設を利用し、そこでの学習を通して再発防止を学ぶよう指示があったので、リワーク施設を調べました。
(中略) 心理系、運動系、生活系のプログラムは精神面、身体面の維持や向上に役に立ったと感じています。また、リワークプログラムの再発防止策の作成で、自分が作成したものを第三者目線で添削してもらえたことが良かったです。 リワークの利用を通して体調を整えること、再発しない方法を学び、実践していくことを行っていきたいと思っていたので、リワークに関するプログラムは全体的に役に立ちました。 復職の際はリワーク活動報告書を職場に提出してもらったことで、会社に活動の状況をスムーズに把握してもらうことができ、リハビリ勤務につなげることができました。 |
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Bさんの事例(9ヶ月で復職【再就職】)
以前の職場では、障害を開示せずに勤務していたため、通院や不調時の相談ができずに体調を崩してしまいました。また、業務内容にも苦手意識があったため、仕事への自信が持てずに意欲がなくなってしまったことで、出社ができなくなり休職しました。 休職中は、復職に向けて一人で対策をしましたが、思うようにいかずに退職しました。休職中に、YouTubeでリワークに関する動画を見ていたときに、「ニューロチャンネル」を見つけました。その動画のニューロリワークのプログラムの紹介で、生活習慣をしっかり整えることができるという点に魅力を感じました。また、遠方からの通所のため、交通費の一部補助制度があることも利用の決め手となりました。 以前は、障害特性による気分の波を把握して対策することや、ストレスへの対処、生活習慣に気を配ることができなかったため、心身の不調に気付くのが遅れ、働く意欲の低下につながっていました。 (中略) プログラムの受講や自身の体調や気分を振り返る習慣を通して、これまでは他者からの視点で自分を評価していましたが、自分の視点で自分を評価できるようになったことが、一番の成長だと感じています。 |
(全文はこちら)
(関連記事:【復職後も要注意!】復職後に再休職に至ってしまう3つの原因)
双極性障害による休職中の給与・手当金について
双極性障害で休職した場合、収入に不安を抱えるという方も少なくありません。日本では健康保険制度や企業の就業規則によって、一定の給与補填が受けられる場合があります。主な制度や補償内容としては、以下のようなものがあります。
1.傷病手当金
健康保険に加入している場合、休職中に収入が減った場合でも傷病手当金を申請することで補填を受けられます。この制度では、連続して3日以上の休業後、4日目以降の休業期間について直近12ヶ月の平均月収の3分の2が支給されます。支給期間は最長1年6ヶ月で、申請には医師の診断書などが必要です。
2.会社独自の給与補填制度
企業によっては、就業規則に基づいて有給の病気休暇や給与の一部を補填する制度を設けている場合があります。企業ごとに制度の有無や詳細が異なるため、こうした制度が導入されているかどうかは事前に人事部門や就業規則に確認する必要があります。
3.雇用保険の利用
傷病手当金の支給が終了した場合や、雇用形態によっては雇用保険の制度を利用できる場合があります。特に、復職のための準備が必要な場合、リワークプログラムを活用することで職場復帰をサポートする資金援助を受けられる場合もあります。こちらも事例や状況によって異なることから、事前に確認が必要です。
(関連記事:経済的な不安から休職を迷っている方が押さえたい、傷病手当金の支給条件や申請方法)
復職に向けて準備は、リワークの活用がおすすめ
双極性障害が原因で休職に至ってしまった場合、復職の準備には「リワークプログラム」を活用することが効果的です。プログラムを通じて日々の健康管理をはじめ、ビジネススキルの習得や簡単な作業などを行いながら、集中力や持続力を取り戻す訓練を行います。また、他の利用者とのコミュニケーションを通じて対人スキルも身につけることも可能です。
リワークプログラムを通して、再び働くことに慣れつつ、復職後の不安や負担を軽減させることができます。
(関連記事:リワーク施設(リワークプログラム)を利用する上で知っておきたい「施設の種類」と「選び方」とは?)
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